行政書士として、皆様の事業所の安全管理をサポートしている萩本昌史です。 今回は、見落とされがちながらも、火災予防上非常に重要な「少量危険物」について、その種類と「指定数量」を分かりやすく解説します。
消防法では、火災の危険性が高い物質を「危険物」と定め、その貯蔵や取扱いについて厳しい規制を設けています。しかし、皆さんの事業所では、消防法上の「指定数量」に満たない危険物を取り扱っているケースも多いのではないでしょうか?。
ここで登場するのが「少量危険物」という概念です。「少量危険物」とは、具体的には、「危険物の規制に関する政令」(以下、「危険物政令」といいます)で定められた「指定数量」の5分の1以上、指定数量未満の危険物を指します。
たとえ指定数量未満であっても、これらの物質が引き起こす火災は甚大な被害をもたらす可能性があります。そのため、消防法では、指定数量未満の危険物についても、市町村条例(東京都の場合、「火災予防条例」)に基づき、貯蔵や取扱いの技術上の基準が定められています。
それでは、消防法で定められた危険物の「類別」「品名」、そしてそれぞれに割り当てられた「指定数量」を見ていきましょう。これらの情報は、「危険物政令」の別表第一に記載されています。
異なる品名や指定数量の危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱う場合、それぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量の5分の1の数量で除し、その「商の和」が1以上になると、その場所は「少量危険物貯蔵取扱所」とみなされ、条例の規制対象となります。これは、少量ずつでも、複数の危険物が集まることで火災リスクが高まるためです。
「東京都火災予防条例」では、少量危険物貯蔵取扱所に対し、火災予防上の様々な基準を設けています。例えば、以下の措置が求められます。
見やすい場所に**「少量危険物貯蔵取扱所」である旨の標識**や、危険物の品名、最大数量、防火に関する必要な事項を掲示した掲示板を設ける必要があります 。
貯蔵・取扱いは防火上安全な場所で行い、火気の使用を避けること。やむを得ず火気を使用する場合は、通風や換気、区画などの安全措置が必要です。
危険物の性質に適した安全な材質の容器を使用し、容易に破損し、又は栓等が離脱しないものであること。地震動等による転倒、転落、破損を防ぐための固定や柵、滑り止めの設置、他の物品の落下防止措置も重要です。
危険物が漏れたり、あふれたり、飛散したりしないよう必要な措置を講じること。
静電気が蓄積するおそれのある設備には、当該静電気を有効に除去する装置を設けること 。
少量危険物貯蔵取扱所には、消火器具を設置しなければなりません。
これらの基準は、火災の発生を防ぎ、万が一の際の被害を最小限に抑えるために非常に重要です。
今回は、消防法における「少量危険物」の種類と「指定数量」について詳しく解説しました。指定数量に満たないからといって、安全対策を怠って良いわけではありません。むしろ、各自治体の**「火災予防条例」に基づいて、よりきめ細やかな管理が求められます。**
もし、ご自身の事業所でどのような危険物を取り扱っているのか、どの数量から規制対象となるのか、また、どのような対策が必要なのかご不明な点がありましたら、お近くの消防署や専門家である行政書士にご相談ください。適切な知識と対策で、皆様の安全な事業活動をサポートします!
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