監修:行政書士 萩本昌史|防火管理・消防計画専門サポート
近年、無人営業のジムやレンタルスペース、コインランドリーなど、スタッフが常駐しない事業形態が急増しています。
このような施設でも、消防法に基づき「防火管理者」の選任が必要なケースがありますが、
「常勤スタッフがいないので、防火管理者を選べない!」
というご相談をよくいただきます。
今回は、そんなケースで検討される「防火管理者の重複選任」について、東京消防庁の指導方針をもとに、詳しく解説します。
防火管理者の重複選任とは、
1人の防火管理者が、複数の防火対象物に対して選任されることを指します。
通常は、各事業所ごとに「その場所に勤務する者」を選任するのが原則ですが、やむを得ない事情がある場合には、例外的に1人の防火管理者が複数の建物を管理することが可能です。
消防法施行令第3条では、防火管理者は、
「防火管理上必要な業務を適切に遂行できる、管理的または監督的立場にある者」
と定められています。
そのため、重複選任には次のようなリスクがあります:
リスク | 内容 |
---|---|
管理困難性 |
管理物件が多数になると、日常的な巡回・点検が行き届かない |
初期対応の不在 |
その場所にいないため、火災時の初動が遅れる |
実態と乖離 |
無人店舗に「名義だけの管理者」では消防計画が形骸化する |
このような背景から、東京消防庁は「原則、各事業所に勤務する者を防火管理者として選任すること」を強く求めています。
では、どのような場合に例外が認められるのでしょうか?
東京消防庁では、以下のような8つのケースで、重複選任を「例外的に可」としています。
不動産会社などが複数の店舗・ビルを管理する場合、管理拠点が都内にあることが条件。
同一団体が一体的に管理している庁舎や駅舎など。
(例:近接地に複数の無人店舗を持つ企業)
重複選任が認められる場合でも、以下の条件を満たす必要があります:
→ 小規模施設であっても、乙種では認められません。
→ 巡回スタッフ・パート・清掃員などが該当します。
消防計画には、次のような内容を記載します:
防火担当責任者の氏名・役割
点検の頻度と方法(例:週2回の巡回)
防火管理者への報告方法(例:月1回メールで点検報告)
例えば、「パートスタッフが週1回巡回する無人レンタルスペース」の場合、以下のように体制を組みます。
項目 | 内容 |
---|---|
防火管理者 |
甲種有資格者(本社勤務の管理職など) |
防火担当責任者 |
巡回清掃を行うパートスタッフ |
点検項目 |
火気、火元、消火器、避難経路、火気設備の目視点検点 |
検頻度 |
週1回 |
報告方法 |
点検シートをLINE・メール等で送信 |
消防計画への記載 |
上記体制・役割分担を明記 |
相談先:東京消防庁 予防部 防火管理課 指導係
☎️ 03-3212-2111(内線5127)
防火管理者の重複選任は、制度上可能ではありますが、
「あくまで例外」であり、正しく運用しないと意味をなしません。
特に、無人施設においては「名義だけ」の防火管理者にならないよう、
が重要です。
当事務所では、無人店舗・などの重複選任対応型の消防計画作成を手がけております。
✅ 無人営業施設の消防対応に困っている
✅ パートしかいないが、管理者を選びたい
✅ 消防署とのやり取りが不安
という方は、お気軽にご相談ください。
行政書士 萩本昌史
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