
不動産オーナー必見!建物を一棟貸しした場合、消防法上、防火管理者や統括防火管理者を選任する必要があるのか?
この記事では、建物の「管理権原」に着目して、防火管理に関する法的義務や実務上の注意点を、行政書士がわかりやすく解説します。
防火管理者とは、一定規模以上の建物において、火災予防のために必要な業務を管理する責任者です。具体的には以下のような業務を担います。
これらはすべて、消防法第8条および同施行令第3条に基づき義務づけられています。
ポイントとなるのは、建物の管理権限(管理権原)が誰にあるかです。
建物を一棟丸ごと貸しており、借主が全ての使用・管理を行っている場合、
👉 借主(テナント)が防火管理者を選任する義務を負います。
所有者には防火管理者の選任義務はありません。
一棟貸しであっても、エントランス・階段・屋上などの共用部分を所有者が管理している場合、
👉 所有者がその共用部分について防火管理者を選任する必要がある可能性があります。
この場合、借主との調整が必要です。
3.3所有者の管理する部分が建物に存在する場合
👉 所有者がその管理する部分について防火管理者を選任する必要がある可能性があります。
統括防火管理者とは、1つの建物内に複数の管理権原者がいる場合に、防火管理を統括調整するために設けられる役職です(消防法第8条の2)。
統括防火管理者の選任が必要となるのは、以下のいずれかに該当する防火対象物で、その管理について権原が分かれている場合です。
原則として、一棟貸しで借主が単独で管理している建物には、統括防火管理者の選任は不要です。
なぜなら「複数の管理権原者がいない」からです。
ただし、以下のような場合には必要となることがあります。
ケース | 統括防火管理者 |
---|---|
一棟内に複数のテナントが入っている | 必要(所有者が選任することが多い) |
共用部分を所有者が管理し、専有部分はテナントが管理 | 必要(所有者が選任) |
全館を1事業者が使用 | 管理不要 |
チェック項目 | 内容 |
---|---|
賃貸借契約書に管理責任の所在を明記しているか? | 借主が防火管理者を選任する責任を記載することでトラブル防止になります。 |
共用部(階段、エレベーター、屋上など)の管理を誰が担うか? | 所有者が管理する場合、共用部に対する防火管理責任が発生します。 |
消防署への届出は誰が行うか? | 防火管理者選任届、消防計画作成届など、借主と明確に役割分担しておくべきです。 |
自主管理か、管理会社へ業務委託しているか? | 管理会社経由で防火管理対応をする場合も、契約内容に注意が必要です。 |
曖昧な管理分担がある場合は、所轄消防署に事前相談を行うのがベストです。
項目 | 回答 |
---|---|
一棟貸しで防火管理者が必要なのは誰か? | 借主(管理権原者) |
一棟貸しで統括防火管理者は必要か? | 原則不要(ただし共用部等管理が分かれる場合は要) |
所有者が対応すべきことは? | 契約書整備、消防署との連携、共用部管理の整理 |
一棟貸しや複合用途ビルにおける防火管理に関して、
など、実務的なご支援が可能です。
この記事が「防火管理」に不安のある不動産オーナー様のお役に立てれば幸いです。
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