消防計画の変更届が必要な7つのケース|根拠条文・期限・罰則を解説

消防計画の変更届が必要な7つのケース|根拠条文・期限・罰則を行政書士が解説

消防計画を変更したときは「消防計画作成(変更)届出書」の提出が必要です。用途変更・テナント入替・防火管理者の交代など変更が必要になる7つのケースを、消防法施行規則第3条第1項の根拠条文とともに整理し、届出義務者・提出時期・罰則の正確な位置づけまで特定行政書士が解説します。

この記事の結論

  • 消防計画を変更したときは、防火管理者が「消防計画作成(変更)届出書」(別記様式第1号の2)を所轄消防長または消防署長に届け出なければなりません。根拠は消防法施行規則第3条第1項の「防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする」です。
  • 変更届の提出そのものを直接処罰する規定はありません。ただし放置すれば消防法第8条第4項の防火管理業務適正執行命令の対象となり、命令に違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(消防法第41条)。
  • 防火管理者を交代した場合は別に「防火・防災管理者選任(解任)届出書」が必要で、こちらは届出を怠っただけで30万円以下の罰金または拘留です(消防法第8条第2項、第44条第8号)。
  • テナントが入れ替わって管理権原者そのものが変わった場合は「変更」ではなく、新しい管理権原者による防火管理者の選任と消防計画の新規作成になります。
  • 報酬を得て消防計画作成(変更)届出書を業として作成できるのは、行政書士または行政書士法人に限られます(行政書士法第19条第1項)。

消防計画の変更届とは|根拠条文と届出義務者

消防計画の変更届とは、いったん作成して消防署に届け出た消防計画の内容を変えたときに、その旨を所轄消防長または消防署長に届け出る手続きです。正式な書類名は「消防計画作成(変更)届出書」で、東京消防庁では別記様式第1号の2を使用します。


根拠となる条文

消防計画の作成と届出の根拠は、消防法第8条第1項を受けた消防法施行令第3条の2第1項と、消防法施行規則第3条第1項です。規則第3条第1項は、防火管理者が消防計画を作成して別記様式第1号の2の届出書により所轄消防長または消防署長に届け出るべきことを定めたうえで、末尾で次のように定めています。

防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする。(消防法施行規則第3条第1項)


つまり、変更届は新規作成の届出と同じ様式・同じ手続きで行います。「変更のときだけ簡略な様式がある」わけではありません。


項目 内容
書類名 消防計画作成(変更)届出書(別記様式第1号の2)
根拠法令 消防法第8条第1項/消防法施行令第3条の2第1項/消防法施行規則第3条第1項
届出をする者 防火管理者(消防計画を作成する者)
最終的な責任を負う者 管理権原者(防火管理者を選任し、業務を行わせる義務を負う)
提出先 防火対象物を管轄する消防署(東京消防庁管内は各消防署予防課)
提出時期 消防計画を変更するとき。規則に日数の定めはなく、変更の都度遅滞なく提出する
提出部数 1部(控えの返却を受ける場合は2部)

届け出るのは防火管理者、責任を負うのは管理権原者

ここは実務でよく混同されるところです。消防法施行規則第3条第1項は「防火管理者は……作成し……届け出なければならない」と定めており、消防計画を作成し届け出るのは防火管理者です。
一方、消防法第8条第1項が義務を課しているのは、防火対象物の管理権原者です。管理権原者は資格を有する者のうちから防火管理者を定め、消防計画の作成その他の防火管理上必要な業務を行わせなければなりません。防火管理者が変更届を出さないまま放置していれば、責任を問われるのは最終的に管理権原者です。


用語の整理
管理権原者=建物や部分について正当な管理権を有する者(建物オーナー、テナントの事業者など)。
防火管理者=管理権原者から選任され、消防計画に基づく防火管理業務を実際に遂行する者。
詳しくは 防火管理者の選任の必要な建物と実務フロー をご覧ください。


消防計画の変更が必要になる7つのケース

消防計画に記載した事項が実態と合わなくなったときは、計画を改め、変更届を提出します。実務上とくに多いのは次の7つです。


消防計画の変更が必要な7つのケース


ケース 変更する消防計画の項目 併せて必要になりやすい届出
① 用途変更・テナント入替 適用範囲、自衛消防組織、火気管理 防火対象物工事等計画届出書、防火対象物使用開始届出書
② 収容人員の増減 自衛消防組織の編成、避難誘導、定員遵守 (選任義務が新たに生じる場合)防火管理者選任届出書
③ 防火管理者の交代 防火管理者の氏名、任務分担 防火・防災管理者選任(解任)届出書
④ 消防用設備等の変更 自主検査、点検・整備計画、初期消火の手順 工事整備対象設備等着工届出書、消防用設備等設置届出書
⑤ 避難経路の変更 避難施設の維持管理、避難経路図、避難誘導 防火対象物工事等計画届出書
⑥ 訓練計画の変更 消火・通報・避難訓練の実施時期と内容 自衛消防訓練実施計画(通知)
⑦ 立入検査での指摘 指摘を受けた事項 立入検査結果通知書に対する改修計画(報告)書

① 建物の用途変更・テナントの入れ替え

用途が変わると、火気使用の有無、収容人員の算定方法、必要な消防用設備等がいずれも変わります。次のような場合が典型です。

  • 事務所だったフロアが飲食店になった
  • 物販店舗が診療所に変わった
  • ワンフロアがシェアオフィスとして使われるようになった

用途変更は消防法施行令別表第一の項番が変わる可能性があり、特定防火対象物に該当すれば防火管理者の選任基準(収容人員30人以上)や点検報告の周期も変わります。用途判定については 消防法における建物の用途判定とは? で詳しく解説しています。


② 収容人員の増減

収容人員は自衛消防組織の編成や避難計画の前提になる数字です。従業員の増員、客席数の変更、イベントスペースの利用形態の変更などで実態が変われば、消防計画も改める必要があります。
特に注意が必要なのは、収容人員が防火管理者の選任基準(特定用途30人以上、非特定用途50人以上、自力避難困難者が入所する社会福祉施設等を含むものは10人以上)をまたぐ場合です。この場合は消防計画の変更にとどまらず、防火管理者の選任義務そのものが新たに生じます。収容人員の数え方は 防火対象物の収容人員の計算方法を用途区分別に徹底解説 をご覧ください。


③ 防火管理者の交代

人事異動や退職で防火管理者が交代したときは、2つの届出が必要です。

  • 防火・防災管理者選任(解任)届出書(消防法第8条第2項、東京都火災予防条例第55条の3)
  • 消防計画作成(変更)届出書(消防法施行規則第3条第1項)

消防計画には防火管理者の氏名と任務分担が記載されているため、選任届だけを出して消防計画を直さないと記載が実態と食い違ったままになります。前任者の退職までに後任者の資格取得が間に合わない場合の対処は 人事異動で防火管理者が不在になった場合の対処方法・手続きについて で解説しています。


④ 消防用設備等・防火設備の変更

消防計画には、消防用設備等の自主検査と法定点検の計画、初期消火の手順が記載されています。次のような変更があれば、計画の該当部分を改めます。

  • スプリンクラー設備・消火器の設置場所の変更
  • 自動火災報知設備の感知器の増設・撤去
  • 誘導灯、防火戸、防火シャッターの設置変更

なお、消防用設備等の工事そのものについては、甲種消防設備士が着工の10日前までに工事整備対象設備等着工届出書を提出し(消防法第17条の14)、工事完了後4日以内に関係者が消防用設備等設置届出書を提出します(消防法第17条の3の2)。これらは消防計画の変更届とは義務者も期限も別の手続きです。


⑤ 避難経路の変更

間仕切りの新設、廊下の付け替え、非常口の増設や封鎖など、避難経路に影響する改修を行った場合は、消防計画の避難経路図と避難誘導の手順を改める必要があります。
東京消防庁管内では、一定の防火対象物の工事について工事着手日の7日前までに防火対象物工事等計画届出書を提出しなければなりません(東京都火災予防条例第56条)。避難経路の変更を伴う内装工事は、この届出と消防計画の変更をセットで考えてください。


⑥ 消防訓練の内容・実施時期の変更

消防計画には訓練の実施計画を定めます。特定防火対象物では消火訓練と避難訓練を年2回以上実施し、実施しようとする日の前までに消防機関へ通報しなければなりません(消防法施行規則第3条第10項・第11項)。訓練の頻度や内容を計画から変える場合は、消防計画の記載も併せて改めます。


⑦ 立入検査での指導・指摘

消防署の立入検査(消防法第4条第1項)で消防計画の内容に不備を指摘された場合は、指摘事項を反映した計画に改めて変更届を提出します。立入検査で指摘されやすい事項と対応は 消防署の立ち入り検査で指摘される事項、対応策、そして行政書士の支援 にまとめています。


「変更」ではなく「新規作成」になる場合

混同されやすい点ですが、次の場合は消防計画の変更届ではなく、新しい管理権原者による新規作成の届出になります。

管理権原者そのものが替わったとき
テナントが退去して別の事業者が入った、建物が売却されて所有者が替わった、といった場合、消防法第8条第1項の義務は新しい管理権原者に生じます。新しい管理権原者が自ら防火管理者を選任し、その防火管理者が消防計画を作成して届け出ます。前のテナントの消防計画を「変更」する手続きではありません。


逆に、同じ管理権原者のもとで防火管理者だけが交代した場合は「変更」です。管理権原者が替わったのか、その下の防火管理者が替わったのかで手続きが分かれる点に注意してください。テナント入居時の手続き全体は テナント入居時の防火管理手続きと注意点 をご覧ください。


消防計画の変更手続きの流れ

東京消防庁管内での一般的な流れは次のとおりです。


  • STEP

    変更内容の洗い出し

    現行の消防計画と建物の実態を突き合わせ、記載を改めるべき項目を特定します。防火管理者の氏名、自衛消防組織の編成表、避難経路図、点検計画などが対象になりやすい項目です。



  • STEP

    消防計画の修正

    消防法施行規則第3条第1項各号に掲げる事項を満たすよう、防火管理者が消防計画を改めます。建物の規模・用途に応じた作成例は東京消防庁が公開しています。



  • STEP

    管轄消防署への届出

    「消防計画作成(変更)届出書」(別記様式第1号の2)に変更後の消防計画を添えて、管轄消防署の予防課に提出します。控えの返却を受ける場合は2部提出します。
    防火管理者の交代を伴う場合は「防火・防災管理者選任(解任)届出書」を、統括防火管理者に関する変更があれば「統括防火・防災管理者選任(解任)届出書」および「全体についての消防計画作成(変更)届出書」を併せて提出します。



  • STEP

    消防署による受付・確認

    形式と内容が整っていれば受付され、控えに受付印を受けて返却されます。記載に不足があれば補正を求められます。



  • STEP

    変更後の運用

    届出は手続きの終わりではなく始まりです。改めた消防計画に基づいて、自衛消防組織への周知、自主検査、訓練の実施を行います。計画と実態が一致していることが防火管理の要点です。



届出を怠るとどうなるか|罰則の正確な整理

ここは誤った説明が多く出回っている論点です。総務省消防庁が整理している消防法の罰則規定一覧に照らすと、次のように分かれます。


違反の内容 根拠 罰則
消防計画作成(変更)届出書を提出しなかった 消防法施行規則第3条第1項 直接の罰則規定なし。ただし下記の命令の対象となる
防火管理業務適正執行命令に従わなかった 消防法第8条第4項 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第41条/第45条第3号で両罰)
防火管理者選任命令に従わなかった 消防法第8条第3項 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第42条/第45条第3号で両罰)
防火管理者の選任・解任の届出を怠った 消防法第8条第2項 30万円以下の罰金または拘留(第44条第8号)

読み違えないための要点
「消防計画の変更届を出さないと30万円以下の罰金」という説明を見かけますが、これは防火管理者の選任・解任の届出(消防法第8条第2項)についての罰則です。消防計画の届出義務は消防法施行規則に置かれているため、届出を出さなかったこと自体を直接処罰する規定はありません。
もっとも、これは「出さなくてよい」という意味ではまったくありません。消防計画が実態と合っていない状態は防火管理業務が適正に行われていない状態であり、消防長または消防署長は管理権原者に対して必要な措置を命ずることができます(消防法第8条第4項)。この命令に違反すれば1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金で、法人にも罰金刑が科されます(消防法第41条、第45条第3号)。


なお「拘禁刑」は、令和7年6月1日施行の刑法等の一部改正により「懲役」と「禁錮」を一本化した刑名です。改正前の解説記事では「懲役」と表記されています。


罰則よりも実害が大きい

実務上、罰則の適用より先に問題になるのは次の点です。

  • 立入検査で違反を指摘され、違反是正の指導・警告を受ける
  • 防火対象物点検の特例認定(消防法第8条の2の3)を受けられない、または取り消される
  • 火災が発生した場合に、消防計画どおりの体制が機能せず被害が拡大する
  • 火災時の責任追及の場面で、消防計画が実態と乖離していたことが不利に働く

全体についての消防計画・防災管理に係る消防計画の変更

建物によっては、通常の消防計画とは別の計画についても変更届が必要になります。


計画の種類 対象 根拠 作成・届出をする者
防火管理に係る消防計画 防火管理者の選任義務がある防火対象物 消防法第8条第1項、規則第3条第1項 防火管理者
全体についての消防計画 管理権原が分かれ、統括防火管理者の選任義務がある防火対象物 消防法第8条の2第1項、規則第4条 統括防火管理者
防災管理に係る消防計画 防災管理者の選任義務がある建築物等 消防法第36条第1項、規則第51条の8 防災管理者

統括防火管理者の選任義務があるのは、管理権原が分かれている次のような防火対象物です。

  • 高層建築物(高さ31メートルを超える建築物)
  • 地階を除く階数3以上・収容人員10人以上で、自力避難困難者が入所する施設を含むもの
  • 地階を除く階数3以上・収容人員30人以上の特定防火対象物
  • 地階を除く階数5以上・収容人員50人以上の複合用途防火対象物
  • 消防長または消防署長が指定する地下街、および準地下街

テナント入替や共用部分の改修があると、各テナントの消防計画だけでなく全体についての消防計画も改める必要が出てきます。詳しくは 統括防火管理者と協議会の設置|複合建物における防火管理の要点を行政書士が徹底解説 をご覧ください。防災管理については 防災管理が必要な建物 で解説しています。


変更届の作成を依頼できるのは誰か|行政書士法の制限

消防署は官公署であり、消防計画作成(変更)届出書はそこに提出する書類です。したがって、他人の依頼を受け報酬を得て、業としてこの届出書を作成できるのは、行政書士または行政書士法人に限られます。

行政書士法第19条第1項(令和8年1月1日施行の改正後)
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。


総務省消防庁は令和7年2月25日付で「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」(消防予第75号・消防危第30号・消防特第35号)を発出し、消防法令に基づく手続においても行政書士法の業務制限が及ぶことを各都道府県等に周知しています。
さらに、行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号、令和8年1月1日施行)により、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が条文に明示されました。総務省の公布通知は、この改正を「手数料」や「コンサルタント料」等どのような名目であっても対価を受領して業として官公署提出書類を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に明示するものと説明しています。改正が新たに違法行為を作ったのではなく、従来から違法だったことを条文で確認したものです。


違反 根拠 罰則
行政書士でない者が、報酬を得て業として官公署提出書類を作成した 行政書士法第19条第1項 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第21条の2)
法人の従業者がその法人の業務に関して上記の違反行為をした 行政書士法第23条の3(改正で新設) 行為者を罰するほか、その法人にも100万円以下の罰金

資格ごとの守備範囲

消防計画の変更に関わる専門家には、それぞれ法令上の役割があります。

資格 法令上できること
行政書士 官公署に提出する書類の作成(行政書士法第1条の3)、自ら作成した書類の提出手続の代理(第1条の4第1号)
防火管理者 消防計画の作成と、これに基づく訓練・自主検査・火気管理の遂行(消防法第8条第1項)
消防設備士 消防用設備等の工事・整備(消防法第17条の5)。甲種は工事整備対象設備等着工届出書を自らの義務として届出(第17条の14)
防火対象物点検資格者 防火対象物点検の実施と、点検結果の記録の作成

消防設備業者や管理会社が「届出は無料でやります」と申し出ることがありますが、点検料や工事費に組み込まれていれば「報酬を得て」に当たり得ます。名目の付け替えでは適法になりません。詳しくは 消防署への提出書類作成と行政書士法違反の防止について をご覧ください。


なお、消防計画そのものを作成する義務は消防法施行規則第3条第1項により防火管理者にあります。行政書士がお引き受けするのは、届出書の作成と提出手続の代理、および防火管理者が作成する消防計画の内容が法令の要件を満たすようにするための起案の補助です。防火管理者の職務そのものを行政書士が代わることはできません。


当事務所の報酬額

報酬額は 報酬額表 をご覧ください。
消防計画作成(変更)届出書、防火・防災管理者選任(解任)届出書、統括防火(防災)管理者選任届出書、自衛消防組織設置(変更)届出書、防火対象物使用開始(変更)届出など、消防計画の変更に関連する届出の報酬額を業務ごとに掲載しています(すべて税抜)。金額に幅があるのは、建物の規模・用途、図面作成の要否、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。正式なお見積りは、建物の情報を確認させていただいたうえでご提示いたします。
初回のご相談は無料です。


よくある質問

消防計画を変更したら、いつまでに届け出ればよいですか?

消防法施行規則第3条第1項には日数の定めがなく、「防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする」と規定されているのみです。実務上は変更の都度、遅滞なく提出します。防火管理者の交代を伴う場合、選任(解任)届出書のほうは消防法第8条第2項により「遅滞なく」と定められているため、両方を同時に提出するのが確実です。

消防計画の変更届を出さなかった場合、罰則はありますか?

消防計画作成(変更)届出書を提出しなかったことのみを直接処罰する規定はありません。ただし、消防長または消防署長から防火管理業務の適正な執行を命じられ(消防法第8条第4項)、その命令に違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となり、法人にも罰金刑が科されます(消防法第41条、第45条第3号)。届出を怠ってよいという意味ではありません。

防火管理者が交代したときは、消防計画も出し直しですか?

はい。防火・防災管理者選任(解任)届出書と、消防計画作成(変更)届出書の2つが必要です。消防計画には防火管理者の氏名と任務分担が記載されているため、選任届だけでは記載が実態と食い違ったままになります。選任・解任の届出を怠った場合は30万円以下の罰金または拘留です(消防法第8条第2項、第44条第8号)。

テナントが入れ替わった場合、消防計画は「変更」ですか「新規作成」ですか?

管理権原者そのものが替わるため「新規作成」です。新しいテナントが自ら防火管理者を選任し、その防火管理者が消防計画を作成して届け出ます。前のテナントの消防計画を引き継いで変更する手続きではありません。一方、同じ管理権原者のもとで防火管理者だけが交代した場合は「変更」になります。

従業員が数人増えただけでも消防計画の変更届は必要ですか?

消防計画に記載した収容人員や自衛消防組織の編成に影響しない範囲であれば、直ちに変更届が必要になるわけではありません。ただし、収容人員が防火管理者の選任基準(特定用途30人以上、非特定用途50人以上)をまたぐ場合や、自衛消防組織の編成表・任務分担を書き換える必要が生じた場合は変更届を提出します。判断に迷う場合は管轄消防署または行政書士にご相談ください。

消防計画の変更届は誰の名前で出しますか?

消防法施行規則第3条第1項により、届け出るのは防火管理者です。もっとも、防火管理者を選任し防火管理上必要な業務を行わせる義務を負うのは管理権原者ですので(消防法第8条第1項)、届出書には管理権原者と防火管理者の双方を記載します。様式や記載方法は管轄消防署の運用に従ってください。

変更届に添付する消防計画は、変更部分だけでよいですか?

東京消防庁管内では、変更後の消防計画一式を添えて提出するのが一般的な取扱いです。ただし、変更箇所が限定的な場合に該当部分の差し替えで足りるかどうかは管轄消防署の運用によって異なりますので、事前に確認することをおすすめします。

消防設備業者に消防計画の変更届の作成を頼んでも問題ありませんか?

報酬を得て業として作成すれば、行政書士法第19条第1項に違反します。無償の助言や、消防設備士が法律上みずから届け出ることとされている工事整備対象設備等着工届出書(消防法第17条の14)などは別ですが、点検料や工事費に書類作成の対価が含まれていれば「報酬を得て」に当たり得ます。令和7年法律第65号による改正で「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と明示されました。

消防計画の変更届を行政書士に依頼するといくらかかりますか?

報酬額は 報酬額表 に業務ごとに掲載しています(すべて税抜)。消防計画作成(変更)届出書の「変更」、防火管理者の交代を伴う場合の防火・防災管理者選任(解任)届出書のいずれも掲載しています。金額に幅があるのは、建物の規模・用途、図面作成の要否、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。正式なお見積りは、建物の情報を確認させていただいたうえでご提示いたします。初回のご相談は無料です。


まとめ

  • 消防計画を変更したときは、防火管理者が「消防計画作成(変更)届出書」(別記様式第1号の2)を管轄消防署に提出する(消防法施行規則第3条第1項)。
  • 用途変更、収容人員の増減、防火管理者の交代、設備の変更、避難経路の変更、訓練計画の変更、立入検査での指摘が主な変更事由。
  • 管理権原者そのものが替わったときは「変更」ではなく「新規作成」。
  • 変更届の不提出に直罰はないが、防火管理業務適正執行命令(消防法第8条第4項)に違反すれば1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。
  • 防火管理者の選任・解任の届出は、怠っただけで30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条第8号)。
  • 報酬を得て業として届出書を作成できるのは行政書士または行政書士法人に限られる(行政書士法第19条第1項)。

消防計画は、作って届け出て終わりの書類ではなく、建物の実態と一致していてはじめて機能するものです。用途や体制が変わったときは、そのつど計画を見直してください。当事務所では、変更内容の洗い出しから消防計画の起案補助、届出書の作成と提出代理までを一貫してお引き受けしています。


参照した法令・公的資料

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第4条第1項、第8条、第8条の2、第17条の3の2、第17条の14、第36条、第41条、第42条、第44条第8号、第45条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条の2第1項、第3条の3
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条、第4条、第51条の8
  • 東京都火災予防条例第55条の3(防火管理者)、第56条(防火対象物の工事等計画の届出等)、第56条の2(防火対象物の使用開始の届出等)
  • 総務省消防庁「消防法における罰則規定一覧(予防分野)」
  • 総務省消防庁予防課長ほか「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」(令和7年2月25日 消防予第75号・消防危第30号・消防特第35号)
  • 東京消防庁「防火・防災管理者選任(解任)届出書/消防計画作成(変更)届出書」(申請様式・別記様式第1号の2)
  • 東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」
  • 行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の3、第1条の4、第19条第1項、第21条の2、第23条の3
  • 行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号、令和8年1月1日施行)および総務省自治行政局長通知(令和7年6月13日 総行行第281号)
  • 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う刑名の変更(令和7年6月1日施行)

この記事を書いた人

萩本 昌史(はぎもと まさし)/特定行政書士
行政書士萩本昌史事務所 代表。特定行政書士、消防設備士、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者。
東京都世田谷区北烏山7-25-8-401(〒157-0061)
TEL 03-6783-6727(平日 9:00〜18:00 土日祝日はお問い合わせフォームで受付) FAX 03-6750-2225
東京消防庁管内を中心に、消防計画の作成・変更、防火管理者選任、防火対象物使用開始届出、工事等計画届出などの消防手続を代行しています。初回相談は無料です。


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