

この記事の結論
1. 東京消防庁管内で飲食店の内装工事をして営業を始めるとき、届出の骨格は防火対象物工事等計画届出書(工事着手の7日前まで。東京都火災予防条例第56条第1項)と防火対象物使用開始届出書(使用開始の7日前まで。同条例第56条の2第1項)の2本です。建築確認を受けた工事なら前者は不要ですが、後者は必ず必要です。
2. 厨房設備の入力の合計が120kW以上のとき、または排気取入口から下方に排気する方式(焼肉店の無煙ロースター等)のときは、工事着手の7日前までに火を使用する設備等の設置届出書を出し、使用開始前に検査を受けます(同条例第57条第1項第3号・第4項)。
3. 消防用設備等の工事をするなら、甲種消防設備士の着工届(工事着手の10日前まで。消防法第17条の14)と、完了後4日以内の設置届(同法第17条の3の2)が別に必要です。
4. 厨房の排気ダクトは、耐食性のある鋼板等で造り、気密に接続し、可燃性の部分から10cm以上離し(金属以外の特定不燃材料で有効に被覆すれば不要)、直接屋外へ出し、他の用途のダクトと接続しないことが条例上の基準です(同条例第3条の2第1項第2号)。
5. 油煙が出る厨房は、排気取入口にグリス除去装置と火炎伝送防止装置が必要です。グリスフィルターは火源から原則1.0m以上離します(火災予防条例施行規則第3条第3項)。地階または高さ31m超の建物で同一厨房室の入力合計が350kW以上なら自動消火装置が必須です(同条例第3条の2第1項第3号ニ)。
6. こんろ等と壁・天井の間には離隔距離が必要です。14kW以下の業務用こんろ・21kW以下の据置型レンジなら、可燃性の仕上げに対し上方100cm・側方15cm・後方15cm、特定不燃材料の仕上げに対し上方80cm・側方0・後方0です(同条例別表第三)。
7. 離隔距離を取らなくてよいのは、特定不燃材料で仕上げ、構造が準耐火構造で、間柱・下地まで特定不燃材料、かつ点検用に60cm以上の空間を確保した場合に限られます(同条例第3条第1項第1号、規則第2条の2)。「壁にステンレス板を貼っただけ」では足りません。
8. 火を使う飲食店は延べ面積にかかわらず消火器が必要です(消防法施行令第10条第1項第1号ロ)。延べ300㎡以上なら自動火災報知設備、避難口・通路誘導灯は原則として全体に、収容人員30人以上なら防火管理者が必要です。
「内装業者が消防の届出もやってくれていると思っていた」「厨房機器を入れたら、消防署の検査でダクトと壁の距離が足りないと言われた」。飲食店の出店でうかがうご相談のうち、オープン直前に慌てる原因の多くは、消防の届出の漏れと、厨房まわりの構造の不適合です。
どちらも、天井を張り、厨房機器を据え付けたあとに見つかると、内装をやり直すしかありません。排気ダクトの離隔距離や壁の下地の材料は、完成後には目で確認できないためです。逆に、設計の段階で条文どおりに確認しておけば、手戻りはほとんど起きません。
本記事では、東京都内(東京消防庁管内)でテナントに入居して飲食店を開く事業者の方、設計・施工を担当する方に向けて、内装工事に必要な消防の届出と、厨房設備・排気ダクト・火気に接する壁や天井の基準を、消防法・消防法施行令・同施行規則・東京都火災予防条例・同施行規則・建築基準法施行令の条文、総務省消防庁の通知、東京消防庁の公表資料に沿って整理します。条文はすべて2026年10月10日時点で原文を確認しています。
飲食店は消防法施行令別表第一の(3)項ロ(飲食店)に当たり、不特定多数の人が出入りする特定防火対象物です。テナントとして入居し、内装工事をして営業を始めるまでに関係する届出は、東京消防庁管内では次のとおりです。
| 届出 | 根拠 | 期限 | 届出義務者 | 罰則 |
|---|---|---|---|---|
| 防火対象物工事等計画届出書 | 東京都火災予防条例第56条第1項 | 工事に着手する日の7日前まで | 工事をしようとする者 | なし |
| 火を使用する設備等の設置届出書 | 同条例第57条第1項 | 工事に着手する日の7日前まで | 設備を設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む) | 10万円以下の罰金(同条例第67条の2第5号) |
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 消防法第17条の14 | 工事に着手しようとする日の10日前まで | 甲種消防設備士 | 30万円以下の罰金または拘留(法第44条第8号) |
| 消防用設備等の設置計画の届出 | 同条例第58条の2第1項 | 設置に係る工事に着手する日の10日前まで | 設置しようとする者 | なし |
| 防火対象物使用開始届出書 | 同条例第56条の2第1項 | 使用を開始する日の7日前まで | 使用しようとする者(テナント事業者) | 10万円以下の罰金(同条例第67条の2第4号) |
| 消防用設備等設置届出書 | 消防法第17条の3の2 | 工事が完了した日から4日以内 | 防火対象物の関係者 | 30万円以下の罰金または拘留(法第44条第8号) |
| 防火管理者選任届出書・消防計画作成届出書 | 消防法第8条第1項・第2項 | 選任・作成後、遅滞なく | 管理権原者 | 選任届の懈怠は法第44条第8号 |
東京都火災予防条例の罰則(第67条の2)には両罰規定があり、法人の従業者等が業務に関して違反した場合は法人にも罰金刑が科されます(同条例第68条)。灯油などを指定数量の5分の1以上貯蔵する場合は、少量危険物貯蔵取扱所の届出(同条例第58条第1項)も加わります。
現場では「工事計画届」「工事計画等届出書」と呼ばれることが多い書類の正式名称は、防火対象物工事等計画届出書です(火災予防条例施行規則第12条第1項・別記第3号様式)。これは消防法ではなく東京都火災予防条例に基づく届出で、他の道府県では同じ名前の届出がないか、要件が異なります。東京以外で出店した経験がある方ほど、見落としやすい手続です。
3つの届出は別物です
・工事等計画届出書(条例第56条):建物・区画の工事が対象。内装の仕様、避難通路、客席の配置を審査します。
・火を使用する設備等の設置届出書(条例第57条):厨房設備そのものが対象。位置・構造・ダクトを審査します。
・使用開始届出書(条例第56条の2):使い始める前の届出。使用開始前検査につながります。
期限が同じ「7日前」でも、様式も添付図書も別です。「工事の届出を出したから厨房設備も含まれている」は誤りです。
工事等計画届出書が必要なのは、条例が定める「指定防火対象物等」の工事です。指定防火対象物等とは、消防法施行令第10条第1項各号(消火器具の設置が必要な防火対象物)などに当たる防火対象物またはその部分をいいます(条例第56条第1項第1号)。
令第10条第1項第1号ロは、(3)項の飲食店で火を使用する設備または器具を設けたものについて、延べ面積にかかわらず消火器具の設置を義務づけています。そのため、火を使う飲食店は面積が小さくても指定防火対象物等に当たり、内装工事をすれば工事等計画届出書の対象になります。
| 号 | 届出が必要な行為(条例第56条第1項) | 飲食店での典型例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 指定防火対象物等の建築 | 店舗の新築・増築 |
| 第2号 | 修繕、模様替え、間取りまたは天井高さの変更その他これらに類する工事 | スケルトンからの内装工事、厨房の新設・移設、間仕切りの変更 |
| 第3号 | 客席または避難通路の変更(条例第50条の適用がある飲食店の階等に限る) | 客席150㎡以上の店舗のレイアウト変更 |
| 第4号 | 用途変更その他これに類する変更(変更後に指定防火対象物等となる場合) | 事務所・物販店の区画を飲食店に変える |
条例第56条第1項ただし書により、建築基準法第6条第1項・第6条の2第1項の確認を受けた場合と、同法第18条第2項・第4項の通知をした場合(同法第87条第1項で準用する場合を含む)は、工事等計画届出書を出す必要はありません。建築確認の過程で消防同意の審査を受けているためです。
このただし書は第56条だけにあり、第56条の2(使用開始の届出)にはありません。用途変更で確認申請をした場合でも、防火対象物使用開始届出書は別に必要です。
添付図書は火災予防条例施行規則第12条第2項が定めています。
| 規則第12条第2項 | 添付図書 |
|---|---|
| 第1号 | 防火対象物の概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表、建具表、防火基準への適合を審査するために必要な事項を記載した図書 |
| 第2号 | 条例第57条第1項の届出対象以外の火気使用設備等や火気使用器具等を設置する場合は、その位置・構造等の状況を示した図書 |
| 第3号 | 条例第50条の適用を受ける飲食店は、客席の配置状況等を示した図書 |
見落としやすい点
入力の合計が120kW未満の厨房は、火を使用する設備等の設置届出書(条例第57条)の対象外です。しかし、工事等計画届出書の添付図書として、厨房機器の位置・構造を示す図書が求められます(規則第12条第2項第2号)。小さな厨房でも、こんろと壁の離隔距離、排気ダクトの経路は消防署の審査を受けると考えてください。
防火対象物またはその部分を使用しようとする者は、使用を開始する日の7日前までに、使用開始届出書を消防署長へ提出しなければなりません(条例第56条の2第1項)。届出義務者には「前条第一項各号(新築を除く。)に掲げる行為をしたのち使用しようとする者を含む」と明記されているため、内装工事をした飲食店は、工事等計画届出書とは別に使用開始届出書を出します。
さらに、指定防火対象物等を使用しようとする者は、使用開始前に消防署長の検査を受けなければなりません(同条第3項)。検査で是正事項が見つかれば、直るまで営業を始められません。届出をせずに使用した場合や、検査を拒んだ場合は10万円以下の罰金です(条例第67条の2第4号)。書き方と添付書類は「防火対象物使用開始届出書とは|期限7日前・添付書類・罰則を解説」で詳しく解説しています。
条例第57条第1項第3号は、届出が必要な厨房設備を「入力の合計が百二十キロワット未満のもの(排気取入口から下方に排気する方式の厨房設備を除く。)を除く」と定めています。つまり、次のどちらかに当たれば届出が必要です。
・厨房設備の入力(最大の消費熱量)の合計が120kW以上
・排気取入口から下方に排気する方式の厨房設備(入力を問わない)
レンジ、フライヤー、グリドル、ゆで麺器、炊飯器などを1台ずつ見ると小さくても、合計すると120kWに届くことは珍しくありません。入力の値は、機器の仕様書やカタログのガス消費量・定格消費電力で確認します。合計の取り方(同じ厨房室単位か等)は、機器リストを持って所轄消防署に確認してください。
厨房設備の届出は別記第4号様式で、次の11種類の図書を添付します(火災予防条例施行規則第13条第1項・第2項)。
設備の概要表/設備の配置図/設備の立面図/設備の制御回路図/設備の仕様書/設備設置場所の平面図/設備設置場所の展開図/設備設置場所の構造図/設備設置場所の室内仕上表/煙突等その他ダクトの系統図/煙突等その他ダクトの平面図
このうち展開図・構造図・室内仕上表は、後述する離隔距離と壁・天井の構造を判断する材料で、ダクトの系統図・平面図は排気ダクトの基準を判断する材料です。内装業者・厨房業者から早めに入手してください。キュービクル(高圧の変電設備)も設ける場合は、別記第5号様式の届出が別に必要です(「キュービクル新設の消防届出|変電設備設置届出書と少量危険物届出を条文で解説」参照)。
届出の対象となる火気使用設備等を使用しようとする者は、使用開始前に消防署長の検査を受けなければなりません(条例第57条第4項)。排気ダクトや壁の下地のように、完成後に見えなくなる部分は、工事の途中で行う中間検査の対象になり得ます(火災予防条例施行規則第12条の2の2)。天井を閉じる前に確認を受ける日を、工程表に入れておくことが重要です。届出の対象設備の一覧は「火を使用する設備の消防届出|対象一覧・7日前・罰則を解説」にまとめています。
厨房設備の位置・構造の基準は、消防法第9条を受けた東京都火災予防条例第3条の2が定めています。届出が必要かどうかにかかわらず、すべての厨房設備に適用される基準です。
東京都火災予防条例 第3条の2第1項(抜粋)
二 厨房設備に附属する天蓋及び排気ダクト(以下「排気ダクト等」という。)の位置及び構造は、次によること。
イ 排気ダクト等は、耐食性を有する鋼板又はこれと同等以上の強度を有する特定不燃材料で造ること。(ただし書略)
ロ 排気ダクト等の接続は、フランジ接続、溶接等とし、気密性のある接続とすること。
ハ 排気ダクト等は、可燃性の部分から十センチメートル以上の距離を保つこと。ただし、金属以外の特定不燃材料で有効に被覆する部分については、この限りでない。
ニ 排気ダクトは、排気が十分に行える能力を有すること。
ホ 排気ダクトは、直接屋外に通ずるものとし、他の用途のダクトと接続されていないこと。
ヘ 排気ダクトの排気取入口は、こんろ等の火源から規則で定める火災予防上安全な距離を保つこと。
ト 排気ダクトは、曲がり及び立下りの箇所を極力少なくし、内面を滑らかに仕上げること。
チ 排気ダクトのうち、排気取入口から下方に排気する方式のものにあつては、階ごとに専用とすること。
揚げ物調理をする厨房設備には、調理油の温度が過度に上昇した場合に自動的に燃焼または熱源を停止する装置等を設けなければなりません(条例第3条の2第1項第1号)。フライヤーを選ぶときは、この装置の有無を仕様書で確認してください。
| 基準 | 条文 | 現場で問題になる点 |
|---|---|---|
| 材質:耐食性を有する鋼板等 | 第3条の2第1項第2号イ | 天蓋・ダクトとも対象。入力と使用状況から支障がないと認められるものは例外 |
| 接続:フランジ接続・溶接等の気密な接続 | 同号ロ | テープ巻きだけの接続は不可。油が漏れて天井内に付着する |
| 可燃性の部分から10cm以上 | 同号ハ | 木下地の天井・木製の梁・可燃性の断熱材。金属以外の特定不燃材料で有効に被覆すれば不要 |
| 直接屋外へ、他用途ダクトと接続しない | 同号ホ | 居抜き物件で空調・換気のダクトに厨房排気をつないでいる例 |
| 排気取入口と火源の距離 | 同号ヘ、規則第3条第3項 | 天井高が低くフードを下げると不足する |
| 曲がり・立下りを少なく、内面を滑らかに | 同号ト | 曲がりが多いと油がたまり、清掃もしにくい |
| 下方排気方式は階ごとに専用 | 同号チ | 焼肉テーブルの床下ダクト |
| 清掃できる構造 | 第3条の2第1項第4号 | 点検口がなく、ダクト内の清掃ができない |
油脂を含む蒸気を発生するおそれのある厨房設備の排気取入口には、グリス除去装置(グリスフィルター、グリスエクストラクター等)を設けます(条例第3条の2第1項第3号イ)。グリス除去装置は耐食性を有する鋼板等の特定不燃材料で造られたものとします(同号ロ)。
排気取入口と火源の距離は、火災予防条例施行規則第3条第3項が次のように定めています。
| 区分 | 火源からの距離 |
|---|---|
| 原則 | 1.0m以上 |
| グリスフィルターを用い、火源がブロイラー・オーブン等のもの | 1.2m以上 |
| グリスエクストラクターを用いるもの | 0.45m以上 |
総務省消防庁も「火災予防条例準則の運用について」(平成5年2月10日付け消防予第60号)で、グリス除去装置は油脂が付着する特性から火源と距離をとる必要があるとし、家庭以外の厨房の距離を示しています。同通知は、火源が露出せず、自動温度調節装置と過熱防止装置があるフライヤー・グリドルは、この距離によらないことができるとしています。ただしこれは全国の準則についての運用通知で、東京都の規則第3条第3項には同じ例外の規定がありません。東京都内で例外を使えるかは、機器の仕様書を持って所轄消防署に確認してください。
油脂を含む蒸気を発生するおそれのある厨房設備の排気取入口には、排気ダクトへの火炎の伝送を防止する装置として自動消火装置を設けるのが原則です(条例第3条の2第1項第3号ハ)。ただし、天蓋から屋外へ直接排気する構造のもの、ダクトの長さや入力・使用状況から支障がないと認められるもの、防火ダンパー等が適切に設けられているものは除かれます。
次のどちらかに当たる厨房設備は、防火ダンパーがあっても自動消火装置が必須です(同号ニ)。
・令別表第一(1)項〜(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項の防火対象物の地階に設ける厨房設備で、同一厨房室内の入力の合計が350kW以上のもの
・高さ31mを超える建築物に設ける厨房設備で、同一厨房室内の入力の合計が350kW以上のもの
全国の基準を定める対象火気省令(平成14年総務省令第24号)第11条第7号・第8号も同じ内容です。なお、この自動消火装置は消防法第17条の「消防用設備等」ではなく、条例上の厨房設備の構造要件です。消防用設備等の点検報告の対象ではありませんが、清掃と維持管理の義務はあります(条例第3条の2第1項第5号)。
入力350kW以上の厨房設備は、不燃材料で造った壁・柱・床・天井で区画し、窓と出入口に防火戸を設けた室内に設けます(条例第3条の2第3項で準用する第3条第1項第12号の2、規則第3条の3第1項)。ただし、周囲5m以上・上方10m以上の空間を保有する場合や、スプリンクラー設備等の消火設備を設置する場合などは除かれます(規則第3条の3第2項)。大型店舗やセントラルキッチンでは、設計の初期にこの350kWの線を確認してください。
天蓋、天蓋と接続する排気ダクト内、グリス除去装置、火炎伝送防止装置は、清掃を行い、火災予防上支障のないよう維持管理しなければなりません(条例第3条の2第1項第5号)。東京消防庁予防部予防課の「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン」は、天蓋やグリス除去装置など外から確認できる部分は日常的に、排気ダクトの内部など外から確認しにくい部分はおおむね1年ごとに点検することを目安として示しています。
厨房設備と壁・天井の間に距離を求めるのは、火炎が直接触れることを防ぐためだけではありません。総務省消防庁の「厨房設備等の基準に関する検討部会報告書」(令和8年3月)は、火気使用設備と建築物等・可燃物の間の距離について、設備から生じる熱により木材等が低温着火すること等を防ぐ目的があると説明しています。壁の中の木下地が、長い時間をかけて熱で炭化し、ある日発火するという火災です。仕上げが燃えにくく見えても、下地が可燃物なら危険は残ります。
厨房設備から建築物等・可燃性の物品までの距離は、条例第3条第1項第1号イ(第3条の2第3項で準用)により別表第三の距離以上とします。
| 設備(気体燃料・開放式) | 相手方 | 上方 | 側方 | 前方 | 後方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 組込型・キャビネット型こんろ(グリル付・グリドル付を含む)14kW以下 | 特定不燃以外 | 100cm | 15cm(注) | 15cm | 15cm(注) |
| 同上 | 特定不燃 | 80cm | 0 | — | 0 |
| 据置型レンジ 21kW以下 | 特定不燃以外 | 100cm | 15cm(注) | 15cm | 15cm(注) |
| 同上 | 特定不燃 | 80cm | 0 | — | 0 |
| 炭火焼き器(木炭を燃料とするもの) | 特定不燃以外 | 100cm | 50cm | 50cm | 50cm |
| 同上 | 特定不燃 | 80cm | 30cm | — | 30cm |
| 上記に分類されないもの(使用温度300℃未満) | — | 100cm | 50cm | 100cm | 50cm |
| 上記に分類されないもの(使用温度300℃以上800℃未満) | — | 150cm | 100cm | 200cm | 100cm |
(注)機器本体上方の側方または後方の離隔距離を示す。「—」は定めなし。
別表第三の備考は、「特定不燃以外」を特定不燃材料以外の材料で仕上げた建築物等の部分または可燃性の物品までの距離、「特定不燃」を特定不燃材料で有効に仕上げた建築物等の部分または防熱板までの距離と定めています。表の気体燃料・液体燃料の欄は、日本産業規格またはこれと同等以上の基準に適合した設備に適用されます。
表のとおり、入力が14kW(こんろ)・21kW(据置型レンジ)を超える業務用機器は「上記に分類されないもの」として使用温度で判断され、距離が大きくなります。別表によりがたいものとして消防総監または消防署長が認めるものは、消防総監が定めるところにより得られる距離によることもできます(条例第3条第1項第1号ハ)。機器の銘板や取扱説明書に離隔距離が示されている場合は、その資料を持って所轄消防署に確認してください。
東京都の「特定不燃材料」は、建築基準法の「不燃材料」より狭い
東京都火災予防条例第3条第1項第1号は、建築基準法第2条第9号の不燃材料のうち「コンクリート、れんが、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、しつくいその他これらに類する不燃性の材料」を特定不燃材料と定義しています。国の対象火気省令の表が「不燃」「不燃以外」で区分しているのに対し、東京都は「特定不燃」「特定不燃以外」で区分しています。仕上げ材が建築基準法の不燃材料の認定を受けていても、東京都の特定不燃材料に当たるかは別に確認が必要です。
条例第3条第1項第1号は、「火災予防上安全な距離を保つことを要しない場合」を次のように定めています。
東京都火災予防条例 第3条第1項第1号(抜粋)
火災予防上安全な距離を保つことを要しない場合(……特定不燃材料で有効に仕上げをした建築物等……の部分の構造が準耐火構造……であつて、間柱、下地その他主要な部分を特定不燃材料で造つたもので、かつ、東京都規則……で定める設備の点検及び整備に必要な空間を確保した場合をいう。……)を除き、炉から建築物等及び可燃性の物品までの火災予防上安全な距離として、当該炉の種類に応じ次に掲げる距離以上の距離を保つこと。
| 条件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ①仕上げ | 特定不燃材料で有効に仕上げている | 条例第3条第1項第1号 |
| ②構造 | その部分の構造が準耐火構造(建築基準法第2条第7号の2) | 同上 |
| ③下地 | 間柱、下地その他主要な部分を特定不燃材料で造っている | 同上 |
| ④点検空間 | 設備本体の安全装置・燃焼装置・燃料配管・排気筒等の点検整備を要する部分から60cm以上の空間(構造上よりがたい場合は消防総監・消防署長が必要と認める空間) | 規則第2条の2 |
国の対象火気省令第4条は、仕上げを不燃材料とし、「耐火構造で間柱・下地等を準不燃材料で造ったもの」または「耐火構造以外で間柱・下地等を不燃材料で造ったもの(有効に遮熱できるものに限る)」を離隔不要の場合としています。東京都はこれに特定不燃材料の要件と点検空間の要件を加えた形です。他の自治体の施工例をそのまま持ち込まないでください。
「ステンレス板を貼ったから大丈夫」が通らない理由
・木下地や合板の上にステンレス板を貼っても、③下地の条件を満たしません。
・表に「特定不燃」の距離(上方80cm・側方0・後方0)を使うには、特定不燃材料で有効に仕上げた部分か、防熱板までの距離である必要があります。防熱板の仕様や取付方法は所轄消防署に確認してください。
・既存の壁を活かす改装では、壁を新設するか、表の「特定不燃以外」の距離を確保するかを、設計段階で決めておく必要があります。
建築基準法施行令第128条の4第4項・第128条の5第6項は、住宅以外の建築物(特定主要構造部を耐火構造としたものを除く)で、こんろなど火を使用する設備・器具を設けた調理室等の壁・天井の仕上げを、準不燃材料等とするよう求めています。これは建築基準法の内装制限で、消防法令の離隔距離とは根拠も目的も違います。
| 項目 | 消防:離隔距離 | 建築:内装制限 |
|---|---|---|
| 根拠 | 東京都火災予防条例第3条・第3条の2、別表第三 | 建築基準法第35条の2、同法施行令第128条の4第4項・第128条の5第6項 |
| 見る対象 | 個々の火気設備と、周囲の壁・天井・可燃物との距離、下地を含む構造 | 火気使用室の壁・天井の仕上げ材 |
| 耐火建築物の扱い | 建物の構造に関係なく適用 | 特定主要構造部を耐火構造とした建築物は対象外 |
耐火建築物のテナントで内装制限がかからない場合でも、消防の離隔距離は必ず適用されます。「内装制限の対象外だから壁は何でもよい」は誤りです。
テーブルの焼き台から下に吸い込む下方排気方式の厨房設備は、入力に関係なく火を使用する設備等の設置届出書の対象です(条例第57条第1項第3号かっこ書)。排気ダクトは階ごとに専用とします(条例第3条の2第1項第2号チ)。床下のダクトは完成後に確認できないため、中間検査の段取りが重要です。
焼肉店の客席で七輪などの上に下ろす排気ダクト(上引き排気ダクト)は、長く消防法令に明確な基準がありませんでした。東京消防庁は「火気器具上部に設置される排気ダクトの火災抑制方策に関する調査研究報告書」(令和7年2月)で、ダクト内に堆積した油脂が0.4mm程度に達すると火災危険が高まることなどを示し、技術基準を定めて令和7年10月から運用しています。
総務省消防庁は、令和8年7月3日付けで火災予防条例(例)を改正し(消防予第278号)、同日付けの「上引き排気ダクト等の適切な管理に関する運用について(通知)」(消防予第279号)で、おおむね次の管理を示しました。
| 項目 | 内容(消防予第279号) |
|---|---|
| 装置の順番と位置 | 排気取入口側からグリス除去装置→火炎伝送防止装置の順。グリス除去装置の下端は火源から80cm以上1m以下 |
| 毎営業日 | グリス除去装置と、排気取入口からグリス除去装置までのダクトを目視等で点検・清掃 |
| 6か月に1回程度 | グリス除去装置から火炎伝送防止装置まで、および火炎伝送防止装置から排気ファン側おおむね1mまでを点検し、0.4mm程度の油脂の付着があれば清掃 |
| 装置がない・位置が不適切な場合 | 火源からおおむね1mの範囲を毎営業日点検・清掃。それ以外は1か月に1回程度点検し、0.4mm程度の付着で清掃 |
| 既存店 | 改修等の機会に、グリス除去装置・火炎伝送防止装置・点検口を設けることが望ましい(東京消防庁の技術基準を参考) |
2026年10月10日時点で、東京都火災予防条例には上引き排気ダクトの条文は設けられていません。東京都内では、東京消防庁の技術基準に基づく指導として扱われます。居抜きの焼肉店で、専門業者以外がダクトを延長・接続した結果、装置の順番が逆になり火災が拡大した事例も報告されています。居抜き物件を引き継ぐときは、装置の順番と点検口の有無を必ず確認してください。
東京消防庁は、木炭を燃料とする炭火焼き器を従来「炉」として扱っていましたが、令和5年10月13日の条例改正(令和6年1月1日施行)で、固体燃料を使用する厨房設備として別表第三に離隔距離を定めました(前掲の表)。古い資料の「炉」の距離で設計しないよう注意してください。
ベーカリーやパン菓子店で使うデッキオーブンは天蓋の直下に置かれることが多く、グリス除去装置との距離の確保が問題になっていました。総務省消防庁は「デッキオーブンとグリス除去装置との火災予防上安全な距離の運用について(通知)」(令和8年3月27日付け消防予第113号)で、火源が露出しない、自動温度調整装置と過熱防止装置がある、不燃材で構成され外部に延焼しない、熱源が気体または電気、清掃できる空間がある、のすべてを満たすデッキオーブンは、消防予第60号の距離を確保する必要はないとしました。ただし、壁や可燃物との離隔距離(対象火気省令第5条)は別に必要です。
消防用設備等の設置基準は、原則として建物(棟)全体の用途と面積で判断します。テナントの区画だけでなく、入居する建物の延べ面積と、他のテナントの用途を確認してください。飲食店((3)項)の主な基準は次のとおりです。
| 設備等 | (3)項で必要になる主な場合 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消火器 | 火を使用する設備・器具を設けたものは延べ面積にかかわらず。調理油過熱防止装置・自動消火装置等の措置を講じたものは延べ150㎡以上 | 令第10条第1項第1号ロ・第2号ロ、規則第5条の4 |
| 消火器(東京都の付加) | 油を煮沸する設備・器具のある場所等に設置。延べ150㎡未満の(3)項は各部分から歩行距離20m以下に配置 | 東京都火災予防条例第36条第2項第5号・第4項 |
| 自動火災報知設備 | 延べ300㎡以上/地階・無窓階で床面積100㎡以上/避難階以外の階に飲食店等があり、地上に直通する階段が1つしかない建物(特定一階段等防火対象物。屋外階段等の場合を除く)は面積不問 | 令第21条第1項第3号イ・第10号・第7号 |
| 誘導灯 | 避難口誘導灯・通路誘導灯は原則として全体に必要(避難口を容易に見通せる小規模な階などの免除あり) | 令第26条第1項、規則第28条の2 |
| 非常警報設備 | 収容人員50人以上、または地階・無窓階の収容人員20人以上(自動火災報知設備の有効範囲は除く) | 令第24条第2項第2号 |
| 屋内消火栓設備 | 延べ700㎡以上/地階・無窓階・4階以上の階で床面積150㎡以上 | 令第11条第1項第2号・第6号 |
| スプリンクラー設備 | 地階・無窓階で床面積1,000㎡以上/4階以上10階以下の階で1,500㎡以上/地階を除く階数11以上 | 令第12条第1項第11号イ・第3号 |
※面積は建物の用途・構造により緩和・加算があります。複合用途((16)項イ)の建物では、令第9条により用途ごとに判断する設備と、建物全体で判断する設備があります。
内装工事で窓をふさぐと、その階が無窓階になり、自動火災報知設備やスプリンクラー設備の基準が一気に厳しくなることがあります(「無窓階とは?判定基準・消防設備・東京消防庁の運用を解説」参照)。また、特定用途である飲食店に用途を変えると、既存の建物でも現行基準への適合が求められます(消防法第17条の3第2項第4号)。設備工事が必要かどうかは、設計の前に判断しておくべき事項です(「テナント入居・内装工事で確認すべき消防法令のチェックポイント」参照)。
飲食店は防炎防火対象物で(令第4条の3第1項)、使用するカーテン、布製のブラインド、じゅうたん等は防炎性能を有するものでなければなりません(消防法第8条の3第1項、令第4条の3第3項)。のれんや装飾用の布を含め、購入時に防炎ラベルを確認してください。
飲食店が存する階で、店舗ごとの客席の床面積が150㎡以上の店舗は、客席に有効幅員1.2m(客席300㎡以上は1.6m)以上の避難通路を設け、いす席・テーブル席・ボックス席7個以上を通過しないで避難通路に達するようにしなければなりません(東京都火災予防条例第50条)。この配置図は工事等計画届出書の添付図書になります(規則第12条第2項第3号)。
飲食店は特定用途のため、収容人員が30人以上になると防火管理者を選任し、消防計画を作成して届け出なければなりません(消防法第8条第1項・第2項、令第1条の2第3項第1号ロ)。収容人員は、従業者の数に、固定いす席は席数、その他の客席部分は床面積を3㎡で除した数を加えて算定します(消防法施行規則第1条の3)。算定方法は「収容人員の計算方法|消防法施行規則第1条の3の用途別算定表」、選任の要否は「防火管理者の選任が必要な建物とは|収容人員10人・30人・50人の判定基準」で解説しています。
東京消防庁管内での一般的な流れです。所轄消防署や工事の規模によって前後します。
| 時期 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 物件契約前〜設計の初期 | 建物の用途・延べ面積・無窓階の確認、厨房機器リスト(入力の合計)と平面図の作成、所轄消防署の予防課へ事前相談 | 法令上の義務ではないが実務上ほぼ必須 |
| 工事着手の10日前まで | 着工届(消防設備士)、消防用設備等の設置計画の届出 | 法第17条の14、条例第58条の2第1項 |
| 工事着手の7日前まで | 防火対象物工事等計画届出書、火を使用する設備等の設置届出書 | 条例第56条第1項、第57条第1項 |
| 工事中(天井・壁を閉じる前) | 排気ダクト・貫通部・下地の確認(中間検査) | 規則第12条の2の2 |
| 使用開始の7日前まで | 防火対象物使用開始届出書 | 条例第56条の2第1項 |
| 工事完了後4日以内 | 消防用設備等設置届出書の提出と検査 | 法第17条の3の2 |
| 使用開始前 | 使用開始前検査、火気使用設備等の使用検査 | 条例第56条の2第3項、第57条第4項 |
| 防火管理者を選任したとき | 防火管理者選任届出書、消防計画作成届出書 | 法第8条第1項・第2項 |
・「消防の届出は内装業者がやってくれる」:工事等計画届出書は工事をしようとする者、使用開始届出書は使用する事業者自身が届出義務者です。業者に任せきりにせず、提出の有無を確認してください。
・「120kW未満の厨房なら消防は関係ない」:設置届出書が不要なだけで、ダクト・離隔距離の基準(条例第3条の2)は適用され、工事等計画届出書の添付図書でも審査されます。
・「耐火建築物だから壁の仕上げは自由」:内装制限が外れても、消防の離隔距離は外れません。
・「ステンレスを貼れば離隔ゼロ」:下地・構造・点検空間の条件がそろわなければ、離隔距離は必要です。
・「居抜きなら前の店のダクトをそのまま使える」:他用途のダクトとの接続、油の堆積、装置の順番など、前の店の状態が基準に合っているとは限りません。
・「自動消火装置は消防設備だから点検報告で管理される」:厨房の自動消火装置は条例上の構造要件で、清掃・維持管理の義務は事業者にあります。
| 専門家 | 担当すること | 根拠 |
|---|---|---|
| 行政書士 | 工事等計画届出書・使用開始届出書・火を使用する設備等の設置届出書・防火管理者選任届出書・消防計画作成届出書等の作成と提出手続の代理、所轄消防署との事前相談 | 行政書士法第1条の3第1項 |
| 甲種消防設備士 | 消防用設備等の工事と、着工届の届出(資格者本人が届出義務者) | 消防法第17条の5、第17条の14 |
| 建築士・内装設計者 | 設計、建築確認申請、内装制限への適合 | 建築士法、建築基準法 |
| 厨房・ダクト業者 | 機器の選定・据付け、ダクトの施工、図面・仕様書の作成 | — |
他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として官公署に提出する書類を作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人です(行政書士法第19条第1項)。令和8年1月1日施行の改正で、この「いかなる名目によるかを問わず」が条文に明記され、両罰規定(同法第23条の3)も設けられました。総務省は、この改正について「『手数料』や『コンサルタント料』等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に明示する」ものと説明しています(令和7年6月13日総行行第281号)。内装工事費や厨房機器代に「届出代行込み」として含める形でも、行政書士でない者が報酬を得て届出書を作成することは問題になります。詳しくは「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」をご覧ください。
当事務所の報酬額は、店舗の規模、図面作成の要否、消防署との事前相談の回数によって変わります。最新の料金は報酬額表をご確認ください。
飲食店の出店に必要な消防届出、オープン日から逆算して洗い出します
物件の所在地・入居する階と床面積・厨房機器リスト(わかる範囲で)・オープン予定日をお知らせいただければ、必要な届出の一覧と提出期限のスケジュール、所轄消防署への事前相談、届出書の作成・提出、検査日程の調整まで、行政書士として一貫してご支援します。内装の図面が固まる前のご相談ほど、手戻りを防げます。
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☎ 03-6783-6727/FAX 03-6750-2225 受付時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日はお問い合わせフォームで受付)
東京消防庁管内では、工事着手の7日前までの防火対象物工事等計画届出書(東京都火災予防条例第56条第1項)と、使用開始の7日前までの防火対象物使用開始届出書(同条例第56条の2第1項)が基本です。厨房設備の入力の合計が120kW以上か下方排気方式なら火を使用する設備等の設置届出書(同条例第57条第1項)、消防用設備等の工事をするなら着工届(消防法第17条の14)と設置届(同法第17条の3の2)、収容人員30人以上なら防火管理者選任届出書と消防計画作成届出書が加わります。
同じものです。正式名称は防火対象物工事等計画届出書で、東京都火災予防条例第56条第1項と同条例施行規則第12条(別記第3号様式)に基づく東京都独自の届出です。建築確認を受けた工事では不要ですが、その場合も防火対象物使用開始届出書は必要です。
火を使用する設備等の設置届出書(東京都火災予防条例第57条第1項第3号)は不要です(下方排気方式を除く)。ただし、工事等計画届出書には条例第57条の対象外の火気使用設備等の位置・構造を示す図書を添付するため(火災予防条例施行規則第12条第2項第2号)、厨房機器の配置やダクトは審査の対象になります。排気ダクトや離隔距離の基準(条例第3条の2)も入力に関係なく適用されます。
可燃性の部分から10cm以上です(東京都火災予防条例第3条の2第1項第2号ハ)。金属以外の特定不燃材料で有効に被覆した部分は、この距離によらないことができます。あわせて、ダクトは耐食性を有する鋼板等で造り、フランジ接続や溶接で気密に接続し、直接屋外に出し、他の用途のダクトと接続しないことが必要です(同号イ・ロ・ホ)。
東京都では、排気取入口と火源の距離は原則1.0m以上です。グリスフィルターを用い火源がブロイラー・オーブン等のものは1.2m以上、グリスエクストラクターを用いるものは0.45m以上です(火災予防条例施行規則第3条第3項)。総務省消防庁の消防予第60号(平成5年2月10日)は、火源が露出せず自動温度調節装置・過熱防止装置を備えたフライヤー・グリドルについてこの距離によらないことができる運用を示していますが、東京都の規則には同じ例外の規定がないため、東京都内での扱いは所轄消防署に確認してください。
油脂を含む蒸気が出る厨房設備では自動消火装置が原則ですが、防火ダンパー等を適切に設けた場合などは除かれます(東京都火災予防条例第3条の2第1項第3号ハ)。ただし、地階に設ける厨房設備((3)項等の特定用途の建物)で同一厨房室の入力合計が350kW以上のもの、高さ31m超の建築物で同一厨房室の入力合計が350kW以上のものは、自動消火装置が必須です(同号ニ)。
それだけでは不要になりません。東京都火災予防条例第3条第1項第1号で離隔距離を要しないのは、特定不燃材料で有効に仕上げ、構造が準耐火構造で、間柱・下地その他主要な部分を特定不燃材料で造り、点検整備のため60cm以上の空間(規則第2条の2)を確保した場合に限られます。木下地にステンレス板を貼っただけでは下地の条件を満たしません。
内装制限(建築基準法施行令第128条の4第4項・第128条の5第6項)は、火を使う調理室等の壁・天井の仕上げを準不燃材料等にするルールで、特定主要構造部を耐火構造とした建築物は対象外です。消防の離隔距離(東京都火災予防条例第3条・第3条の2、別表第三)は、個々の火気設備と周囲の壁・天井・可燃物との距離や下地を含む構造のルールで、建物の構造に関係なく適用されます。耐火建築物のテナントでも離隔距離は必要です。
総務省消防庁は令和8年7月3日付け消防予第279号で、排気取入口側からグリス除去装置、火炎伝送防止装置の順に設け、グリス除去装置の下端を火源から80cm以上1m以下とする例を示し、排気取入口からグリス除去装置までは毎営業日点検・清掃、その先は6か月に1回程度点検して厚さ0.4mm程度の油脂の付着があれば清掃するよう示しています。東京都内では、東京消防庁が令和7年10月から運用している技術基準に基づいて指導されます。
新しく営業を始める事業者は、防火対象物使用開始届出書が必要です(東京都火災予防条例第56条の2第1項)。内装の模様替えや間取りの変更をするなら工事等計画届出書(同条例第56条第1項第2号)、厨房設備を入れ替えたり増設したりする場合は、設置または内容の変更として火を使用する設備等の設置届出書(同条例第57条第1項)が必要になり得ます。前の店のダクトが他の用途のダクトに接続されていないか、油が堆積していないかも確認してください。
必要です。飲食店で火を使用する設備または器具を設けたものは、延べ面積にかかわらず消火器具の設置が必要です(消防法施行令第10条第1項第1号ロ)。すべての火気設備に調理油過熱防止装置や自動消火装置等の措置を講じた場合(消防法施行規則第5条の4)は延べ150㎡以上で必要になります(令第10条第1項第2号ロ)。東京都では、延べ150㎡未満の飲食店は各部分から歩行距離20m以下となるように配置します(東京都火災予防条例第36条第4項)。
他人の依頼を受けて報酬を得て、業として官公署に提出する書類を作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人です(行政書士法第19条第1項)。令和8年1月1日施行の改正で「いかなる名目によるかを問わず」と明記され、工事費や手数料に含める形でも違法になり得ます。なお、工事整備対象設備等着工届出書は甲種消防設備士本人が届出義務者です(消防法第17条の14)。手続ごとに作成者・届出者を確認してください。
・テナント入居・内装工事で確認すべき消防法令のチェックポイント
・防火対象物使用開始届出書とは|期限7日前・添付書類・罰則を解説
・火を使用する設備の消防届出|対象一覧・7日前・罰則を解説
・消防用設備等設置届出書の作成代行は行政書士法違反?届出者・4日以内の期限・罰則を解説
・無窓階とは?判定基準・消防設備・東京消防庁の運用を解説
・消防法の用途判定とは?令別表第一の項の決め方・従属用途・みなし従属を解説
・店舗・飲食店・クリニックが入る共同住宅の消防法令|16項イの判定・設備・防火管理を解説
・消防届出は行政書士へ|東京消防庁管内の届出一覧・期限・依頼できる範囲を徹底解説
・消防法(昭和23年法律第186号)第8条、第8条の3、第9条、第17条の3、第17条の3の2、第17条の5、第17条の14、第44条
・消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2、第4条の3、第9条、第10条、第11条、第12条、第21条、第24条、第26条、別表第一
・消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第1条の3、第5条の4、第28条の2
・対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第4条、第5条、第11条、第16条、別表第一
・東京都火災予防条例(昭和37年東京都条例第65号)第3条、第3条の2、第36条、第50条、第56条、第56条の2、第57条、第58条、第58条の2、第67条の2、第68条、別表第三
・火災予防条例施行規則(昭和37年東京都規則第100号)第2条の2、第3条、第3条の3、第12条、第12条の2の2、第13条
・建築基準法(昭和25年法律第201号)第35条の2、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第128条の4、第128条の5
・行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の3、第19条、第23条の3
・総務省消防庁「火災予防条例準則の運用について(通知)」(平成5年2月10日付け消防予第60号)
・総務省消防庁「デッキオーブンとグリス除去装置との火災予防上安全な距離の運用について(通知)」(令和8年3月27日付け消防予第113号)
・総務省消防庁「上引き排気ダクト等の適切な管理に関する運用について(通知)」(令和8年7月3日付け消防予第279号)
・総務省消防庁「厨房設備等の基準に関する検討部会報告書」(令和8年3月)
・東京消防庁「火気器具上部に設置される排気ダクトの火災抑制方策に関する調査研究報告書」(令和7年2月)
・東京消防庁予防部予防課「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン」
・総務省 令和7年6月13日付け総行行第281号(行政書士法の一部改正に関する通知)
・東京都例規集:火災予防条例
・東京都例規集:火災予防条例施行規則
・e-Gov法令検索:消防法施行令
・e-Gov法令検索:消防法施行規則
・e-Gov法令検索:対象火気省令
・総務省消防庁:消防予第279号(上引き排気ダクト等)
・総務省消防庁:消防予第113号(デッキオーブン)
・東京消防庁:飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン
この記事を書いた人
萩本昌史(はぎもと まさし)/特定行政書士
保有資格:特定行政書士、消防設備士、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者
行政書士萩本昌史事務所/東京の消防手続支援ステーション
〒157-0061 東京都世田谷区北烏山7-25-8-401
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東京都内の消防署への各種届出、消防計画の作成、防火対象物点検・防災管理点検を取り扱っています。飲食店の出店に伴う工事等計画届出書・使用開始届出書・火を使用する設備等の設置届出書の作成、防火管理者選任届、消防計画の作成もご相談ください。
本記事は2026年10月10日時点で確認した法令・公的資料をもとにした一般的な解説です。法令改正、火災予防条例、管轄消防署の運用、個別の建物の用途・面積・構造、厨房機器の仕様により結論が変わる場合があります。具体的な案件は、対象建物を管轄する消防署および行政書士にご確認ください。
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