消防計画の作成手順とポイントを徹底解説

建物や施設の防火対策を強化するためには、適切な「消防計画」の作成が不可欠です。管理権原者によって選任された防火管理者が、作成を義務付けられている、「消防計画」は、火災の予防や初期対応、避難計画を明確にし、従業員や利用者の安全を確保するための重要な指針となります。 本記事では、「消防計画」の作成手順とそのポイントについて詳しく解説します。

目次
1. 消防計画とは?
2. 消防計画の作成手順
 ① 防火対象物の用途の確認
 ② 収容人員の確認
 ③ 防火管理者の選任
 ④ 消防計画の作成
 ⑤ 消防署への届出
 ⑥ 消防計画の運用・見直し
3. 消防計画作成のポイント
 3-1✅ 実態に即した計画を作る
 3-2✅ 全従業員への周知・訓練
 3-3✅ 設備・点検管理の徹底
 3-4✅ 消防署との連携
4. まとめ
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1. 消防計画とは?

消防計画とは、消防法第8条に基づき、防火管理が必要な建物や施設で作成・届出が義務付けられている計画書です。特定防火対象物(劇場、ホテル、飲食店など)や建物全体の収容人員が50人以上の非特定防火対象物(オフィスビル、工場など)では、防火管理者を選任し、消防計画を作成・実施する必要があります。

 

消防計画には、火災発生時の対応だけでなく、日常の防火管理や定期的な訓練計画も含まれます。

 

2. 消防計画の作成手順

 

① 防火対象物の用途の確認

まず、建物の用途や規模を確認し、対象となる防火対象物の種類を把握します。

 

特定防火対象物

:不特定多数が利用する施設(例:飲食店、ホテル、病院、劇場など)
特定防火対象物のなかでも、用途によって「収容人員が10人以上」の場合や「30人以上」の場合に分かれており、それぞれで防火管理者の選任義務の発生条件が異なります。

非特定防火対象物

:主に従業員や関係者が利用する施設(例:オフィスビル、倉庫、工場など)
消防法施行令別表第1に定められており、これにより求められる防火管理のレベルが決まります。

 

② 収容人員の確認

管理権原の及ぶ範囲の収容人員、建物全体の収容人員を確認し、防火管理が必要か否かを判断します。
以下の場合には、防火管理が必要となり、防火管理者の選任・消防計画を作成し、管轄の消防署に届け出ることが必要となります。

 

特定防火対象物のうち収容人員が10人以上

     要介護者や避難困難者を収容する建物が中心です。(消防法施行令別表第1⑹項イ)

特定防火対象物のうち収容人員が30人以上

     観客や利用者が多く集まる娯楽施設や商業施設、宿泊施設、医療機関などが中心です。

非特定防火対象物のうち収容人員が50人以上

     事務所、共同住宅、学校等日常的に利用する人が限定される建物でも、収容人員が50人以上の場合には、
     防火管理者の選任・消防計画をを作成して、管轄の消防署に届け出ることが必要となります。

 

③ 防火管理者の選任

一定規模以上の建物では、防火管理者を選任し、防火管理業務を担当させ、
管轄の消防署に届け出ることが必要です。

 

甲種防火管理者:特定防火対象物など
乙種防火管理者:小規模な防火対象物など
防火管理者は、所定の講習を受講し、消防計画の策定・運用を行います。

 

④ 消防計画の作成

次に、消防計画の各項目を具体的に作成します。

  1. 火災予防対策
  2. 防火設備の点検・維持管理
  3. 火気管理(コンロ、ストーブ、電気機器の使用ルール)
  4. 可燃物の適切な管理(紙類、油類など)
  5. 初期消火体制
  6. 消火器やスプリンクラーの配置と使用方法
  7. 自衛消防隊の編成と初期消火担当者等の配置
  8. 近隣の消防署との連携
  9. 避難誘導計画
  10. 避難経路の確認と表示(非常口・避難ハッチ)
  11. 避難訓練の実施計画
  12. 避難時の役割分担(誘導係、点呼係など)
  13. 消防訓練の計画
  14. 年1回以上の総合消防訓練
  15. 消火器の使用訓練
  16. 社員への教育
  17. 防火管理者の再研修
  18. 緊急時の連絡体制
  19. 119番通報のフロー
  20. 消防署・関係機関への通報基準
  21. 社内の緊急連絡網の作成

⑤ 消防署への届出

作成した消防計画は、所轄の消防署に届出を行う必要があります。消防署の指導に基づき、内容を修正・改善することもあります。

 

⑥ 消防計画の運用・見直し

消防計画は一度作成して終わりではなく、定期的な見直しが必要です。

  1. 建物の用途変更や増改築があった場合
  2. 収容人数の増減があった場合
  3. 防火設備の変更があった場合
  4. 消防署の指摘があった場合

上記のような変更が生じた際には、速やかに消防計画を修正し、再届出を行います。

 

3. 消防計画作成のポイント

3-1✅ 実態に即した計画を作る

机上の計画だけでなく、実際に施設内での防火対策や避難行動を考慮した実践的な計画を作成することが重要です。

 

3-2✅ 全従業員への周知・訓練

計画を作成しただけでは意味がなく、従業員全員が内容を理解し、実際に行動できるようにすることが求められます。

 

3-3✅ 設備・点検管理の徹底

消防設備の適切な維持管理がされていなければ、いざというときに機能しません。定期的な点検とメンテナンスを怠らないようにしましょう。

 

3-4✅ 消防署との連携

消防計画を作成・提出するだけでなく、消防署と連携し、定期的な指導やアドバイスを受けることで、より実効性のある計画に改善できます。

 

4. 誰が、届出書を作成して消防署に届け出るのでしょうか?

4-1届出義務者

消防署に届け出る書類 根拠条文 作成義務者 説明
防火管理者選任届出書 (消防法第8条) 一定数の者を収容する防火対象物の管理権管理権原者

管理権原者とは、防火対象物の正当な管理権を有しており、防火対象物の防火管理を「法律、契約または慣習上当然行うべき者」を指します
建物:一定数の者を収容する防火対象物の所有者

テナント:事業所の賃借人、事業所の責任者等

統括防火管理者選任届出書 消防法第4条の2、第51条の11の3 管理権原者 同上
消防計画作成(変更)届出書 消防法第8条 防火(・防災)管理者 管理権原者によって選任された防火(防災)管理者
防火対象物使用開始届出書

東京都防火条例56条1項
(防火対象物の工事等計画の届出等)

防火対象物のの建築、修繕・模様替え改築用途変更を行うもの
(一般的には管理権原者)

防火対象物のの建築、修繕・模様替え改築用途変更

消防設備点検結果報告書 消防法第17条の3の3
 
防火対象物の関係者 防火対象物の関係者とは、防火対象物の所有者、管理者、占有者のことを指します。消防用設備等の点検や報告の義務は、防火対象物の関係者に課されています。
防火対象物点検結果報告書 第八条の二の二 管理権原者
防災管理点検結果報告書 消防法第8条の2の2第1項 管理権原者

防火対象物結果報告報告
特例認定申請

第八条の二の三 管理権原者
防火対象物結果報告報告特例認定申請 (第 4 条の 2 の 8、第 51 条の 16 管理権原者

5. まとめ

消防計画は、防火管理の要となる重要な書類です。作成時には、防火対象物の確認、防火管理者の選任、適切な計画の策定、消防署への届出、そして継続的な見直しが欠かせません。

 

「万が一」に備えるためにも、実態に即した消防計画を策定し、定期的な消防訓練を行うことが重要です。もし、消防計画の作成や届出に不安がある場合は、行政書士に相談するのも一つの方法です。

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