火を使用する設備の消防届出|対象一覧・7日前・罰則を解説

火を使用する設備の消防届出|対象一覧・7日前・罰則を解説

火を使用する設備の基準は消防法ではなく、消防法第9条を受けた東京都火災予防条例(第3条〜第17条)が定めています。条例第57条第1項に列挙された設備は、工事に着手する日の7日前までに消防署長への届出が必要で、使用開始前には検査もあります。厨房設備120kW・ボイラー70kW・蓄電池20kWhなどの判定ライン、様式、添付図書、10万円以下の罰金まで行政書士が解説します。

結論:「火を使用する設備」の位置・構造・管理の基準は消防法本体ではなく、消防法第9条を受けた東京都火災予防条例(第3条から第17条)が定めています。そして、条例第57条第1項に18の区分で列挙された設備を設置(内容の変更を含む)しようとする者は、その工事に着手する日の7日前までに、所轄の消防署長へ「火を使用する設備等の設置(変更)届出書」を提出しなければなりません。届出をせず、または虚偽の届出をして設備を設置し使用した者には10万円以下の罰金が定められています(同条例第67条の2第5号)。法人にも罰金刑が科されます(同第68条・両罰規定)。
「厨房機器はリース会社が入れるので、うちは関係ないと思っていた」「キュービクルは電気工事屋さんの担当だと思っていた」——飲食店の出店やオフィスの増床でよくうかがう言葉です。しかし条例が届出義務を課しているのは「設置しようとする者」であり、機器を売った業者でも工事をした業者でもありません。しかも東京都の届出対象は、総務省消防庁が示す全国の準則よりも広く設定されている項目があります(厨房設備は準則350kWに対し東京都は120kW、炉は準則2平方メートルに対し東京都は1平方メートルなど)。
本記事は、東京都内(東京消防庁管内)で店舗・事務所・工場を新設または改装する事業者の方に向けて、火を使用する設備の法令上の位置づけ、東京都で基準の対象になる設備、届出が必要になる規模、様式と添付図書、使用開始前の検査、全国の準則との違い、そして実務でつまずきやすい点を、消防法・同施行令・対象火気省令・東京都火災予防条例・同施行規則および総務省消防庁の通知に沿って整理した実務ガイドです。


1. 「火を使用する設備」とは|条文上の根拠と法令の階層

「火を使用する設備」とは、消防法第9条にいう「火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備」のことで、炉・厨房設備・ボイラー・給湯湯沸設備・変電設備・蓄電池設備など、消防法施行令第5条および対象火気省令第3条で類型化された設備(対象火気設備等)を指します。その具体的な基準は、市町村(東京都の特別区の存する区域等では東京都)の火災予防条例に置かれます。

消防法 第9条
かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。

消防法は「基準は政令で定め、具体的な規制は条例で置く」という組み立てを採っています。したがって、「消防法で決まっているから全国どこでも同じ」という前提は成り立ちません。条文を探すときは、まず建物の所在地を管轄する消防本部の火災予防条例を見るのが正しい順序です。

規定 定めている内容
法律 消防法第9条 火を使用する設備・器具に関する事項は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める
政令 消防法施行令第5条・第5条の2 条例を制定する際に従うべき基準(離隔距離、不燃性の床、延焼防止措置、安全装置、管理など)
省令 対象火気省令(平成14年総務省令第24号) 対象火気設備等・対象火気器具等の定義、離隔距離の別表、構造・安全装置の細目
告示 対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準(平成14年消防庁告示第1号) 別表によらない場合の離隔距離の算定方法
準則 総務省消防庁「火災予防条例(例)」(昭和36年11月22日自消甲予発第73号) 市町村が条例を作る際のひな形。第3条以下に設備の基準、第44条に設置の届出
条例 東京都火災予防条例第3条〜第17条、第57条 東京都で実際に適用される位置・構造・管理の基準と、設置の届出義務
規則 火災予防条例施行規則 届出の様式(別記第4号様式ほか)、添付図書、検査の種別など


「設備」と「器具」は法令上まったく別の扱い

消防法第9条は「設備」と「器具」を書き分けています。この区別は実務に直結します。

区分 意味 東京都火災予防条例 設置の届出
火を使用する設備(対象火気設備等) 建物に据え付けて使うもの。炉、厨房設備、ボイラー、給湯湯沸設備、変電設備、蓄電池設備など 第3条〜第17条(位置・構造・管理の基準) 第57条第1項に列挙されたものは必要
火を使用する器具(対象火気器具等) 持ち運べるもの。卓上こんろ、石油ストーブ、電気ストーブ、こたつなど 第18条〜第21条(取扱いの基準) 不要(ただし取扱い基準の遵守義務はある)

📌 ここを取り違えると届出が漏れます。「厨房のコンロ」と一口に言っても、建物に据え付けたレンジ・フライヤー等は「厨房設備」という設備であり、卓上に置くカセットこんろは「器具」です。また移動式でないストーブは対象火気省令上「設備」ですが、東京都火災予防条例第57条第1項には「ストーブ」の列挙がないため、設置の届出は不要です。基準の適用と届出の要否は別問題だと理解してください。


2. 東京都で基準の対象になる「火を使用する設備」一覧

東京都火災予防条例は、第3章第1節(第3条〜第17条)で設備ごとに位置・構造・管理の基準を定めています。自社の設備がどの条文に当たるかを最初に特定してください。

設備 条例の条文 基準のポイント(抜粋)
第3条 離隔距離、階段・避難口を避ける位置、隠ぺい場所を避ける、不燃性の床上、燃料タンクの板厚と2メートル水平距離、煙突・排気筒の構造など基準の中核。他の設備の多くがこの条を準用する
厨房設備(レンジ、フライヤー等) 第3条の2 揚げ物調理には過熱防止装置、排気ダクト等は不燃・気密・直接屋外へ、油脂蒸気が出るものはグリス除去装置と火炎伝送防止装置(自動消火装置)
ボイラー 第4条 蒸気管の遮熱被覆、安全弁その他の安全装置
ストーブ(移動式を除く) 第5条 固体燃料のものは特定不燃材料で造るか覆い、底面通気のある置台とたき殻受け
壁付暖炉 第6条 煙突・煙道の屋内部分の厚さ(鉄筋コンクリート造15センチメートル以上等)
温風暖房機 第6条の2 温風に火粉・煙・ガス等が混入しない構造、熱交換部分は耐熱性の金属材料等
ヒートポンプ冷暖房機 第6条の3 内燃機関を点検できる位置、防振措置、排気筒の防火上有効な構造
乾燥設備 第7条 乾燥物品が直接熱源に接触しない構造、非常警報装置または熱源自動停止装置、可燃物・危険物の乾燥は原則直火不可
サウナ設備 第7条の2 避難上支障がなく火災予防上安全に区画された位置、耐熱・耐乾性の電気配線、温度異常時に熱源を遮断する手動および自動の装置、室の出入口等に標識
簡易湯沸設備(入力12キロワット以下) 第8条 炉の規定の一部を準用
給湯湯沸設備(簡易湯沸設備以外) 第8条の2 炉の規定の一部を準用
燃料電池発電設備 第8条の3 屋内・屋外別に基準。出力10キロワット未満で一定の安全装置を備えるものは基準を緩和
ふろがま 第9条 すす等で目詰りしにくい構造、液体・気体燃料のものは空だき防止装置
火花を生ずる設備(グラビヤ印刷機、ゴムスプレッダー、起毛機、反毛機等) 第10条 静電気除去の措置など
放電加工機(加工液に危険物を用いるもの) 第10条の2 加工液の温度・液面・異常検出時の自動停止、着火時の自動消火
変電設備(屋内は全出力20キロワット超) 第11条 浸水・腐食性ガスのない位置、不燃区画室と防火戸、貫通部の充てん、換気設備
急速充電設備 第11条の2 絶縁状況の確認、コネクターの接続、漏電・地絡・温度異常時の自動停止など
内燃機関を原動力とする発電設備 第12条 点検できる位置、防振措置を講じた台床、排気筒の防火上有効な構造
蓄電池設備(蓄電池容量10キロワット時超。10〜20キロワット時で告示に定める出火防止措置等が講じられたものを除く) 第13条 地震等で容易に転倒・亀裂・破損しない構造、開放形鉛蓄電池は耐酸性の床上または台上
ネオン管灯設備 第14条 点滅装置の不燃材料の覆い、取付け材の制限
舞台装置等の電気設備 第15条 充電部を露出させない、一の電線を二以上の分岐回路に使用しない
避雷設備 第16条 消防総監が指定する日本産業規格による
水素ガスを充てんする気球 第17条 位置・構造・管理


3. 位置・構造・管理の基準|実務で必ず問題になる5つの論点


論点1:離隔距離(火災予防上安全な距離)

条例第3条第1項第1号は、炉から建築物等および可燃性の物品まで「火災予防上安全な距離」を保つことを求め、距離は条例別表第三(燃料種別)・別表第四(電気を熱源とするもの)によるとしています。これらにより難いものとして消防総監または消防署長が認めるものは、消防総監が定めるところにより得られる距離となります。
この距離を保たなくてよいのは、特定不燃材料(コンクリート、れんが、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、しっくいその他これらに類する不燃性の材料)で有効に仕上げた建築物等の部分の構造が準耐火構造であり、間柱・下地その他主要な部分も特定不燃材料で造られ、かつ規則で定める設備の点検・整備に必要な空間を確保した場合に限られます。「壁がステンレス板だから大丈夫」という判断は危険で、下地まで含めた構造が問われます。改装現場で最も多い指摘事項のひとつです。


論点2:入力350キロワット以上は不燃区画室が必要

条例第3条第1項第12号の2は、多量の火気を使用する炉のうち規則で定めるものについて、不燃材料で造った壁・柱・床・天井で区画し、窓および出入口等に防火戸を設けた室内に設けることを求めています。火災予防条例施行規則第3条の3は、この「規則で定める炉等」を入力350キロワット以上の炉、厨房設備、ボイラー、ストーブ、温風暖房機、ヒートポンプ冷暖房機、乾燥設備、サウナ設備、給湯湯沸設備およびふろがまと定めています。
ただし書として、周囲に有効な空間を保有する等の火災予防上安全な措置が認められる場合があります。同規則第3条の3第2項は、その措置として、炉の周囲5メートル以上・上方10メートル以上の空間の保有、屋外または主要構造部を不燃材料とした建築物の屋上に設置する場合の周囲3メートル以上・上方5メートル以上の空間の保有、スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備のいずれかの設置を掲げています。厨房の設計段階でこの350キロワットのラインを越えるかどうかは、内装費に直結します。


論点3:厨房設備のグリス除去装置と自動消火装置

油脂を含む蒸気を発生するおそれのある厨房設備は、排気ダクトの排気取入口にグリス除去装置(グリスフィルター等)と、火炎伝送防止装置としての自動消火装置を設けることが原則です(条例第3条の2第1項第3号)。自動消火装置は、排気ダクトを用いず天蓋から屋外へ直接排気する構造のもの、排気ダクトの長さ・入力・使用状況から火災予防上支障がないと認められるもの、防火ダンパー等が適切に設けられているものについては免除され得ますが、次のいずれかに該当する厨房設備は免除されません(同号ニ)。

  • 令別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項および(16の3)項に掲げる防火対象物の地階に設ける厨房設備で、同一厨房室内に設ける厨房設備の入力の合計が350キロワット以上のもの
  • 高さ31メートルを超える建築物に設ける厨房設備で、同一厨房室内に設ける厨房設備の入力の合計が350キロワット以上のもの

誤解の多い点:この自動消火装置は消防法第17条に基づく「消防用設備等」ではありません。あくまで条例が定める厨房設備の構造要件です。したがって消防用設備等の点検報告(消防法第17条の3の3)の対象ではありませんが、条例第3条の2第1項第5号が清掃を行い、火災予防上支障のないよう維持管理することを義務づけています。「点検報告の対象外だから放置してよい」という理解は誤りです。


論点4:燃料タンク・配管

液体燃料を使用する設備では、燃料タンクの容量に応じた鋼板の板厚(5リットル以下は0.6ミリメートル以上、2,000リットルを超えるものは3.2ミリメートル以上)、炉から2メートル以上の水平距離(油温が引火点以上に上昇するおそれのないタンクは60センチメートル以上、または防火上有効な遮へいを設けることにより60センチメートル以下とすることも可)、開閉弁・ろ過装置・通気管・さび止め・水抜き構造などが条例第3条第1項第13号に細かく定められています。灯油や重油を貯蔵する場合は、数量によっては少量危険物貯蔵取扱所の届出(条例第58条)が別途必要になります。


論点5:管理の基準は「設置後ずっと続く義務」

条例第3条第3項は、炉およびその附属設備の周囲の整理・清掃、必要な点検および整備、液体燃料を使用する炉と電気を熱源とする炉の点検整備は熟練者に行わせること、設備に応じた適正な燃料の使用、異常燃焼を生ずるおそれのある炉は使用中に監視人を置くこと等を定めています。これらは設置時だけの話ではなく、使用を続ける限り継続する義務であり、消防署の立入検査(消防法第4条)でも確認されます。立入検査の実務は「消防署の立入検査と行政書士の役割|事業者が知っておきたい実務ポイント」で解説しています。


4. 火を使用する設備等の設置の届出|だれが・何を・いつまでに・どこへ

東京都火災予防条例第57条第1項に掲げる設備を設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む)は、当該工事に着手する日の7日前までに、消防署長へ届け出なければなりません。

東京都火災予防条例 第57条第1項(火気使用設備等の設置の届出等)
火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備(以下「火気使用設備等」という。)のうち次に掲げるものを設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む。)は、当該工事に着手する日の七日前までに、規則で定めるところによりその旨を消防署長に届け出なければならない。

要素 内容 根拠
だれが 設備を設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む)。テナントであれば入居事業者自身。工事業者や機器の販売業者ではない 条例第57条第1項
何を 設備区分に応じた届出書の様式+添付図書 規則第13条第1項・第2項
いつまでに 当該工事に着手する日の7日前まで 条例第57条第1項
どこへ 設置場所を管轄する消防署長(窓口は消防署の予防課) 条例第57条第1項
そのあと 消防署長が条例の基準に適合するかを審査し、使用開始前に消防署長の検査を受ける 条例第57条第3項・第4項


届出が必要になる設備と規模(条例第57条第1項各号)

ここが本記事の核心です。設備の種類ごとに「この規模から届出」というラインが決まっています。入力(最大の消費熱量。条例第3条の2第1項第2号イ)の値は、機器のカタログや仕様書で確認してください。

設備 届出が必要になる規模
1号 固体燃料を使用する炉 規模を問わずすべて
2号 1号以外の炉 据付け面積1平方メートル以上
3号 厨房設備 入力の合計が120キロワット以上。ただし排気取入口から下方に排気する方式のものは入力を問わずすべて
4号 温風暖房機・壁付き暖炉 風道を使用する温風暖房機はすべて。風道を使用しないものは入力70キロワット以上。壁付き暖炉はすべて
5号 ヒートポンプ冷暖房機 入力70キロワット以上
6号 ボイラー 入力70キロワット以上(ボイラー及び圧力容器安全規則第3条に定めるボイラーを除く)
7号 乾燥設備 入力17キロワット以上で、かつ乾燥物収容室の据付け面積1平方メートル以上・内部容積1立方メートル以上
8号 サウナ設備 規模を問わずすべて
9号 給湯湯沸設備 入力70キロワット以上(入力12キロワット以下のものは簡易湯沸設備であり、この号に当たらない)
10号 燃料電池発電設備 条例第8条の3第2項・第4項に定めるもの(出力10キロワット未満で一定の安全装置を備えたもの)を除く
11号 火花を生ずる設備 規模を問わずすべて
12号 放電加工機 すべて(加工液として危険物を用いるものに限る)
13号 変電設備 高圧または特別高圧のもの。低圧受電のものは対象外
14号 急速充電設備 全出力50キロワット超
15号 内燃機関を原動力とする発電設備 条例第12条第3項に定めるもの(屋外に設ける気体燃料使用のピストン式で出力10キロワット未満、かつ一定の鋼板製外箱に収納されたもの)を除く
16号 蓄電池設備 蓄電池容量20キロワット時超
17号 ネオン管灯設備 設備容量2キロボルトアンペア以上
18号 水素ガスを充塡する気球 規模を問わずすべて

⚠️ 飲食店で最も多い見落とし:3号の厨房設備は「入力の合計」で判定します。1台ずつは小さくても、レンジ・フライヤー・グリドル等を合算すると120キロワットに達することが珍しくありません。また下方排気方式(レンジフードではなく、こんろの脇や下から吸うタイプ)は入力に関係なく全件が届出対象です。なお「合計」をどの範囲(同一厨房室単位など)で取るかは運用が関係しますので、機器リストを持って所轄消防署に確認してください。

変電設備の「高圧」「特別高圧」は、電気設備に関する技術基準を定める省令第2条により、交流で600ボルトを超え7,000ボルト以下が高圧、7,000ボルトを超えるものが特別高圧とされています。いわゆるキュービクル式高圧受電設備は、この13号に該当します。キュービクル新設時の手続は「キュービクル新設時に必要な消防署への届出を徹底解説|変電設備設置届出書と少量危険物届出」で詳しく解説しています。


様式は設備によって5種類に分かれる

火災予防条例施行規則第13条第1項が、設備区分ごとの様式を定めています。1枚の様式ですべてをまかなえるわけではありません。

様式 対象となる設備
別記第4号様式 炉、厨房設備、温風暖房機、ヒートポンプ冷暖房機、ボイラー、乾燥設備、サウナ設備、給湯湯沸設備、火花を生ずる設備
別記第4号様式の2 燃料電池発電設備
別記第4号様式の3 放電加工機
別記第5号様式 高圧・特別高圧の変電設備、急速充電設備、内燃機関を原動力とする発電設備、蓄電池設備、ネオン管灯設備
別記第6号様式 水素ガスを充塡する気球

東京消防庁のサイトでは、別記第4号様式が「火を使用する設備等の設置(変更)届出書」、別記第4号様式の2が「燃料電池発電設備設置(変更)届出書」、別記第5号様式が「電気設備設置(変更)届出書」として、それぞれ別ページで案内されています。厨房設備とキュービクルの両方を入れる飲食店では、様式が2種類必要になります。


添付図書(規則第13条第2項)

届出書には、条例第57条第2項および火災予防条例施行規則第13条第2項により、次の図書を添付します。

様式区分 添付図書
別記第4号様式・第4号様式の3 設備の概要表/配置図/立面図/制御回路図/仕様書/設置場所の平面図・展開図・構造図・室内仕上表/設置場所の煙突等その他ダクトの系統図・平面図
別記第4号様式の2・第5号様式 設備の概要表/配置図/立面図/接続図/仕様書/設置場所の平面図・展開図・構造図・室内仕上表/設置場所の排気筒その他ダクトの系統図・平面図
別記第6号様式 設備の付近図/掲揚及びけい留状況図/電飾結線図

変更の届出については、設置の届出に添付した図書から内容に変更がないものは省略できます(同項ただし書)。室内仕上表と展開図は、離隔距離の判断に直結する重要書類です。「内装は業者に任せてあるので手元にない」という状態では届出が組み立てられませんので、設計事務所・内装業者から早めに入手してください。


5. 使用開始前の検査|「届出を出して終わり」ではない

条例第57条第1項各号に掲げる火気使用設備等を使用しようとする者は、使用開始前に消防署長の検査を受けなければなりません(同条第4項)。また消防署長は、届出の内容が条例に定める火気使用設備等の位置・構造・管理の基準に適合しているかどうかを審査します(同条第3項)。
火災予防条例施行規則第12条の2の2は、この検査を次の2種類に分けています。

検査の種別 内容
使用検査 火気使用設備等に係る工事等が完了した場合に行う検査
中間検査 使用検査を補完するため、火災予防上・消防活動上重大な影響を及ぼすと認められる部分で、工事等の完了後に行う使用検査が困難な部分(隠ぺいされる部分など)について、工事等の完了前に行う検査

検査の実施対象・実施時期その他の検査の実施に必要な事項は消防総監が定めるとされており(同条第2項)、運用の細目は東京消防庁の予防事務審査・検査基準によります。東京消防庁は届出書の案内ページで「届出後、工事完了時に消防署の検査を受ける必要があります(内容により省略される場合があります)」と説明していますが、省略されるかどうかを判断するのは事業者ではなく消防署です。自己判断で検査を受けずに使用を開始しないでください。

⚠️ ダクトは隠ぺいされる前が勝負です。厨房の排気ダクトや不燃区画の貫通部処理は、天井を張ってしまうと確認できません。中間検査が必要になる典型がここです。内装工事の工程表を作る段階で、「天井を閉じる前に見てもらうタイミング」を消防署と握っておくと、手戻りが避けられます。


6. 全国の準則との違い|東京都は対象が広い項目がある

総務省消防庁は「火災予防条例(例)」を示しており、その第44条が火を使用する設備等の設置の届出のひな形です。東京都火災予防条例第57条はこれに沿った規定ですが、同一ではありません。他府県での経験をそのまま東京に持ち込むと外れます。

項目 火災予防条例(例)第44条(全国の準則) 東京都火災予防条例第57条
提出期限 あらかじめ(具体的な日数の定めなし) 工事に着手する日の7日前まで
熱風炉/多量の可燃性ガス又は蒸気を発生する炉/据付面積2平方メートル以上の炉(個人の住居に設けるものを除く) 固体燃料を使用する炉/据付け面積1平方メートル以上の炉
厨房設備 同一厨房室内の入力の合計350キロワット以上 入力の合計120キロワット以上(下方排気方式は入力不問)
温風暖房機 入力70キロワット以上(風道を使用しないものは劇場等・キャバレー等に設けるものに限る) 風道を使用するものはすべて/風道を使用しないものは入力70キロワット以上
乾燥設備 すべて(個人の住居に設けるものを除く) 入力17キロワット以上、かつ乾燥物収容室の据付け面積1平方メートル以上・内部容積1立方メートル以上
変電設備 高圧・特別高圧(全出力50キロワット以下を除く 高圧・特別高圧(出力による除外なし
使用開始前の検査 規定なし あり(第57条第4項)
罰則 なし(条例(例)第49条に届出義務違反の列挙がない) 10万円以下の罰金(第67条の2第5号)+両罰規定(第68条)

読み方の注意:東京都が一律に厳しいわけではありません。乾燥設備のように東京都のほうが対象が狭い項目もあります。「東京は厳しいらしい」という一般論ではなく、設備ごとに条文を突き合わせるのが正しい進め方です。


届出をしないとどうなるか

東京都火災予防条例第67条の2第5号は、第57条第1項の届出をせず、もしくは虚偽の届出をし、または同条第4項の検査を拒み・妨げ・忌避して火気使用設備等を設置し使用した者を、10万円以下の罰金に処すると定めています。さらに同条例第68条の両罰規定により、法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して違反した場合は、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。
実務上、罰則が直ちに適用される場面はまれですが、未届が判明すれば立入検査で是正指導を受け、状況によっては設備の使用を見合わせるよう求められることがあります。営業を止めるコストのほうが、はるかに重い負担になります。


7. 実務ではどう運用されるか|スケジュールの逆算

飲食店の新装出店を例に、使用開始日から逆算した標準的な流れを整理します。時期の目安は東京消防庁管内の一般的なもので、所轄消防署や案件の規模によって前後します。

時期の目安 やること 根拠・備考
使用開始の1〜2か月前 用途判定・収容人員の確認、機器リストと平面図をもって所轄消防署の予防課へ事前相談 法令上の義務ではないが実務上ほぼ必須
工事着手の10日前まで 工事整備対象設備等着工届出書(消防用設備等の工事を行う場合) 消防法第17条の14/届出者は甲種消防設備士
工事着手の10日前まで 消防用設備等の設置計画の届出(誘導灯、非常警報設備等) 条例第58条の2第1項
設置をしようとする日(工事を伴う場合は工事着手日)の10日前まで 少量危険物貯蔵取扱所・指定可燃物貯蔵取扱所の届出(該当する場合) 条例第58条第1項
工事着手の7日前まで 防火対象物工事等計画届出書 条例第56条第1項
工事着手の7日前まで 火を使用する設備等の設置(変更)届出書(厨房設備・変電設備など該当するもの) 条例第57条第1項
工事中(隠ぺい前) 必要に応じて中間検査 規則第12条の2の2
使用開始の7日前まで 防火対象物使用開始届出書 条例第56条の2第1項
工事完了後4日以内 消防用設備等設置届出書を提出し、検査を受ける 消防法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3第1項
使用開始前 火気使用設備等の使用検査/指定防火対象物等の使用開始前検査 条例第57条第4項/条例第56条の2第3項
防火管理者を定めたとき遅滞なく 防火管理者選任(解任)届出書、消防計画作成(変更)届出書 消防法第8条第1項・第2項

📌 ここが盲点:防火対象物工事等計画届出書(条例第56条)と火気使用設備等の設置の届出(条例第57条)はどちらも「工事着手の7日前まで」で期限が同じですが、別々の届出です。前者は建物・区画の工事、後者は設備そのものが対象で、様式も添付図書も異なります。「工事の届出は出したから設備も含まれている」は誤りです。届出の全体像は「消防届出は行政書士へ|東京消防庁管内の届出一覧・期限・依頼できる範囲を徹底解説」にまとめています。


確認しておくべき5つの前提条件

確認項目 なぜ必要か
①新築か、既存建物か 建築確認・消防同意の有無で工事等計画届出の要否が変わる(条例第56条第1項ただし書)。火気使用設備等の設置の届出にはこのただし書がなく、建築確認を受けていても別途必要
②新装工事か、テナント入替か、居抜きか 居抜きで既存の厨房設備をそのまま使うのか、入れ替えるのかで届出の要否が変わる。入替は「設置」または「内容の変更」に当たり得る
③用途変更があるか 用途が変われば令別表第一の項が変わり、厨房設備の自動消火装置の要否や必要な消防用設備等も変わる
④設備の入力・出力・容量の実数値 120キロワット、70キロワット、350キロワット、20キロワット時、2キロボルトアンペアといった判定ラインに直結する。仕様書の入手が第一歩
⑤設置場所の内装仕上げと下地 離隔距離を保つ必要があるか、不燃区画室が必要かの判断材料。室内仕上表・展開図で確認する

用途判定は「消防法における建物の用途判定とは?消防法施行令 別表第1に基づく建物の用途について解説」、収容人員の算定は「防火対象物の収容人員の計算方法を用途区分別に徹底解説」で解説しています。


8. 例外・特例が問題になる場面


基準の特例(条例第22条の2)

予想しない特殊の設備または器具を用いることにより、条例の規定による場合と同等以上の安全性を確保することができると消防総監または消防署長が認めたとき、その他位置・構造・管理または取扱い並びに周囲の状況から判断して火災の発生および延焼のおそれが著しく少ないと認めるときは、条例第3章第1節・第2節の規定によらないことができます(条例第22条の2)。これは、消防法施行令第5条の4が条例に設けることを求めている適用除外規定です。
新しい方式の調理機器や、海外製で国内の一般的な仕様に当てはまらない設備を導入するときに検討する余地があります。ただし認めるかどうかは消防機関の判断であり、同等以上の安全性を示す資料(試験成績書、構造図、メーカーの技術資料など)を用意して事前に協議する必要があります。特例の考え方全般は「民泊開設の消防「基準の特例申請」完全ガイド|自動火災報知設備・スプリンクラーの免除と緩和」もご参照ください。


「内容の変更」も届出対象

条例第57条第1項は、届出義務者に「内容を変更しようとする者を含む」と明記しています。既存の厨房でフライヤーを大型のものに入れ替える、キュービクルの容量を増やす、蓄電池を増設する——いずれも「変更」に当たり得ます。「新規設置ではないから不要」という自己判断は避けてください。変更の場合、設置の届出に添付した図書から内容に変更がないものは省略できます(規則第13条第2項ただし書)。


簡易サウナ設備(テント型・バレル型)の取扱い

近年のサウナブームを背景に、屋外のテントやバレル(木樽)にサウナストーブを設置する事例が増えました。総務省消防庁は「可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会報告書」を踏まえ、令和7年11月12日に対象火気省令および消防庁告示を改正し(令和7年総務省令第101号・令和7年消防庁告示第10号、令和8年3月31日施行)、あわせて火災予防条例(例)を改正しました(令和7年11月12日付け消防予第444号、同日付け消防予第496号)。

改正のポイント 内容
区分の新設 対象火気設備等の種類に「簡易サウナ設備」を追加し、従来の「サウナ設備」を「一般サウナ設備」に変更
簡易サウナ設備の定義 屋外その他の直接外気に接する場所に設けるテント型サウナ室またはバレル型サウナ室に設ける放熱設備であって、定格出力6キロワット以下のものであり、かつ薪または電気を熱源とするもの
離隔距離 周囲の可燃物が許容最高温度(100度)を超えない距離、または当該可燃物が引火しない距離のいずれかが確保されていればよい
安全装置 温度が異常に上昇した場合に直ちに熱源を遮断することができる手動および自動の装置。ただし薪を熱源とするものは、周囲で火災が発生した際に速やかに使用できる位置への消火器の設置で代えることができる
届出(条例(例)第44条関係) 簡易サウナ設備は、個人が設けるものを除き、一般サウナ設備と同様に届出を要することとされた

⚠️ 東京都での注意点:この改正は総務省令・告示と、市町村が条例を作る際のひな形である「火災予防条例(例)」の改正です。東京都火災予防条例には、本記事作成時点(2026年8月)で「簡易サウナ設備」の区分は設けられておらず、第7条の2「サウナ設備」および第57条第1項第8号「サウナ設備」の規定が置かれたままです。東京都内でテント型・バレル型サウナを事業として設置する場合の具体的な取扱い(条例上どの区分で扱われるか、届出の要否、離隔距離の考え方)は、必ず設置場所を管轄する消防署に確認してください。なお消防予第496号は、テント型・バレル型のサウナ室に複数のサウナ設備を設置する場合は定格出力等によらず簡易サウナ設備として扱わないこと、防火対象物の屋上等に設置する場合は消防法施行規則第6条第5項の「その他多量の火気を使用する場所」に該当することなどの留意事項を示しています。


住居に設ける設備の扱い

火災予防条例(例)第44条は、炉・ボイラー・給湯湯沸設備・乾燥設備・サウナ設備などについて「個人の住居に設けるものを除く」という除外を置いています。一方、東京都火災予防条例第57条第1項各号には、この文言がありません。住宅に設ける設備の届出の要否は、設備の種類と条文の該当性で判断することになりますので、判断に迷う場合は所轄消防署に確認してください。なお、家庭用のこんろ・電気ストーブ・こたつなどは「器具」であり、条例第18条から第21条までの取扱いの基準が適用されますが、設置の届出の対象ではありません。


所轄消防署による運用の差

この届出は条例に基づく手続です。市町村(消防本部)が変われば、条番号も対象設備の規模も様式も変わります。東京消防庁管内であっても、求められる図書の細かさ、検査の実施時期、事前相談の受け方には署ごとの差があります。「前の店舗のときはこれで通った」が通用するとは限りません。物件ごとに、その物件を管轄する消防署に確認するのが原則です。


9. 関連する他の消防手続との関係

手続 根拠 火気使用設備等の届出との関係
防火対象物工事等計画届出書 条例第56条第1項 建物・区画の工事が対象。期限は同じ「工事着手の7日前」だが別の届出
防火対象物使用開始届出書 条例第56条の2第1項 建物・区画を使いはじめる前の届出。設備の届出とは別に必要(解説記事
少量危険物貯蔵取扱所等の届出 条例第58条第1項 灯油・重油等を指定数量の5分の1以上指定数量未満貯蔵・取扱いする場合に別途必要(解説記事
消防用設備等設置届出書 消防法第17条の3の2 消火器、自動火災報知設備等が対象。厨房設備の自動消火装置はこれに当たらない
工事整備対象設備等着工届出書 消防法第17条の14 届出義務者は甲種消防設備士。行政書士が代わって届け出ることはできない
防火管理者選任(解任)届出書・消防計画 消防法第8条第1項・第2項 用途と収容人員により要否が決まる(解説記事

飲食店の出店で必要になる届出全体の流れは「飲食店出店時の消防手続きを徹底解説|工事計画届出書・必要書類一覧【東京消防庁管内】」で、危険物側の手続は「危険物施設の設置・管理・届出を徹底解説!~東京都条例と全国自治体のポイント~」で解説しています。


10. よくある誤解と注意点

よくある誤解 正しい理解
「消防法で決まっているから全国同じ」 消防法第9条は基準の枠組みを定めるだけで、実際の規制は市町村の火災予防条例。東京都は第3条〜第17条・第57条
「厨房機器の設置は業者がやるので業者の届出」 届出義務者は設置しようとする者。テナントであれば入居事業者自身。業者が代行しても義務者は変わらない
「工事等計画届出書を出したので設備の届出は不要」 別の届出。条例第56条と第57条は様式も添付図書も別
「建築確認を受けたので届出不要」 建築確認による適用除外は工事等計画届出(条例第56条第1項ただし書)の話。第57条にはただし書がない
「小さい機器ばかりだから120キロワットに届かない」 厨房設備は入力の合計で判定。下方排気方式は入力を問わず全件対象
「厨房の自動消火装置は消防用設備等なので点検業者任せでよい」 これは条例に基づく厨房設備の構造要件で、消防用設備等ではない。清掃・維持管理の義務は条例第3条の2第1項第5号
「設備の入替えは新設ではないから届出不要」 条例第57条第1項は「内容を変更しようとする者を含む」と明記
「届出さえ出せば使ってよい」 使用開始前に消防署長の検査が必要(条例第57条第4項)。隠ぺいされる部分は中間検査
「届出を忘れても罰則はない」 東京都は10万円以下の罰金(条例第67条の2第5号)+両罰規定(同第68条)。全国の準則には罰則がないため、他府県向けの解説をそのまま信じると誤る
「カセットこんろも届出が必要」 持ち運べるものは「器具」であり届出不要。ただし取扱いの基準(条例第18条〜第21条)は適用される


11. 行政書士に依頼できること

消防署長あてに提出する書類の作成は行政書士の業務であり(行政書士法第1条の3第1項)、官公署への提出手続の代理も業務範囲に含まれます(同法第1条の4第1項第1号)。他人の依頼を受け報酬を得て業として作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人に限られます(同法第19条第1項)。この点は「消防署への提出書類作成と行政書士法違反の防止について」で詳しく解説しています。

役割 担当
火を使用する設備等の設置(変更)届出書の作成・提出、消防署との事前協議 行政書士
防火対象物工事等計画届出書・使用開始届出書の作成・提出 行政書士
工事整備対象設備等着工届出書 甲種消防設備士(法定の届出義務者)
消防用設備等の設計・工事・整備 消防設備士
建築確認・建築設計図書の作成 建築士
電気工作物の工事・保安管理 電気工事士・電気主任技術者

当事務所の報酬額は報酬額表に掲載しています(すべて税抜)。金額に幅を持たせているのは、設備の種類と台数、図面作成の要否、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。正式なお見積りは、機器の仕様書と平面図を確認させていただいたうえでご提示します。出店が続く事業者向けに顧問契約もご用意しています。


設備リストから、必要な届出を無料で洗い出します

「うちの厨房は届出が必要な規模なのか」——この判断は、機器の仕様書に書かれた入力の値と、設置場所の内装仕上げを見なければできません。そして期限は工事着手の7日前です。工事が始まってからでは間に合いません。
建物の所在地・用途・設置する設備の種類と仕様(入力・出力・容量)・工事着手予定日をお知らせいただければ、必要な消防届出の洗い出し、提出期限を逆算したスケジュール表の作成、所轄消防署への事前相談、届出書の作成・提出、検査日程の調整まで、行政書士として一貫してご支援します。
📋 初回相談は無料ですお問い合わせフォームはこちら »
☎ 03-6783-6727/FAX 03-6750-2225 受付時間:平日 9:00〜18:00(土日祝日はお問い合わせフォームで受付)
行政書士 萩本昌史事務所|東京の消防手続支援ステーション


12. よくある質問


Q1. 「火を使用する設備」とは何ですか。「火を使用する器具」とどう違いますか。

「火を使用する設備」とは、消防法第9条にいう火を使用する設備またはその使用に際し火災の発生のおそれのある設備で、消防法施行令第5条および対象火気省令第3条で類型化されたもの(対象火気設備等)をいいます。炉、厨房設備、ボイラー、給湯湯沸設備、乾燥設備、サウナ設備、変電設備、蓄電池設備、急速充電設備などが該当します。一方「器具」は、卓上こんろ、石油ストーブ、電気ストーブ、こたつなど持ち運べるものを指します(対象火気器具等)。東京都火災予防条例では、設備は第3条〜第17条で位置・構造・管理の基準が、器具は第18条〜第21条で取扱いの基準が定められており、設置の届出義務があるのは設備(第57条第1項に列挙されたもの)だけです。


Q2. 火を使用する設備等の設置の届出は、いつまでに、どこへ提出しますか。

当該工事に着手する日の7日前までに、設置場所を管轄する消防署長(窓口は消防署の予防課)へ提出します(東京都火災予防条例第57条第1項)。東京消防庁管内では、窓口持参・郵送のほか電子申請も利用できます。東京消防庁のサイトでは「設置する7日前まで」と案内されていますが、条例の文言は「当該工事に着手する日の7日前まで」です。7日前は条例上の下限であり、審査や検査の日程調整、是正対応の時間を考えると、実務上は2〜3週間前の提出をおすすめします。


Q3. 厨房設備を設置します。どの規模から届出が必要ですか。

東京都火災予防条例第57条第1項第3号により、入力の合計が120キロワット以上の厨房設備が届出対象です。ただし排気取入口から下方に排気する方式の厨房設備は、入力を問わずすべてが対象になります。「入力」とは最大の消費熱量のことで、機器の仕様書に記載されています。レンジ・フライヤー・グリドル等を合算して判定する点に注意してください。なお、全国の準則である火災予防条例(例)第44条は同一厨房室内の入力の合計350キロワット以上としており、東京都のほうが対象が広く設定されています。「合計」をどの範囲で取るかは運用が関係しますので、機器リストを持って所轄消防署にご確認ください。


Q4. 火を使用する設備等の設置の届出をしないとどうなりますか。罰則はありますか。

あります。東京都火災予防条例第67条の2第5号により、第57条第1項の届出をせず、もしくは虚偽の届出をし、または同条第4項の検査を拒み・妨げ・忌避して火気使用設備等を設置し使用した者は、10万円以下の罰金に処せられます。さらに同条例第68条の両罰規定により、法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して違反した場合は、行為者を罰するほか法人にも罰金刑が科されます。総務省消防庁が示す火災予防条例(例)にはこの届出義務違反の罰則がないため、他府県向けの解説をそのまま読むと「罰則なし」と誤解しがちです。東京都では罰則があります。


Q5. 届出書の様式と添付書類は何ですか。

火災予防条例施行規則第13条第1項により、設備の区分に応じて別記第4号様式(炉、厨房設備、温風暖房機、ヒートポンプ冷暖房機、ボイラー、乾燥設備、サウナ設備、給湯湯沸設備、火花を生ずる設備)、別記第4号様式の2(燃料電池発電設備)、別記第4号様式の3(放電加工機)、別記第5号様式(高圧・特別高圧の変電設備、急速充電設備、内燃機関を原動力とする発電設備、蓄電池設備、ネオン管灯設備)、別記第6号様式(水素ガスを充塡する気球)を使い分けます。添付図書は同条第2項により、設備の概要表・配置図・立面図・仕様書、設置場所の平面図・展開図・構造図・室内仕上表、煙突等その他ダクトの系統図・平面図などです(様式区分により制御回路図または接続図)。厨房設備とキュービクルの両方を設置する場合は、様式が2種類必要になります。


Q6. 届出のあとに消防署の検査はありますか。

あります。条例第57条第1項各号に掲げる火気使用設備等を使用しようとする者は、使用開始前に消防署長の検査を受けなければなりません(同条第4項)。火災予防条例施行規則第12条の2の2は、この検査を工事等の完了後に行う「使用検査」と、隠ぺいされるなど後から確認できない部分について工事等の完了前に行う「中間検査」に分けています。検査の実施対象・実施時期は消防総監が定めるとされており(同条第2項)、内容により省略される場合もありますが、省略の可否を判断するのは消防署です。自己判断で検査を受けずに使用を開始しないでください。


Q7. すでにある設備を入れ替える場合も届出が必要ですか。

必要になり得ます。東京都火災予防条例第57条第1項は、届出義務者に「内容を変更しようとする者を含む」と明記しています。フライヤーを大型のものに入れ替える、キュービクルの容量を増やす、蓄電池を増設するといった場合は「変更」に当たり得ます。「新規設置ではないから不要」という自己判断は避けてください。変更の届出では、設置の届出に添付した図書から内容に変更がないものは省略できます(火災予防条例施行規則第13条第2項ただし書)。


Q8. 家庭用のカセットこんろや電気ストーブも届出が必要ですか。

不要です。持ち運べるものは法令上「火を使用する器具」(対象火気器具等)に分類され、東京都火災予防条例第57条第1項の列挙に含まれていません。ただし届出が不要であることと、規制がないことは別です。器具についても条例第18条から第21条までが取扱いの基準(可燃物との距離、転倒・落下しない状態での使用、不燃性の床・台等の上での使用など)を定めており、これに従う義務があります。また祭礼・縁日・花火大会・展示会その他多数の者が集合する催しで対象火気器具等を使用する場合は、消火器の準備をしたうえで使用することとされています(消防法施行令第5条の2第1項第6号)。


Q9. テント型サウナ・バレル型サウナ(簡易サウナ設備)の扱いはどうなりましたか。

総務省消防庁は令和7年11月12日に対象火気省令と消防庁告示を改正し(令和8年3月31日施行)、「簡易サウナ設備」という区分を新設しました。定義は「屋外その他の直接外気に接する場所に設けるテント型サウナ室またはバレル型サウナ室に設ける放熱設備であって、定格出力6キロワット以下のものであり、かつ薪または電気を熱源とするもの」です。あわせて火災予防条例(例)も改正され、簡易サウナ設備は個人が設けるものを除き、一般サウナ設備と同様に届出を要することとされました(令和7年11月12日付け消防予第444号)。ただし東京都火災予防条例には、本記事作成時点でこの「簡易サウナ設備」の区分が設けられていません。東京都内で事業として設置する場合の取扱いは、必ず所轄消防署にご確認ください。


Q10. 東京以外の物件でも火を使用する設備の届出の手続は同じですか。

骨格は共通ですが、同一ではありません。この届出は各市町村の火災予防条例に基づくため、条番号・対象設備の規模・提出期限・様式・検査・罰則の有無が自治体ごとに異なります。総務省消防庁の「火災予防条例(例)」第44条がひな形を示していますが、東京都火災予防条例第57条は、厨房設備(準則350キロワット/東京都120キロワット)、炉(準則2平方メートル/東京都1平方メートル)、変電設備(準則は全出力50キロワット以下を除外/東京都は除外なし)などで対象が広く、提出期限も「あらかじめ」ではなく「工事に着手する日の7日前まで」と具体化されています。出店先ごとに管轄消防本部の条例と様式を必ず確認してください。


Q11. 火を使用する設備の届出を行政書士に依頼できますか。費用はどのくらいですか。

できます。消防署長あてに提出する書類の作成は行政書士の業務であり(行政書士法第1条の3第1項)、官公署への提出手続の代理も業務範囲に含まれます(同法第1条の4第1項第1号)。他人の依頼を受け報酬を得て業として作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人に限られます(同法第19条第1項)。報酬額は設備の種類と台数、図面作成の要否、消防署との事前協議の回数によって変わるため、当事務所の報酬額表(税抜)をご確認いただくか、機器の仕様書と平面図をお送りのうえお見積りをご依頼ください。なお、工事整備対象設備等着工届出書は消防法第17条の14により甲種消防設備士が届出義務者と定められているため、行政書士が代わって届け出ることはできません。


参考資料

※本記事は2026年8月23日時点で確認した法令・条例および公表資料をもとにした一般的な解説です。法令・条例の改正、東京消防庁の審査基準の改正、所轄消防署の運用、個別の設備・建物の状況により結論が変わる場合があります。具体的な案件は、設置場所を管轄する消防署および行政書士へご確認ください。

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