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消防計画の作成・届出は行政書士へ|根拠条文・費用・罰則を徹底解説【2026年改正対応】

この記事の結論
消防計画の作成・届出は、消防法第8条第1項に基づく管理権原者の法的義務です。作成するのは選任された防火管理者、届出先は所轄の消防長または消防署長です。
防火管理者の選任・解任の届出を怠ると、消防法第44条第8号により30万円以下の罰金または拘留の対象になります。
報酬を得て他人に代わって消防計画や届出書を作成できるのは、原則として行政書士(行政書士法人を含む)だけです。2026年(令和8年)1月1日施行の改正行政書士法により、この業務制限が条文上明確化され、法人にも罰金を科す両罰規定が新設されました。
東京消防庁管内では、消防法に加えて東京都火災予防条例による上乗せ規制(防災センター要員、自衛消防活動中核要員、防火管理技能者など)があり、地域の条例に精通した行政書士に依頼する実益があります。


店舗やオフィスを開設するとき、テナントに入居するとき、あるいは消防署の立入検査で指摘を受けたとき。「消防計画を作って届け出てください」と言われて、はじめて制度を知る事業者の方は少なくありません。


この記事では、消防法防火管理を専門とする特定行政書士が、消防計画の作成・届出の法的な位置づけ、怠った場合の罰則、誰が作成できるのか、費用はいくらか、依頼の流れはどうなるのかを、根拠条文を示しながら整理します。記載はすべて条文・東京消防庁の公表資料・総務省の通知に基づいています。



消防計画とは何か|定義・作成義務者・根拠条文


まず、制度の全体像を1つの表で示します。

項目 内容
根拠条文 消防法第8条第1項、消防法施行令第3条の2、消防法施行規則第3条
義務を負う者 防火対象物の管理権原者(防火管理の最終責任者)
作成する者 管理権原者が選任した防火管理者
届出先 所轄の消防長または消防署長
届出の様式 消防計画作成(変更)届出書。防火管理者選任(解任)届出書と併せて提出するのが実務上一般的
変更したとき 再度の届出が必要(消防法施行規則第3条第1項)


消防計画とは


消防計画とは、防火対象物における防火管理上必要な業務について、誰が・いつ・何を行うのかをあらかじめ定めた計画書です。消防法第8条第1項に基づき、防火管理者が作成し、所轄の消防長または消防署長に届け出ます。


防火管理とは「火災の発生を防止し、かつ、万一火災が発生した場合でも、その被害を最小限にとどめる」ための対策を立てて実行することをいい、「自分の建物や事業所は自分で守る」という自主管理の考え方に基づいています。消防計画は、その自主管理を文書として具体化したものです。


消防法施行規則第3条第1項が定める記載事項には、次のようなものが含まれます。

  • 自衛消防の組織に関すること
  • 防火対象物についての火災予防上の自主検査に関すること
  • 消防用設備等の点検・整備に関すること
  • 避難通路、避難口、防火戸その他の避難施設の維持管理およびその案内に関すること
  • 防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関すること
  • 定員の遵守その他収容人員の適正化に関すること
  • 防火管理上必要な教育に関すること
  • 消火、通報および避難の訓練その他必要な訓練の定期的な実施に関すること
  • 火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡および避難誘導に関すること
  • 防火管理についての消防機関との連絡に関すること


義務を負うのは「管理権原者」、作成するのは「防火管理者」


消防計画に関する義務を負うのは、建物の所有・管理・占有および契約状況から正当な管理権を有する管理権原者です。管理権原者は防火管理の最終責任者であり、資格を有する者の中から防火管理者を選任し、防火管理業務を行わせなければなりません。


この「義務者は管理権原者、作成者は防火管理者」という二重構造は、実務上たいへん重要です。テナントであれば賃借人である法人の代表者が管理権原者となり、その法人の従業員から防火管理者を選任するのが典型です。管理権原者は、防火管理者に対して防火管理業務を適切に遂行するために必要な権限と情報を与えなければならないとされています(消防法第8条第1項)。


防火管理者の選任が必要となる防火対象物の要件(特定用途で収容人員30人以上、非特定用途で収容人員50人以上など)や、甲種・乙種の区分については、防火管理者の選任の必要な建物と実務フローで詳しく解説しています。



管理権原が分かれている建物は「統括防火管理者」が必要


オフィス、商業施設、飲食店などが混在する複合用途防火対象物(消防法施行令別表第一(16)項)では、テナント間の協力意識の希薄さや役割分担の不明確さが、防火管理上の問題として繰り返し指摘されてきました。


そこで消防法第8条の2は、管理権原が分かれている一定の防火対象物について、統括防火管理者の選任と、建物全体を対象とする「全体についての消防計画」の作成・届出を義務づけています。東京消防庁の解説によれば、対象となるのは次のものです。

  • 高層建築物(高さ31メートルを超える建築物)
  • 地階を除く階数が3以上で、収容人員が10人以上の避難困難施設を含むもの
  • 地階を除く階数が3以上で、収容人員が30人以上の特定防火対象物
  • 地階を除く階数が5以上で、収容人員が50人以上の複合用途防火対象物
  • 消防長または消防署長が指定する地下街
  • 準地下街

統括防火管理者は、全体についての消防計画の作成・届出、その計画に基づく消火・通報・避難の訓練の実施、廊下・階段等の共用部分の管理などを行います。管理権原者は、統括防火管理者に対して必要な権限および知識を与えなければなりません。詳細は統括防火管理者と協議会の設置|複合建物における防火管理の要点をご覧ください。



消防計画の届出を怠るとどうなるか|罰則を条文ベースで正確に整理


消防法の罰則は、「届出義務そのものを怠った場合」と「消防長・消防署長の命令に従わなかった場合」で適用条文と刑罰の重さが大きく異なります。ここを混同した解説が少なくないため、条文に沿って正確に整理します。


違反の内容 義務・命令の根拠 罰則規定と内容
防火管理者の選任・解任の届出を怠った 消防法第8条第2項 第44条第8号:30万円以下の罰金または拘留
防火管理者の選任命令に従わなかった 消防法第8条第3項 第42条第1項:6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第45条第3号により法人にも同額の罰金)
防火管理業務の適正執行命令に従わなかった 消防法第8条第4項 第41条:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第45条第3号により法人にも同額の罰金)
統括防火管理者の選任命令・適正執行命令に従わなかった 消防法第8条の2第5項・第6項 直接の罰則規定なし。第5条の2第1項による使用禁止・停止・制限命令の対象となる
防火対象物に対する措置命令(改修・移転・除去等)に従わなかった 消防法第5条第1項 第39条の3の2:2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(第45条第1号により法人には1億円以下の罰金)
使用禁止・停止・制限命令に従わなかった 消防法第5条の2第1項 第39条の2の2:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第45条第1号により法人には1億円以下の罰金)
消防用設備等の設置命令に従わなかった 消防法第17条の4 第41条:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第45条第2号により法人には3000万円以下の罰金)
消防用設備等の維持命令に従わなかった 消防法第17条の4 第44条第12号:30万円以下の罰金または拘留
消防用設備等の点検結果を報告しない、または虚偽の報告をした 消防法第17条の3の3 第44条第11号:30万円以下の罰金または拘留(第45条第3号により法人にも同額の罰金)
資料提出命令の拒否、立入検査の拒否 消防法第4条第1項 第44条第2号:30万円以下の罰金または拘留

出典:一般財団法人日本消防設備安全センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」(2025年改訂)。なお「拘禁刑」は、令和7年6月1日施行の刑法等一部改正により、従来の「懲役」「禁錮」を一本化した刑名です。



実務上いちばん怖いのは、罰金よりも「使用停止」


金額だけを見ると30万円以下の罰金は軽く見えるかもしれません。しかし事業者にとって現実的なリスクは、是正されないまま推移した場合の使用停止命令と、火災が実際に発生した場合の刑事責任・民事賠償責任です。


過去の火災事例では、防火管理業務の不履行(消防計画の不実行、防災設備の不備や不適切な維持管理)によって被害が拡大し、管理権原者や防火管理者が業務上過失致死傷罪に問われた事例が数多く存在します。消防計画は、そうした責任追及の場面で「何をすべきと定め、実際に何をしていたか」を示す一次資料にもなります。


ポイント
消防計画は「作って出して終わり」の書類ではありません。計画に定めた訓練・点検・教育を実際に実施した記録まで揃えて、はじめて防火管理義務を果たしたといえます。



誰が消防計画・届出書を作成できるのか|2026年改正行政書士法


ここが、事業者の方にもっとも誤解の多いところです。結論から述べます。


消防計画や消防署への届出書を、報酬を得て他人に代わって作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人だけです。
防火管理者・統括防火管理者が、自らの職務として自社の消防計画を作成し届け出ることは、当然に適法です。問題になるのは、外部の事業者が報酬を得て、管理権原者に代わって作成する場合です。



2026年1月1日施行の改正行政書士法で何が変わったか


行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)が令和7年6月13日に公布され、令和8年(2026年)1月1日から施行されました。消防手続の実務に関係する改正点は次の3つです。


(1) 業務の制限規定(第19条第1項)の趣旨の明確化
改正後の条文は次のとおりです。

(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。


総務省自治行政局長通知(総行行第281号・令和7年6月13日)は、この改正の趣旨を「行政書士や行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、『手数料』や『コンサルタント料』等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に明示する」ものと説明しています。


日本行政書士会連合会の会長談話も、「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」などいかなる名目の対価であっても違反となることを明確化したものであり、施行日前であっても同様の行為は第19条違反となる、としています。


(2) 条の繰り下げ(第1条の2 → 第1条の3)
改正により条番号が繰り下がりました。現在の条文では、第1条の3が行政書士の業務(官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成)第1条の4が提出手続の代理や不服申立ての代理等を定めています。改正前の解説記事は「第1条の2」と記載しているものが多いため、条番号を確認する際はご注意ください。


(3) 両罰規定(第23条の3)の新設
第19条第1項に違反した者は、第21条の2により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処されます。これに加えて、新設された第23条の3により、法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても100万円以下の罰金刑が科されることになりました。


設計会社・建設会社・消防設備会社・内装業者の方へ
「サービスの一環として、消防署への届出書もこちらで作成しておきます」という運用は、報酬の名目にかかわらず行政書士法第19条第1項違反となるおそれがあります。2026年1月からは、担当者個人だけでなく会社にも罰金が科されます。罰金刑を受けると、建設業許可をはじめとする各種許認可の更新・新規取得における欠格事由に該当する場合があるため、社内の運用を早めに点検されることをお勧めします。



消防設備士・点検資格者との役割分担


消防関係の資格は、それぞれ守備範囲が明確に異なります。「消防の資格を持っているから届出書も作れる」というのは誤りです。

資格 主な役割 法令上の専門業務
行政書士 法令適合と申請書類作成の専門家 官公署に提出する書類(消防計画作成届出書、選任届出書、工事等計画届出書、使用開始届出書など)の作成、および自ら作成した書類の提出手続の代理(行政書士法第1条の3、第1条の4第1号)
防火管理者 防火管理業務の推進責任者 消防計画の作成と、これに基づく訓練の実施、自主検査、火気管理の監督、収容人員の管理など、実際の防火管理業務の遂行(消防法第8条第1項)
消防設備士 消防用設備等の技術専門家 消火器、屋内消火栓設備、自動火災報知設備などの工事または整備(消防法第17条の5)。甲種消防設備士は工事整備対象設備等着工届出書を自らの義務として届け出る(第17条の14)
防火対象物点検資格者
防災管理点検資格者
点検・報告の専門家 法令に基づく点検の実施と点検結果の記録の作成(消防法第8条の2の2、第36条)

整理すると、行政書士は「法務・申請手続」を、消防設備士は「設備の技術的な工事・整備」を、点検資格者は「点検の実施と記録」を担います。消防計画には消防用設備等の点検・整備計画が含まれるため、これらの専門家が連携する必要があります。


なお、消防設備士や点検資格者が作成できるのは、あくまで自らが行った工事・点検の結果の記録(点検票、点検結果総括表、試験結果報告書など)に限られます。それを束ねて消防署に提出する報告書の鑑や、関係者名義の届出書本体は対象外です。この線引きはその消防署提出書類、行政書士法違反かも――改正で問われる「独占業務」の境界で詳しく解説しています。



行政書士に依頼できる消防関係の届出一覧|根拠条文と期限


東京消防庁管内で必要となる主な届出を、根拠条文と期限とともに一覧にしました。期限のあるものは着手・使用開始の7日前が基本です。

届出書の種類 根拠条文 提出期限
防火対象物工事等計画届出書 東京都火災予防条例第56条 工事に着手する日の7日前まで
防火対象物使用開始届出書 東京都火災予防条例第56条の2 使用を開始する日の7日前まで
火を使用する設備等の設置届出書 東京都火災予防条例第57条 工事に着手する日の7日前まで
防火管理者選任(解任)届出書 消防法第8条第2項 選任・解任後遅滞なく
消防計画作成(変更)届出書 消防法第8条第1項、消防法施行規則第3条第1項 作成・変更したとき。選任届出書と併せて提出するのが一般的
統括防火管理者選任(解任)届出書 消防法第8条の2第4項 選任・解任後遅滞なく
全体についての消防計画作成(変更)届出書 消防法第8条の2第1項、消防法施行規則第4条 作成・変更したとき
自衛消防組織設置(変更)届出書 消防法第8条の2の5 設置・変更後遅滞なく
自衛消防訓練実施結果報告書 東京都火災予防条例第55条の4、同施行規則 訓練の実施にあたり事前通知・実施後報告
消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書 消防法第17条の3の2 設置工事完了後4日以内
防火対象物点検結果報告書 消防法第8条の2の2 1年に1回

届出の全体像は消防届出は行政書士へ|東京消防庁管内の届出一覧・期限・依頼できる範囲を徹底解説に、飲食店の出店に特化した手続は飲食店出店時の消防手続きを徹底解説|工事計画届出書・必要書類一覧にまとめています。



東京特有の注意点|条例による上乗せ規制


消防法は全国共通ですが、火災予防のために必要な事項は市町村条例で定めることとされています。東京消防庁管内では東京都火災予防条例が適用され、消防法にない独自の義務が上乗せされています。行政書士を選ぶ際は、この条例に精通しているかが実務上の分かれ目になります。

制度 根拠 概要
防災センター要員 東京都火災予防条例第55条の2の3 一定の防火対象物の防災センターに、資格を有する要員を置く義務
防火管理者(条例上乗せ) 東京都火災予防条例第55条の3 消防法の基準に満たない規模の建物にも、条例で防火管理者の選任義務を課すもの
防火管理技能者 東京都火災予防条例第55条の3の2 大規模・高層の防火対象物で、防火管理者を補佐する技能者を選任する義務
自衛消防活動中核要員 東京都火災予防条例第55条の5 自衛消防技術認定証を有する者のうちから、自衛消防活動の中核となる要員を置く義務
一斉帰宅の抑制・備蓄 東京都帰宅困難者対策条例第7条 従業者の一斉帰宅の抑制と、3日分の飲料水・食糧等の備蓄(いずれも努力義務

消防計画には「火災、地震その他の災害が発生した場合の活動対策」を定める必要があり、東京では上表の帰宅困難者対策を含めて記載するのが実務上の標準です。



費用・報酬額|当事務所の料金表


費用・報酬額|当事務所の料金表


当事務所の報酬額は次のとおりです(すべて税抜)。金額に幅があるのは、建物の規模・用途、図面作成の要否、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。実費(交通費、証明書取得費用等)は別途申し受けます。

行政書士萩本昌史事務所 消防関係届出の報酬額一覧(税抜)
対象業務 内容 報酬額(税抜)
防火対象物工事等計画届出書 工事着手7日前までの届出 20,000円~50,000円
防火対象物使用開始(変更)届出 新規 10,000円~40,000円
変更 6,000円~
防火・防災管理者選任(解任)届出書 選任(解任)届出書のみ 8,000円~20,000円
消防計画作成届出書と一括の場合 6,000円~
消防計画作成(変更)届出書 新規作成(小規模) 30,000円~55,000円
新規作成(中規模) 50,000円~65,000円
新規作成(大規模) 80,000円~160,000円
変更(規模を問わず) 15,000円~40,000円
全体についての消防計画作成(変更)届出書 新規作成 80,000円~150,000円
統括防火(防災)管理者選任届出書 新規 20,000円~40,000円
変更 10,000円~
自衛消防組織設置(変更)届出書 新規 40,000円~
変更 10,000円~
自衛消防訓練実施結果報告書(通知書) 届出のみ 5,000円~20,000円
防火対象物点検結果報告書 届出のみ(点検は防火対象物点検資格者として別途実施) 15,000円~
防災管理点検結果報告書 届出のみ(点検は防災管理点検資格者として別途実施) 15,000円~

初回のご相談は無料です(2回目以降のご相談は1時間につき5,500円。ご依頼いただいた場合は無料)。最新の料金表は報酬額表をご確認ください。上表にない業務、および避難経路図の作成や消防署との事前協議が複数回に及ぶ場合は、個別にお見積りいたします。




依頼から完了までの流れ


ご依頼から届出完了までは、通常2週間程度です(規模・消防署との協議回数により変動します)。


1. お問い合わせ・初回相談(無料)
建物の用途、規模、収容人員、開業予定日をお伺いし、必要な届出と期限を整理します。


2. 管理権原者の特定とお見積り
計画の最終責任者となる管理権原者(法人代表者、テナント賃借人など)を明確にしたうえで、報酬額をご提示します。


3. 資料のご提供・ヒアリング
建物の図面(避難経路図の作成に必要)、用途区分、収容人員、火気使用設備の状況(厨房設備、ボイラー等)、消防用設備等の点検状況、従業員の体制について詳細をお伺いします。


4. 消防計画・届出書の作成
ヒアリング結果と消防法令・東京都火災予防条例に基づき、消防計画書および各種届出書を作成します。必要に応じて所轄消防署と事前協議を行います。


5. 内容のご確認・ご承認
自衛消防組織の編成や各人の任務など、実際に運用できる内容になっているかを、防火管理者および管理権原者にご確認いただきます。消防計画は届出後に実行する義務が生じる文書ですので、この段階での確認が最も重要です。


6. 消防署への提出代理
行政書士が届出書類を正副2部用意し、所轄の消防長または消防署長に提出します。


7. 完了報告
受理された副本をお渡しし、以後の訓練実施時期や点検報告時期をご案内します。


行政書士の業務範囲について
行政書士が行うのは書類の作成と提出手続の代理です。消防計画に定めた内容を実行する責任は、引き続き管理権原者および防火管理者にあります。訓練の実施、自主検査、防火教育などは、届出後に事業者自身が行う必要があります。当事務所では、顧問契約により訓練の計画立案や実施記録の整備までご支援しています。



よくある質問



消防計画は自分で作成してもよいのですか


はい、問題ありません。消防計画は選任された防火管理者が自らの職務として作成するものであり、防火管理者本人が作成し届け出ることは当然に適法です。東京消防庁は用途別の作成例を公開しており、小規模なテナントであればこれを利用して自作することも可能です。


行政書士に依頼する実益は、複合用途・大規模施設で条例の上乗せ規制が絡む場合、複数の届出を同時期に処理する必要がある場合、または消防署との事前協議が想定される場合に大きくなります。



内装業者に「届出もやっておきます」と言われましたが問題ありませんか


報酬を得て貴社に代わって届出書を作成しているのであれば、行政書士法第19条第1項違反となるおそれがあります。工事代金に含まれている、無料サービスと説明されているといった場合でも、改正法は「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と明記しているため、実質的に対価を受け取っていれば違反となり得ます。


2026年1月からは第23条の3の両罰規定により、担当者個人に加えてその業者の法人にも100万円以下の罰金が科されます。届出書は貴社自身で作成するか、行政書士にご依頼ください。なお、甲種消防設備士が自ら行う工事について提出する工事整備対象設備等着工届出書(消防法第17条の14)は、消防設備士自身の届出義務に基づくものであり、この問題は生じません。



消防計画の変更届が必要になるのはどのような場合ですか


消防計画に定めるべき事項に変更が生じた場合は、その都度届け出る必要があります。実務上多いのは次のケースです。

  • 防火管理者が交代した(選任・解任の届出も併せて必要)
  • 自衛消防組織の編成や各人の任務に変更があった
  • 建物の用途変更、増改築、間仕切り変更があった
  • 消防用設備等を増設・変更した
  • テナントの入れ替わりにより収容人員が変動した

詳しくは消防計画の変更が必要なケースとは?詳しく解説!をご覧ください。



防火管理者の再講習を受けていないとどうなりますか


甲種防火管理再講習の受講義務があるのは、収容人員300人以上の特定用途の甲種防火対象物で防火管理者に選任されている方です(消防法施行規則第2条の3)。受講期限は、選任された日の4年前までに講習を修了している場合は選任された日から1年以内、それ以外の場合は講習修了日以後の最初の4月1日から5年以内です。


受講を怠っても修了証そのものが失効するわけではありませんが、消防機関の運用上は防火管理者としての資格要件を満たしていないものとして扱われ、選任義務違反を指摘される可能性があります。期限管理にご注意ください。



一棟を1社で借りている場合も統括防火管理者は必要ですか


統括防火管理者が必要となるのは、管理について権原が分かれている場合です。一棟を1社が単独で使用し、管理権原者が1人であれば、統括防火管理者の選任は不要で、通常の防火管理者を選任すれば足ります。ただし建物所有者とテナントで管理権原が分かれていると評価される場合もあるため、契約内容に応じた個別の判断が必要です。【建物一棟貸しの場合】防火管理者や統括防火管理者は必要?所有者の責任は?で詳しく解説しています。



建築確認の前に消防署への相談は必要ですか


建築物の新築、増築、用途変更等について許可・確認を行う行政庁(建築主事等)は、工事施工地を管轄する消防長または消防署長の同意を得なければ許可・確認をすることができません(消防法第7条)。この消防同意の段階で設備基準の不備が判明すると設計のやり直しになるため、大規模な工事や用途変更では設計の早い段階で消防機関に相談することを強くお勧めします。



立入検査で指摘を受けてしまいました。どうすればよいですか


立入検査で指摘される事項の多くは、消防計画の未作成・未届出、防火管理者の未選任、避難経路上の物品放置、防火戸の閉鎖障害、誘導灯周囲の障害物、法定点検の未実施です。指摘の段階では通常、期限を示した是正指導にとどまります。この段階で速やかに是正すれば、命令や罰則には至りません。


放置して措置命令が出され、それにも従わなかった場合に、前掲の表のとおり罰則や使用停止命令の対象となります。詳しくは消防署の立ち入り検査で指摘される事項、対応策、そして行政書士の支援をご覧ください。



まとめ


消防計画の作成・届出は、単なる書類手続ではなく、事業所の安全体制、従業員の生命、そして事業継続性を左右する法的義務です。とりわけ複合用途防火対象物や大規模施設では、消防法・施行令・施行規則に加えて東京都火災予防条例の上乗せ規制が重なり、要求事項は複雑になります。


要点を改めて整理します。

  • 義務者は管理権原者、作成者は防火管理者(消防法第8条第1項)
  • 選任・解任の届出を怠れば30万円以下の罰金または拘留(第44条第8号)、命令違反はさらに重い
  • 報酬を得て他人の届出書を作成できるのは、原則として行政書士だけ(行政書士法第19条第1項)
  • 2026年1月からは法人にも100万円以下の罰金(同法第23条の3)
  • 東京では条例の上乗せ規制を踏まえた計画が必要

行政書士萩本昌史事務所は、特定行政書士に加えて消防設備士、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者の資格を併せ持ち、書類作成から点検までワンストップでご支援しています。初回相談は無料です。オフィス移転、店舗開設、テナント入居、立入検査への対応など、消防手続でお困りの際はお気軽にご相談ください。



参照した法令・公的資料


  • 消防法(昭和23年法律第186号)第5条、第5条の2、第7条、第8条、第8条の2、第8条の2の2、第8条の2の5、第17条の3の2、第17条の3の3、第17条の4、第17条の5、第17条の14、第39条の2の2、第39条の3の2、第41条、第42条、第44条、第45条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2、第3条、第3条の2、第3条の3
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第2条の3、第3条、第4条
  • 行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の3、第1条の4、第19条、第21条の2、第23条の3
  • 行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号、令和8年1月1日施行)
  • 総務省自治行政局長通知「行政書士法の一部を改正する法律の公布について」(総行行第281号・令和7年6月13日)
  • 日本行政書士会連合会 会長談話「行政書士法第19条第1項及び第23条の3の改正の趣旨等について」(令和7年11月1日)
  • 東京都火災予防条例(昭和37年条例第65号)第55条の2の3、第55条の3、第55条の3の2、第55条の4、第55条の5、第56条、第56条の2、第57条
  • 東京都帰宅困難者対策条例(平成24年条例第17号)第7条
  • 東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」「統括防火・防災管理者制度」「新たにテナントを使用する皆様へ」
  • 一般財団法人日本消防設備安全センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」(2025年改訂)

この記事の執筆者
萩本昌史(行政書士萩本昌史事務所 代表)
特定行政書士/消防設備士/防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者
東京都世田谷区北烏山7-25-8-401 電話 03-6783-6727(8:00〜18:00、土日祝も受付)
東京消防庁管内を中心に、防火対象物使用開始届出、工事等計画届出、防火管理者選任届出、消防計画の作成・届出、統括防火管理、防火対象物点検・防災管理点検までを一貫して取り扱っています。


本記事は2026年8月15日時点の法令に基づいて作成しています。個別の事案については、所轄の消防署または当事務所にご相談ください。

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