消防用設備等設置届出書の作成代行は行政書士法違反?届出者・4日以内の期限・罰則を解説|行政書士萩本昌史事務所

この記事の結論
消防用設備等設置届出書の届出義務者は「関係者」、すなわち防火対象物の所有者・管理者・占有者です(消防法第2条第4項)。工事を行った消防設備業者は届出者にはなれません。
提出期限は工事が完了した日から4日以内です。期限を定めているのは法律ではなく消防法施行規則第31条の3第1項です。
届出を怠ると消防法第44条第8号により30万円以下の罰金または拘留、検査を拒んだ場合は同条第4号で同じ刑が科されます。いずれも法人に対する両罰規定はありません(第45条第3号に第4号・第8号は含まれていません)。
行政書士でない者が報酬を得て業としてこの届出書を作成すれば、行政書士法第19条第1項に違反します。令和8年1月1日施行の改正で「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と明記されました。罰則は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第21条の2)、新設の第23条の3により法人または個人事業主にも100万円以下の罰金が科されます。
一方、消防設備士が自ら施工した工事について消防用設備等試験結果報告書を作成すること関係者自身が届出書を作成することは適法です。違法となるのは「他人の官公署提出書類を、報酬を得て、業として作成する」場合です。



「消防用設備等設置届出書は、いつも工事をお願いしている消防設備業者さんに一緒に出してもらっているから大丈夫」。消防署への届出について、事業者の方からこうしたお話をよく伺います。


しかし令和7年2月25日、総務省消防庁は全国の消防機関に対して「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」(消防予第75号、消防危第30号、消防特第35号)を発出し、申請窓口での注意喚起を求めました。さらに令和8年1月1日には改正行政書士法が施行され、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が第19条第1項に加わっています。


この記事では、消防法防火管理を専門とする特定行政書士が、消防用設備等設置届出書の根拠条文・対象・期限・添付書類・罰則を条文に当たって整理したうえで、誰がこの書類を作成できるのかを行政書士法の条文と一次資料に基づいて解説します。



消防用設備等設置届出書の作成代行と行政書士法違反の関係を整理した図



消防用設備等設置届出書とは|根拠条文と制度の位置づけ


消防用設備等設置届出書とは、防火対象物の関係者が、消防用設備等または特殊消防用設備等を設置したときに、その旨を消防長または消防署長に届け出て検査を受けるための書類です。根拠は消防法第17条の3の2、様式は消防法施行規則別記様式第1号の2の3です。


この制度は「設置しました」と報告するだけの手続きではありません。条文は「届け出て、検査を受けなければならない」と定めており、届出と設置検査がひとつの義務として組み合わされている点が特徴です。



項目 内容
正式名称 消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書
根拠条文 消防法第17条の3の2
対象となる建物 消防法施行令第35条第1項に掲げる防火対象物(すべての建物ではありません)
義務を負う者 関係者(所有者・管理者・占有者/消防法第2条第4項)
提出期限 工事が完了した日から4日以内(消防法施行規則第31条の3第1項)
様式 消防法施行規則 別記様式第1号の2の3
提出先 所轄の消防長または消防署長
届出後 設置検査を受け、適合すれば検査済証(別記様式第1号の2の3の2)が交付される
届出を怠った場合 消防法第44条第8号 30万円以下の罰金または拘留


届出が必要な建物は政令で限定されている


消防用設備等を設置すればどの建物でも届出が必要、というわけではありません。消防法第17条の3の2は対象を「第17条第1項の防火対象物のうち特定防火対象物その他の政令で定めるもの」と限定しており、その範囲は消防法施行令第35条第1項が定めています。



対象 面積要件
第1号 (二)項ニ、(五)項イ、(六)項イ(1)〜(3)・ロ、(六)項ハ(入居・宿泊させるものに限る)、およびこれらの用途部分がある(十六)項イ・(十六の二)項・(十六の三)項 面積を問わず
第2号 (一)項、(二)項イ〜ハ、(三)項、(四)項、(六)項イ(4)・ハ・ニ、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項、(十六の三)項 延べ面積300㎡以上
第3号 (五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)〜(十五)項、(十六)項ロ、(十七)項、(十八)項 延べ面積300㎡以上で、かつ消防長・消防署長が指定したもの
第4号 (一)〜(四)項、(五)項イ、(六)項、(九)項イの用途部分が避難階以外の階にあり、その階から避難階または地上に直通する階段が2以上ない防火対象物 面積を問わず

ここを誤解しないでください
「消防用設備の工事をしたら必ず設置届が必要」という説明を見かけますが、正確ではありません。事務所ビル・倉庫・工場などの非特定用途(第3号)は、延べ面積300㎡以上であっても、消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めて指定していなければ設置届の対象になりません。自社の建物が指定を受けているかどうかは、所轄消防署に確認する必要があります。



届出・検査の対象から除かれる設備がある


消防法第17条の3の2は、届出・検査の対象となる消防用設備等から「政令で定めるもの」を除いています。この除外設備を定めているのが消防法施行令第35条第2項で、簡易消火用具および非常警報器具の2つです。


簡易消火用具とは水バケツ・水槽・乾燥砂などを指します。非常警報器具は警鐘・携帯用拡声器・手動式サイレンです。これらだけを設置・更新した場合は、設置届の対象になりません。一方、消火器は簡易消火用具ではありませんので、対象建物に消火器を設置した場合は届出の対象になります。



届出義務者は「関係者」であって設備業者ではない


条文は「防火対象物……の関係者は……届け出て、検査を受けなければならない」と定めています。この「関係者」の定義は消防法第2条第4項にあり、「防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者」をいいます。


つまり所有権の有無だけで決まるものではありません。建物オーナー、賃借してテナントを運営する事業者、建物を管理する立場にある者のいずれもが「関係者」になり得ます。実務上は、その消防用設備等を設置した工事の発注者、すなわち設備を自らの管理下に置く者が届出者となるのが通例です。


工事を行った消防設備業者は届出者になれません。届出義務は建物の側にあり、工事を請け負ったことによって設備業者に移転することはありません。設備業者の名前で提出された届出書は、法令上の届出義務を果たしたことになりません。



提出期限は「工事完了日から4日以内」|根拠は施行規則


消防用設備等設置届出書の提出期限は、設置に係る工事が完了した日から4日以内です。この期限を定めているのは消防法ではなく、消防法施行規則第31条の3第1項です。法第17条の3の2は「総務省令で定めるところにより」と手続きを省令に委任しており、日数・様式・添付書類はすべて規則側で定められています。


4日というのは実務上きわめて短い期間です。工事が完了してから書類を集め始めたのでは間に合いません。着工の段階から届出書と添付書類の準備を並行して進めておくことが、期限を守る唯一の方法です。



添付書類は条文で決まっている


規則第31条の3第1項第1号は、消防用設備等の設置届に添える書類を次のとおり定めています。

  • 平面図(イ)
  • 配管及び配線の系統図(ロ)
  • 消防用設備等試験結果報告書

特殊消防用設備等の場合は、上記の図書に加えて設備等設置維持計画特殊消防用設備等試験結果報告書が必要です(同項第2号)。


消防用設備等試験結果報告書の様式は、消防用設備等ごとに消防庁長官が定めるとされています(規則第31条の3第5項)。自動火災報知設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備など、設備の種類ごとに定められた様式を用います。所轄消防署によっては、このほかに消防用設備等概要表や設備の仕様書、電気工事の関係書類などを求められることがあります。



届出後の検査と検査済証


届出があると、消防長または消防署長は遅滞なく、設置された消防用設備等が設備等技術基準または設備等設置維持計画に適合しているかどうかを検査しなければなりません(規則第31条の3第2項)。


検査の結果、適合していると認められたときは、関係者に対して検査済証(別記様式第1号の2の3の2)が交付されます(同条第4項)。この検査済証が、設置した消防用設備等が法令基準に適合していることを公的に証明する書面になります。



着工届(工事整備対象設備等着工届出書)との違い


設置届としばしば混同されるのが工事整備対象設備等着工届出書です。両者は義務者も期限もまったく異なります。



比較項目 工事整備対象設備等着工届出書 消防用設備等設置届出書
根拠 消防法第17条の14 消防法第17条の3の2
届出義務者 甲種消防設備士(本人の義務) 関係者(建物側の義務)
時期 着工しようとする日の10日前まで 工事完了日から4日以内
目的 工事内容の事前確認 設置後の検査
届出を怠った場合 消防法第44条第8号 30万円以下の罰金または拘留 消防法第44条第8号 30万円以下の罰金または拘留

着工届は甲種消防設備士が自分の名前で出す届出です。行政書士が代わりに作成・提出することはできません。これに対し設置届は関係者が出す届出であり、行政書士が作成し、提出手続を代理できる書類です(行政書士法第1条の3第1項、第1条の4第1号)。同じ「消防の届出」でも、誰の義務かによって扱いがまったく違います。



設置届を怠ったときの消防法上の罰則


消防用設備等設置届出書には直接の罰則規定があります。届出義務違反そのものが処罰の対象になる点で、たとえば消防計画作成(変更)届出書(届出義務が施行規則に置かれているため直罰がない)とは扱いが異なります。



違反の内容 根拠 罰則 法人への両罰
設置届出を怠った 第17条の3の2/第44条第8号 30万円以下の罰金または拘留 なし
設置検査を拒み、妨げ、忌避した 第17条の3の2/第44条第4号 30万円以下の罰金または拘留 なし
消防用設備等の設置命令に従わなかった 第17条の4/第41条第1項 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 あり(法人3,000万円以下/第45条第2号)
消防用設備等の維持命令に従わなかった 第17条の4/第44条第12号 30万円以下の罰金または拘留 あり(第45条第3号)
点検結果を報告しない・虚偽報告 第17条の3の3/第44条第11号 30万円以下の罰金または拘留 あり(第45条第3号)

「拘禁刑」は、令和7年6月1日に施行された刑法等の一部改正により「懲役」と「禁錮」を一本化した刑名です。改正前の解説記事では「懲役」と表記されています。


設置届の届出義務違反(第44条第8号)と検査拒否(同条第4号)については、法人に対する両罰規定の適用がありません。第45条第3号が列挙しているのは第44条の第1号・第3号・第11号・第12号・第22号であり、第4号と第8号は含まれていないためです。「届出を怠ると会社も罰金」と説明する記事がありますが、この点は正確ではありません。



消防用設備等設置届出書は誰が作成できるのか


報酬を得て、業として、関係者に代わって消防用設備等設置届出書を作成できるのは、行政書士および行政書士法人だけです。根拠は行政書士法第1条の3第1項と第19条第1項です。


行政書士法第1条の3第1項は、行政書士の業務を「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類……を作成することを業とする」と定めています。消防署は官公署ですから、消防署に提出する届出書はこの「官公署に提出する書類」に当たります。


そして第19条第1項が、行政書士・行政書士法人でない者に対して、この業務を行うことを禁じています。


行政書士法第19条第1項(令和8年1月1日施行の改正後)
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。


あわせて、行政書士は自ら作成した官公署提出書類について、提出手続を代理することができます(第1条の4第1号)。届出書の作成から消防署への提出まで一貫して依頼できるのは、この規定があるためです。



消防庁通知(令和7年2月25日)が求めたこと


令和7年2月25日、総務省消防庁の予防課長・危険物保安室長・特殊災害室長の連名で、各都道府県消防防災主管部長、東京消防庁および各指定都市消防長あてに「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」(消防予第75号、消防危第30号、消防特第35号)が発出されました。


通知はまず、行政書士等でない者が他人の依頼を受け報酬を得て官公署提出書類の作成を業として行うことは禁止されていると確認したうえで、次のように述べています。


消防法令に基づく各種手続(火災予防、危険物保安及び石油コンビナート等の保安の各分野における手続をいう。)においても、行政書士等でない者が防火対象物の関係者等に代わって提出書類の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性があります。


そのうえで各消防機関に対し、申請窓口における注意喚起の張り紙の掲示口頭での注意喚起、および都道府県内の市町村への周知を求めています。通知には窓口掲示用の張り紙の様式(別紙)が添付されており、「行政書士でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を業として行うことは法律で禁止されています」と明記されています。


ここでいう「消防法令に基づく各種手続」には、消防用設備等設置届出書のほか、防火対象物使用開始届出書、防火対象物工事等計画届出書、防火管理者選任(解任)届出書、消防計画作成(変更)届出書、少量危険物貯蔵取扱届出書などが広く含まれます。


条番号に注意
この通知は令和7年2月に発出されているため、本文は改正前の条番号である「行政書士法第1条の2」を引用しています。令和8年1月1日施行の改正により、業務規定は第1条の3に繰り下がりました。通知の原文と現行条文で番号が違うのはこのためです。



令和7年改正行政書士法(令和8年1月1日施行)で明確化されたこと


「行政書士法の一部を改正する法律」(令和7年法律第65号)は令和7年6月13日に公布され、令和8年1月1日に施行されました。改正法は令和7年のものですが、効力が生じたのは令和8年1月1日です。



第19条第1項に「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」が加わった



改正前 改正後(現行)
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条のに規定する業務を行うことができない。 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条のに規定する業務を行うことができない。

「手数料」「コンサルタント料」「事務手続サポート費」「工事一式」「管理委託料」など、どのような名目で対価を受け取っていても、官公署提出書類の作成を業として行えば第19条第1項違反になることが、条文上明示されました。


これは新しい禁止ルールの創設ではありません。総務省自治行政局長通知(令和7年6月13日付 総行行第281号)は、改正の趣旨を「『手数料』や『コンサルタント料』等どのような名目であっても、対価を受領して、業として、官公署に提出する書類等を作成することは違法であるという現行法の解釈を条文に明示する」ものと説明しています。つまり、改正前から違法だった行為が条文で確認されたということです。「以前は問題がなかった」という理解は誤りです。



両罰規定(第23条の3)が新設された


もうひとつの重要な改正が、両罰規定の新設です。第23条の3は、法人の代表者や、法人・人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関して第21条の2などの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても各本条の罰金刑を科すると定めています。


第21条の2の罰金は100万円以下ですから、法人には100万円以下の罰金が科されることになります。条文は「法人又は人」と書いていますので、法人だけでなく個人事業主も処罰の対象です。


消防設備業者、ビル管理会社、防災コンサルティング会社にとって、この改正の実務上の意味は小さくありません。社員が業務の一環として消防届出書類を作成し、その対価が会社の売上に含まれていた場合、社員個人だけでなく会社自体も処罰の対象になり得ます。



対象 根拠 罰則
違反行為をした個人 行政書士法第21条の2 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
その者が属する法人または個人事業主 行政書士法第23条の3(新設) 100万円以下の罰金


違反となるケース・ならないケース


判断の分かれ目は、「他人の」官公署提出書類を「報酬を得て」「業として」作成しているかの3点です。この3つがそろえば違反、ひとつでも欠ければ違反にはなりません。



行政書士法第19条第1項に違反するケース



ケース 解説
消防設備業者が届出書の鑑を作成して報酬を受け取る 別記様式第1号の2の3は関係者名義の官公署提出書類です。工事代金とは別に受け取っていても、工事代金に含めていても、報酬を得ていることに変わりはありません。
「元消防士」「防災コンサルタント」が代行作成 消防の実務経験がどれほど豊富でも、行政書士資格がなければ報酬を得て他人の届出書を作成することはできません。実務経験は法定の例外事由ではありません。
ビル管理会社が管理委託料に含めて作成 管理委託契約の一部として継続的に行っていれば「業として」に当たり、管理委託料は「いかなる名目によるかを問わず報酬」に当たります。
「書類作成は無料」として他の費用に上乗せ 改正後の条文が名目を問わないと明記した以上、実質的に対価を得ているかどうかで判断されます。無料表示は理由になりません。
点検業者が点検結果報告書の鑑を作成して報酬を受け取る 消防用設備等点検結果報告書の報告義務者は関係者です(消防法第17条の3の3)。点検票の作成は点検業務に含まれますが、報告書の鑑は関係者名義の官公署提出書類です。


違反とならないケース



ケース 解説
関係者(建物オーナー・テナント事業者)が自ら作成する 自分の届出義務を自分で果たすものであり、「他人の依頼を受け」に当たりません。社内の従業員に作成させる場合も同様です。
消防設備士が自ら施工した工事の消防用設備等試験結果報告書を作成する 自ら実施した工事の技術的結果を、自己の責任で記載する技術書類です。様式も消防庁長官が定めており(規則第31条の3第5項)、設備業者の業務に当然に含まれるものとして取り扱われています。
甲種消防設備士が着工届を提出する 工事整備対象設備等着工届出書は、甲種消防設備士本人に課された届出義務です(消防法第17条の14)。他人の書類ではありません。
防火管理者が自ら消防計画を作成し届け出る 消防法第8条第1項に基づく防火管理者自身の職務です。
行政書士または行政書士法人に依頼する 官公署提出書類の作成(第1条の3第1項)と提出手続の代理(第1条の4第1号)は、行政書士の正当な業務です。

設備業者が違法になるのは「技術的な仕事をしたこと」ではなく、関係者名義の届出書を報酬を得て代わりに作ったことです。技術書類(試験結果報告書・図面)は設備業者、届出書の鑑と提出は関係者本人または行政書士。この線引きを守れば、これまでどおりの連携で問題ありません。



消防設備士と行政書士の役割分担



工程 消防設備士(設備業者) 行政書士
設計・施工 消防用設備等の設計・設置工事(消防法第17条の5の独占業務)
着工届 甲種消防設備士が着工10日前までに届出(第17条の14)
試験・技術書類 作動試験・機能試験、試験結果報告書・平面図・系統図の作成
設置届出書の鑑 関係者からの依頼を受けて作成(第1条の3第1項)
添付書類の確認・編綴 技術書類の提供 法定添付書類の確認・整理
消防署への提出 提出手続の代理(第1条の4第1号)
設置検査 設備の動作確認・技術説明 書類面の確認・消防署との事前調整

設備業者が建物の「ハード」を、行政書士が手続きの「書面」を担当する。この分担であれば、令和7年の消防庁通知にも改正行政書士法にも適合します。当事務所は消防設備業者様からのご依頼も承っており、施主様と直接ご契約いただく形で届出部分のみをお引き受けすることも可能です。



発注者(建物オーナー・事業者)が確認すべき4つのこと



1 見積書の「届出代行」「書類作成費」の項目を確認する

消防設備工事の見積書に「消防署届出代行」「書類作成一式」といった項目があり、その業者が行政書士でない場合は、行政書士法第19条第1項に抵触します。金額が明示されていなくても、工事一式に含まれていれば同じです。



2 依頼先が行政書士か確認する

行政書士は都道府県の行政書士会に登録され、登録番号が付与されています。事務所のウェブサイトや名刺に行政書士の氏名と登録番号が記載されているかが、ひとつの目安になります。「元消防士」「防災士」「消防設備士」といった肩書きは、行政書士法上の例外事由ではありません。



3 届出書の届出者名義を確認する

提出された届出書の届出者欄が、関係者ではなく設備業者名になっていないかを確認してください。届出義務は関係者にありますので、業者名義の届出では義務を果たしたことになりません。控えの写しは必ず受け取り、保管しておきます。



4 自社の業務フローを点検する(設備業者・管理会社の方へ)

両罰規定の新設により、法人自体も処罰の対象になりました。自社の業務のなかに、報酬を得て顧客名義の消防届出書類を作成している部分がないかを点検し、該当する業務があれば、行政書士への外部委託または施主直接契約への切替えを検討してください。


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当事務所の報酬額


報酬額は 報酬額表 をご覧ください。
防火対象物工事等計画届出書、防火対象物使用開始(変更)届出書、防火・防災管理者選任(解任)届出書、消防計画作成(変更)届出書などの報酬額を業務ごとに掲載しています(すべて税抜)。
消防用設備等設置届出書は、設備の種類・棟数・添付図書の作成範囲によって作業量が大きく変わるため、報酬額表には掲載しておりません。個別にお見積りいたします。実費(交通費、証明書取得費用等)は別途申し受けます。初回のご相談は無料です。



よくある質問



消防用設備等設置届出書を消防設備業者に作成してもらうと違法ですか。

その業者が行政書士でなく、報酬を得て業として作成しているのであれば、行政書士法第19条第1項に違反します。届出書の鑑(別記様式第1号の2の3)は関係者名義の官公署提出書類だからです。工事代金に含める形でも、名目を問わないと条文に明記されています。一方、その業者が自ら施工した工事について消防用設備等試験結果報告書や平面図・系統図を作成することは適法です。技術書類は設備業者、届出書の鑑と提出は関係者本人または行政書士、という分担になります。



提出期限はいつまでですか。根拠条文はどれですか。

設置に係る工事が完了した日から4日以内です。期限を定めているのは消防法施行規則第31条の3第1項で、消防法第17条の3の2そのものには日数の定めがありません(「総務省令で定めるところにより」と委任しています)。4日は実務上非常に短いため、着工の段階から届出書と添付書類の準備を並行して進めておく必要があります。



消防用設備等を設置すれば、どの建物でも設置届が必要ですか。

いいえ。対象は消防法施行令第35条第1項に掲げる防火対象物に限られます。福祉施設・旅館・病院等(第1号)は面積を問わず対象、飲食店・物販店・遊技場等の特定用途(第2号)は延べ面積300㎡以上が対象です。これに対し事務所・倉庫・工場などの非特定用途(第3号)は、延べ面積300㎡以上であっても、消防長または消防署長が指定していなければ対象になりません。また、避難階以外の階に特定用途があり直通階段が2以上ない建物は、面積を問わず対象です(第4号)。



届出の対象外になる消防用設備等はありますか。

あります。簡易消火用具(水バケツ、水槽、乾燥砂等)と非常警報器具(警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレン)は、消防法施行令第35条第2項により届出・検査の対象から除かれています。なお消火器は簡易消火用具ではありませんので、対象建物に設置した場合は届出が必要です。



設置届を出し忘れた場合、どのような罰則がありますか。

消防法第44条第8号により、30万円以下の罰金または拘留の対象になります。同号は「第十七条の三の二又は第十七条の十四の規定による届出を怠つた者」と明記しており、設置届と着工届の双方が含まれます。設置検査を拒み、妨げ、忌避した場合は同条第4号で同じ刑です。なお、この第4号・第8号については法人に対する両罰規定の適用はありません。第45条第3号が列挙するのは第44条の第1号・第3号・第11号・第12号・第22号だからです。



届出書の届出者は誰の名前で書きますか。

関係者、すなわち防火対象物の所有者・管理者・占有者の名義です(消防法第2条第4項)。実務上は、その消防用設備等を自らの管理下に置く者、たとえば建物オーナーやテナント事業者が届出者になります。工事を請け負った消防設備業者は届出者になれません。行政書士に依頼した場合も届出者は関係者のままで、行政書士は作成者および提出代理人として関与します。



令和8年1月施行の行政書士法改正で何が変わりましたか。

改正法は令和7年法律第65号(令和7年6月13日公布)で、施行日が令和8年1月1日です。第19条第1項に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言が加わり、業務規定の条番号が第1条の2から第1条の3へ繰り下がりました。あわせて両罰規定(第23条の3)が新設され、違反行為をした個人だけでなく、その者が属する法人または個人事業主にも100万円以下の罰金が科されることになりました。総務省自治行政局長通知(総行行第281号)が「現行法の解釈を条文に明示する」ものと説明しているとおり、新たに違法行為が作られたのではなく、従来から違法だったものが条文で確認された改正です。



書類作成を無償で行えば問題ありませんか。

真に無償であれば第19条第1項の「報酬を得て」に当たりません。ただし改正後の条文は「いかなる名目によるかを問わず」と定めていますので、工事代金・管理委託料・点検料などに実質的に含まれていれば報酬を得ていると判断されます。「書類作成費は0円」と見積書に記載していても、それだけで適法になるわけではありません。また、継続的・反復的に行っていれば「業として」の要件も満たします。



消防署の窓口で書類作成者を確認されることはありますか。

令和7年2月25日の消防庁通知(消防予第75号ほか)が、申請窓口での注意喚起の張り紙の掲示と口頭での注意喚起を各消防機関に求めています。実際に東京消防庁管内の消防署でも掲示が行われています。加えて、令和7年6月13日の総務省自治行政局長通知(総行行第281号)は、各府省の本省・地方支分部局の申請窓口にも同様の取組を求めています。消防署に限らず、官公署の窓口全般で確認が強まっている状況です。



工事の途中から行政書士に依頼しても間に合いますか。

可能ですが、早いほど確実です。設置届の期限は工事完了日から4日以内であり、必要な添付書類(平面図、配管及び配線の系統図、消防用設備等試験結果報告書)は設備業者側で作成されるものです。当事務所では、着工の段階でご相談いただければ、所轄消防署との事前調整、必要書類の洗い出し、設備業者様との書類受渡しのスケジュール調整までお手伝いします。工事完了後にご相談いただいた場合でも、状況に応じて可能な限り対応いたします。



まとめ


  • 消防用設備等設置届出書の根拠は消防法第17条の3の2、様式は別記様式第1号の2の3です
  • 対象建物は消防法施行令第35条第1項で限定されています。非特定用途は消防長・消防署長の指定がなければ対象外です
  • 簡易消火用具と非常警報器具は届出・検査の対象から除かれます(令第35条第2項)
  • 届出義務者は関係者=所有者・管理者・占有者(法第2条第4項)。設備業者は届出者になれません
  • 期限は工事完了日から4日以内。定めているのは規則第31条の3第1項です
  • 届出を怠れば第44条第8号で30万円以下の罰金または拘留。両罰規定の適用はありません
  • 報酬を得て業として届出書を作成できるのは行政書士・行政書士法人だけ(行政書士法第19条第1項)。違反は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人・個人事業主にも100万円以下の罰金(第21条の2、第23条の3)
  • 消防設備士が自ら施工した工事の試験結果報告書・図面を作成することは適法です。線引きは「届出書の鑑を誰が作るか」にあります

消防用設備等設置届出書は、期限が短く、添付書類が設備の種類ごとに分かれ、所轄消防署ごとに求められる書類も少しずつ異なります。設備業者様との連携を含めて、着工前の段階からお手伝いできます。図面、設備の種類と数量、建物の用途と延べ面積がわかる資料をご用意のうえ、お気軽にご相談ください。



参照した法令・公的資料


  • 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第4項、第17条の3の2、第17条の3の3、第17条の4、第17条の5、第17条の14、第41条、第44条、第45条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第35条、別表第一
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3、別記様式第1号の2の3、別記様式第1号の2の3の2
  • 行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の3、第1条の4、第19条、第21条の2、第23条の3
  • 行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号) 令和7年6月13日公布・令和8年1月1日施行
  • 総務省消防庁予防課長・危険物保安室長・特殊災害室長「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」(令和7年2月25日付 消防予第75号、消防危第30号、消防特第35号
  • 総務省自治行政局長「行政書士法の一部を改正する法律の公布について」(令和7年6月13日付 総行行第281号)、同局行政課長通知(総行行第283号)
  • 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和4年法律第68号) 令和7年6月1日施行(拘禁刑への一本化)

※本記事は2026年8月16日時点の法令に基づいて作成しています。届出の要否、添付書類の範囲、検査の運用は所轄消防署によって異なることがありますので、個別の案件は所轄消防署の予防課または当事務所にご確認ください。



この記事を書いた人


萩本 昌史(はぎもと まさし)
特定行政書士/消防設備士/防火対象物点検資格者防災管理点検資格者
行政書士萩本昌史事務所 代表
東京の消防手続支援ステーション 運営
〒157-0061 東京都世田谷区北烏山7-25-8-401
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