自衛消防組織の設置義務|1万平方メートル以上?自衛消防隊との違いを条文で解説

自衛消防組織の設置義務|1万平方メートル以上?自衛消防隊との違いを条文で解説

自衛消防組織(消防法第8条の2の5)と自衛消防隊(東京都火災予防条例第55条の4)は別の制度です。対象となる建物の規模、統括管理者の資格、自衛消防要員の員数、東京都の自衛消防活動中核要員、自衛消防組織設置(変更)届出書の期限と罰則の有無までを行政書士が条文で解説します。

この記事の結論
1. 「自衛消防組織」と「自衛消防隊」は別の言葉です。自衛消防組織は消防法第8条の2の5に基づく法定の組織、自衛消防隊は東京都火災予防条例第55条の4第1項の「自衛消防の組織」を東京消防庁が呼び分けている実務上の呼称です。
2. 自衛消防組織を置く義務があるのは、消防法施行令第4条の2の4に該当する大規模・高層の防火対象物だけです。おおむね「11階以上かつ延べ面積1万平方メートル以上」「5階以上10階以下かつ2万平方メートル以上」「4階以下かつ5万平方メートル以上」、地下街は1,000平方メートル以上が目安になります。
3. 自衛消防隊(条例第55条の4第1項)は令別表第一に掲げるすべての防火対象物が対象で、条文上は努力義務です。規模を問わず関係してくるのはこちらです。
4. 自衛消防組織には統括管理者1名と、4つの業務ごとにおおむね2人以上の自衛消防要員を置きます(令第4条の2の8、消防法施行規則第4条の2の11)。統括管理者は自衛消防業務講習の修了者等でなければなりません。
5. 東京では、これに加えて東京都火災予防条例第55条の5の「自衛消防活動中核要員」が別途義務づけられます。自衛消防技術認定証を持つ者から、最少5人(火災予防条例施行規則第11条の5)を配置します。
6. 設置したら遅滞なく「自衛消防組織設置(変更)届出書」を所轄消防署長に届け出ます(法第8条の2の5第2項、規則第4条の2の15)。この届出を怠ったこと自体に対する罰則は、消防法には置かれていません。ただし設置命令(法第8条の2の5第3項)を経て、使用禁止・停止・制限命令(法第5条の2第1項)まで進む仕組みになっています。


「うちのビルは自衛消防隊をつくってあるので、自衛消防組織も大丈夫ですよね」。大規模ビルの防火管理担当者から、この質問をよくいただきます。答えは「別の制度なので、それだけでは足りません」です。


自衛消防組織と自衛消防隊は、名前が似ているうえに、実際の建物では同じ人が両方の役割を担います。しかし根拠法令が違い、対象になる建物の範囲が違い、資格要件も届出の有無も違います。ここを混同したまま消防計画を作ると、立入検査で必ず指摘されます。


本記事は、東京都内で大規模建物の防火管理・防災管理に関わる管理権原者、防火管理者、防災センターの管理者、ビル管理会社の担当者に向けて、両者の違いを消防法・消防法施行令・消防法施行規則・東京都火災予防条例・同施行規則の条文と、総務省消防庁の通知、東京消防庁の公表資料をもとに整理したものです。



自衛消防組織と自衛消防隊は何が違うのか

まず用語を固めます。ここが曖昧なままだと、以降のすべての判断がずれます。


自衛消防組織とは(消防法第8条の2の5)

自衛消防組織とは、消防法第8条の2の5第1項に基づき、多数の者が出入りする大規模な防火対象物の管理権原者が、当該防火対象物に置かなければならない法定の組織をいいます。対象となる建物の範囲は消防法施行令第4条の2の4が定めています。


平成19年法律第93号による消防法改正で新設され、平成21年6月1日から施行されました。東海地震・東南海南海地震・首都直下地震の切迫性を背景に、大規模事業所の自衛消防力を確保することが目的です(総務省消防庁「消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について」平成20年9月24日付け消防予第237号)。


自衛消防隊とは(東京都火災予防条例第55条の4第1項)

自衛消防隊とは、東京都火災予防条例第55条の4第1項に規定する「自衛消防の組織」をいいます。これは東京消防庁「自衛消防隊の組織編成基準」が明記している定義です。


条例第55条の4第1項は、令別表第一に掲げる防火対象物の管理権原者に対し、火災・地震その他の災害が発生した場合の初期消火、通報連絡、避難誘導、消防隊への情報提供その他の自衛消防の活動を効果的に行うため、自衛消防の組織を定め、訓練を行うよう努めなければならないと定めています。文言のとおり努力義務です。


ここで押さえておきたいのは、東京都火災予防条例の本則に「自衛消防隊」という語は出てこないということです。条例が使っているのは「自衛消防の組織」で、「自衛消防隊」は附則の経過措置に残っているほかは、東京消防庁の運用資料で使われる呼称です。条文を検索して見つからないのは、そのためです。


危険物施設の自衛消防組織(消防法第14条の4)は全くの別物

消防法には、もうひとつ「自衛消防組織」という言葉が出てくる条文があります。消防法第14条の4です。これは同一事業所において第4類の危険物を指定数量の3,000倍以上取り扱う指定施設を有する事業者が置く自衛消防組織で、危険物の規制に関する政令第38条・第38条の2により、取扱数量に応じて人員5人・化学消防自動車1台から、人員20人・化学消防自動車4台までの編成が義務づけられます。石油コンビナート等の事業所が対象で、本記事で扱う第8条の2の5の自衛消防組織とは根拠条文も対象も内容もまったく異なります。


項目 自衛消防組織 自衛消防隊(自衛消防の組織)
根拠 消防法第8条の2の5、令第4条の2の4〜第4条の2の8 東京都火災予防条例第55条の4第1項
義務の性質 義務(置かなければならない) 努力義務(定めるよう努めなければならない)
対象 令第4条の2の4に該当する大規模・高層の防火対象物のみ 令別表第一に掲げる防火対象物(規模を問わない)
義務者 管理権原者(複数なら共同して設置) 管理権原者
長の資格 統括管理者は自衛消防業務講習修了者等(令第4条の2の8第3項) 条例上の資格要件なし(東京消防庁の基準では原則として防火管理者)
届出 自衛消防組織設置(変更)届出書(遅滞なく) 組織自体の届出制度はない(消防計画に記載)
適用地域 全国 東京都(他の自治体は各火災予防条例による)

実務上の関係
両者は「どちらか一方」ではありません。東京消防庁「自衛消防隊の組織編成基準」は、法第8条の2の5に基づき自衛消防組織を置く場合について、統括管理者を防火対象物自衛消防隊長または隊長不在時の代行者兼副隊長のいずれかに位置づけることとしています。つまり、東京では自衛消防隊という器の中に、法定の自衛消防組織を重ねて組み込む運用です。組織図を2つ作る必要はありませんが、消防計画の上では両方の要件を満たしていることが読み取れなければなりません。


法令上の根拠

条文の構造

自衛消防組織の規定は、法・政令・省令の3層に分かれています。全体像を先に押さえると迷いません。


条文 定めている内容
消防法第8条の2の5第1項 設置義務の根幹。対象は政令に委任
同第2項 設置・変更の届出義務(遅滞なく、所轄消防長または消防署長へ)
同第3項 置かれていないと認める場合の設置命令
令第4条の2の4 自衛消防組織の設置を要する防火対象物(用途・階数・面積)
令第4条の2の5 置かなければならない者。権原が複数なら共同設置
令第4条の2の6 消防計画に自衛消防組織の業務に関する事項を定めさせる義務
令第4条の2の7 自衛消防組織の業務
令第4条の2の8 統括管理者と自衛消防要員。統括管理者の資格
規則第4条の2の10 消防計画に定める事項の細目
規則第4条の2の11 自衛消防要員の員数(4業務ごとにおおむね2人以上)
規則第4条の2の13 統括管理者の資格を有する者(消防職員1年以上等)
規則第4条の2の14 自衛消防業務講習(新規・再講習)
規則第4条の2の15 届出事項と様式(別記様式第1号の2の2の3の3)

自衛消防組織を置かなければならない建物(令第4条の2の4)

対象は3つのグループに分かれます。いずれも法第8条第1項の防火対象物(=防火管理者の選任が必要な防火対象物)であることが前提です。


区分 用途 規模の要件
第1号
単一用途
(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項から(12)項まで、(13)項イ、(15)項、(17)項
(これらを「自衛消防組織設置防火対象物」といいます)
イ 地階を除く階数11以上 かつ 延べ面積10,000平方メートル以上
ロ 地階を除く階数5以上10以下 かつ 延べ面積20,000平方メートル以上
ハ 地階を除く階数4以下 かつ 延べ面積50,000平方メートル以上
第2号
複合用途
(16)項のうち、上記の用途に供される部分が存するもの 判定に使うのは延べ面積ではなく当該用途部分の床面積の合計
イ 地階を除く階数11以上の建物
 (1) 用途部分の全部または一部が11階以上の階に存する → 10,000平方メートル以上
 (2) 用途部分の全部が10階以下に存し、かつ全部または一部が5階以上10階以下に存する → 20,000平方メートル以上
 (3) 用途部分の全部が4階以下に存する → 50,000平方メートル以上
ロ 地階を除く階数5以上10以下の建物
 (1) 用途部分の全部または一部が5階以上の階に存する → 20,000平方メートル以上
 (2) 用途部分の全部が4階以下に存する → 50,000平方メートル以上
ハ 地階を除く階数4以下の建物 → 50,000平方メートル以上
第3号
地下街
(16の2)項 延べ面積1,000平方メートル以上

第1号の用途リストに含まれていないのは、(5)項ロ(共同住宅・寄宿舎・下宿)、(13)項ロ(飛行機の格納庫等)、(14)項(倉庫)、(16の3)項、(18)項から(20)項までです。したがって、延べ面積が10万平方メートルある物流倉庫であっても、(14)項単体であれば自衛消防組織の設置義務はありません。


防災管理と対象が完全に一致します
消防法施行令第46条は、防災管理を要する建築物その他の工作物を「第4条の2の4の防火対象物とする」と定めています。条文が同じものを指しているため、自衛消防組織の設置義務がある建物は、必ず防災管理者の選任義務もある建物です。逆も同じです。
実務では、防災管理者選任届出書・防災管理に係る消防計画作成届出書・自衛消防組織設置届出書を同じタイミングで整えることになります。防災管理そのものについては防災管理が必要な建物とは|対象規模・防災管理者・届出・罰則を条文で解説をご覧ください。


誰が置くのか(令第4条の2の5)

置く義務を負うのは、その防火対象物の管理について権原を有する者です。(16)項複合用途の場合は、自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分について権原を有する者に限られます。


そして、権原を有する者が複数あるときは、共同して自衛消防組織を置くものとされています(同条第2項)。テナントビルでは通常こちらに当たります。ビルオーナーだけが置けばよい、という制度ではありません。


自衛消防組織の業務(令第4条の2の7、法第36条第7項)

自衛消防組織は、消防計画の定めに従い、次の業務を行います。


  • 火災の初期の段階における消火活動
  • 消防機関への通報
  • 在館者が避難する際の誘導
  • その他の火災の被害の軽減のために必要な業務

令の条文は「火災の」被害軽減と書いていますが、これで終わりではありません。消防法第36条第7項が、防災管理を要する建築物その他の工作物に自衛消防組織が置かれている場合には、当該自衛消防組織は「火災その他の災害の被害の軽減のために必要な業務」を行うものとする、と定めています。地震や毒性物質の発散といった火災以外の災害(令第45条)も、自衛消防組織の任務範囲に入ります。


要員の基準(令第4条の2の8、規則第4条の2の11)

自衛消防組織には、統括管理者と自衛消防要員を置きます。要員は次の4つの業務について、それぞれおおむね2人以上です。


規則第4条の2の11の号 業務 員数
第1号 火災の初期の段階における消火活動に関する業務 おおむね2人以上
第2号 情報の収集及び伝達並びに消防用設備等その他の設備の監視に関する業務 おおむね2人以上
第3号 在館者が避難する際の誘導に関する業務 おおむね2人以上
第4号 在館者の救出及び救護に関する業務 おおむね2人以上

この4業務を分掌する内部組織(班)を編成する場合は、業務の内容と活動の範囲を明確に区分し、必要な要員を配置したうえで、その内部組織を統括する者を置きます(規則第4条の2の10第3項)。この「統括管理者の直近下位の内部組織を統括する者」を、実務では告示班長と呼びます。初期消火班長、通報連絡班長、避難誘導班長、応急救護班長がこれに当たります。


統括管理者の資格(令第4条の2の8第3項、規則第4条の2の13)

統括管理者は自衛消防組織を統括する者で、次のいずれかでなければなりません。


根拠 資格
令第4条の2の8第3項第1号 都道府県知事、消防長または総務大臣の登録を受けた法人が行う自衛消防組織の業務に関する講習(自衛消防業務講習)の課程を修了した者
規則第4条の2の13第1号 市町村の消防職員で、1年以上管理的または監督的な職にあった者
規則第4条の2の13第2号 市町村の消防団員で、3年以上管理的または監督的な職にあった者
規則第4条の2の13第3号 前2号に準ずるものとして消防庁長官が定める者(旧防災センター要員講習修了者で追加講習を修了した者。平成20年消防庁告示第14号)

自衛消防業務新規講習はおおむね12時間(規則第4条の2の14第2項)、自衛消防業務再講習はおおむね4時間(同条第3項)です。再講習は、新規講習(または追加講習)の課程を修了した日以後における最初の4月1日から5年以内に受け、以後も同様とされています(平成20年消防庁告示第15号ほか)。修了者には規則別記様式第1号の2の2の3の2による修了証が交付されます。


告示班長についても、教育の方法が定められています。統括管理者の直近下位の内部組織を統括する者に対する教育は、自衛消防業務講習を受けさせることにより行うものとされています(規則第4条の2の10第4項、平成20年消防庁告示第13号)。班長は自衛消防業務講習の修了者等でそろえる、と考えておくのが安全です。


実務ではどう運用されるか

消防計画に書かれていなければ「置いた」ことにならない

ここが最も見落とされる点です。令第4条の2の6は、管理権原者が防火管理者に、防火管理に係る消防計画において自衛消防組織の業務に関する事項を定めさせなければならないと規定しています。組織図を作って人を並べただけでは足りません。


消防計画に定めるべき事項は規則第4条の2の10が具体化しています。


場面 消防計画に定める事項
共通
(規則第4条の2の10第1項)
一 自衛消防組織が行う業務に係る活動要領に関すること
二 自衛消防組織の要員に対する教育及び訓練に関すること
三 その他自衛消防組織の業務に関し必要な事項
共同設置の場合
(同条第2項)
上記に加えて
一 自衛消防組織に関する協議会の設置及び運営に関すること
二 自衛消防組織の統括管理者の選任に関すること
三 自衛消防組織が業務を行う防火対象物の範囲に関すること
四 その他自衛消防組織の運営に関し必要な事項

消防計画そのものの作り方は消防計画の作成手順と記載事項|届出義務者・様式第1号の2・訓練回数を条文で解説で、記載内容を変更したときの届出は消防計画の変更届が必要な7つのケース|根拠条文・期限・罰則を解説で解説しています。


消防計画は2本立てになります(令第49条)
自衛消防組織に消防法第36条第7項の適用がある場合、つまり防災管理対象物である場合は、消防法施行令第49条により令第4条の2の6の読み方が変わります。火災に対応するための自衛消防組織の業務に関する事項は防火管理に係る消防計画に、火災以外の災害に対応するための自衛消防組織の業務に関する事項は防災管理に係る消防計画に定めさせなければならず、後者を定めさせるのは防火管理者ではなく防災管理者です。
自衛消防組織の設置義務がある建物は必ず防災管理対象物ですから、実務上はこの2本立てが原則になります。防火の消防計画にだけ自衛消防組織を書いて、防災管理の消防計画に何も書いていない、という状態は指摘の対象です。


東京では自衛消防隊の編成に自衛消防組織を重ねる

東京消防庁「自衛消防隊の組織編成基準」は、自衛消防隊を事業所自衛消防隊(防火管理者による消防計画の作成単位ごと)と防火対象物自衛消防隊(建物全体)の二層で組み立てます。そのうえで、法第8条の2の5に基づき自衛消防組織を設ける場合の扱いを次のように示しています。


  • 統括管理者は、統括防災管理者、統括防火管理者、防火管理者、防災センターの長その他の管理的または監督的な立場の者を充てること
  • 統括管理者は、防火対象物自衛消防隊長または隊長不在時の代行者兼副隊長のいずれかに位置づけること
  • 統括管理者の役割を果たすために必要な責務、役割、権限等を消防計画に定めること
  • 告示班長は、自衛消防業務講習修了者等とすること
  • 統括管理者および告示班長は、防火対象物本部隊に配置すること
  • 規則第4条の2の11に定める要員の人数は、各業務について複数の要員を確保すべき旨の規定であり、防火対象物自衛消防隊全体で業務ごとに人数が確保されていれば差し支えないこと

最後の1点は実務上とても重要です。「4業務×2人=最低8人を専任で置かなければならない」と読む必要はありません。建物全体で業務ごとに複数名が確保されていればよい、という整理です。


東京都独自の上乗せ:自衛消防活動中核要員(条例第55条の5)

東京では、自衛消防組織とは別に、自衛消防活動中核要員を置く義務があります。根拠は東京都火災予防条例第55条の5第1項です。中核要員は、条例第62条の4第1項の自衛消防技術認定証を有する者のうちから選ばなければなりません。


用途 規模
第1号 (16の2)項 地下街 床面積の合計3,000平方メートル以上
第2号 (5)項イ 旅館・ホテル等 延べ面積3,000平方メートル以上
第3号 (2)項・(3)項 遊技場・飲食店等 延べ面積3,000平方メートル以上 かつ 収容人員300人以上
第4号 (4)項 物品販売店舗等・(12)項 工場等 延べ面積5,000平方メートル以上
第5号 (1)項 劇場・集会場等 延べ面積10,000平方メートル以上 または 収容人員2,000人以上
第6号 (13)項イ 駐車場等 延べ面積10,000平方メートル以上
第7号 (6)項イ 病院・診療所等 延べ面積10,000平方メートル以上 かつ 収容人員500人以上
第8号 (15)項 事務所等 延べ面積30,000平方メートル以上
第9号 (16)項イ 複合用途(小規模特定用途複合防火対象物を除く) 第1号から第8号までのいずれかの用途・規模・収容人員が存するもの または 延べ面積10,000平方メートル以上
第10号 (16)項((16)項イは小規模特定用途複合防火対象物に限る) 第4号((4)項を除く)・第6号・第8号の用途および規模が存するもの または 延べ面積30,000平方メートル以上
第11号 高層建築物(高さ31メートル超) 延べ面積20,000平方メートル以上
第12号 条例第55条の3第1項第1号・第2号(危険物指定数量1,000倍以上の貯蔵所、指定可燃物1,500平方メートル以上) 同左

第9号から第11号までは、(5)項ロ(共同住宅)の用途に供される部分を除いて判定します。表は概要ですので、境界線上の建物は必ず条文と所轄消防署で確認してください。


自衛消防活動中核要員の人数は「5人+1万平方メートルごとに1人」

人数は東京都火災予防条例施行規則第11条の5第1項の表で決まります。用途区分ごとに基準面積が違いますが、考え方は共通です。


(延べ面積または床面積 - 基準面積)÷ 10,000平方メートル + 5人(1未満の端数は切り上げ)


基準面積は、条例第55条の5第1項第1号・第2号・第3号・第5号・第7号・第9号は10,000平方メートル、第6号・第8号・第10号は30,000平方メートル、第11号は用途により20,000または30,000平方メートルです。第4号は(4)項が10,000平方メートル、(12)項が30,000平方メートルと分かれています。基準面積以下であれば5人です。
第12号だけは面積ではありません。条例第55条の3第1項第1号(危険物)は指定数量の倍数から1,000を減じた数を1,000で除して得た数に5を加えた数、同項第2号(指定可燃物)は貯蔵・取扱い部分の床面積の合計から10,000平方メートルを減じた数を10,000平方メートルで除して得た数に5を加えた数です。


配置についても定めがあります(同条第2項)。


  • 防災センターまたはこれに準ずる場所(本部)と、担当区域に配置する
  • 担当区域の数は、算出した人数から5を減じた数を5で除した数(1未満切捨て)
  • 本部に配置する中核要員は5名以上、担当区域は1区域あたり5名以上

「7人」と書かれた資料に注意
インターネット上には、中核要員の最少人数を7人、加算単位を6人として説明している資料が残っています。これは平成31年の火災予防条例施行規則改正(平成31年規則第22号)より前の基準です。現行は最少5人、加算単位も5人です(東京都火災予防条例施行規則第11条の5、平成31年規則第22号・令和2年規則第205号による改正後)。
なお、消防署長が防火対象物の位置、構造、設備、収容人員、従業者、使用形態、管理形態等から判断して自衛消防活動上支障ないと認めるときは、この限りでないとされています(同条第3項)。


防災センター要員との関係

一定規模の建物では、消防用設備等の総合操作盤等を防災センターで集中管理しなければならず(条例第55条の2の2第1項)、その防災センターには防災センター要員を置きます(条例第55条の2の3第1項)。防災センター要員は、防災センター技術講習または防災センター実務講習を修了した者で、かつ自衛消防技術認定証を有している者でなければなりません。


そして条例第55条の5第4項により、一定の防火対象物では防災センター要員は自衛消防活動中核要員となるものとされています。実務では、防災センター要員の確保と中核要員の確保を一体で考えることになります。


資格の更新にも違いがあります。防災センター要員講習修了証は、交付を受けた日以後における最初の4月1日から5年以内に防災センター実務講習を受けなければなりません(条例第55条の2の3第2項)。一方、自衛消防技術認定証について、条例は更新や再講習を定めていません。


例外・特例が問題になる場面

複合用途ビルは「対象用途部分の床面積」で判定する

(16)項の建物では、延べ面積ではなく自衛消防組織設置防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計で判定します(令第4条の2の4第2号)。共同住宅と店舗の複合ビルであれば、共同住宅部分((5)項ロ)は算入されません。この違いを見落とすと、義務がないのに組織を作ることにも、義務があるのに気づかないことにもなります。


複合用途の考え方そのものは複合用途防火対象物と防火管理上の留意点について詳しく解説、用途判定の手順は消防法の用途判定とは?令別表第一の項の決め方・従属用途・みなし従属を解説で整理しています。


権原が分かれている場合の共同設置と協議会

権原者が複数のときは共同設置です(令第4条の2の5第2項)。このとき消防計画には、協議会の設置・運営、統括管理者の選任、自衛消防組織が業務を行う範囲を定めなければなりません(規則第4条の2の10第2項)。


実務では、統括防火管理者・統括防災管理者の協議事項と、自衛消防組織の協議会を一体で設計します。統括防火管理者の制度については統括防火管理者とは|選任が必要な建物・協議会・全体についての消防計画を条文で解説をご覧ください。


既存建物・テナント入替・用途変更で新たに義務が生じる

自衛消防組織の義務は、建物を新築したときだけ発生するものではありません。次のような場面で、あとから義務が生じます。


場面 確認すること
増築・改築 延べ面積が階数区分の基準を超えないか。(16)項は用途部分の床面積合計
用途変更 (5)項ロや(14)項の部分が(15)項や(4)項に変わると、算入対象の床面積が一気に増える
テナント入替 管理権原者の顔ぶれが変わるので、共同設置の当事者と統括管理者の選任をやり直す必要がないか
組織改編・人事異動 統括管理者・要員の現況が変わったら変更届。統括管理者の資格の有無
消防用設備等の増設・改修 総合操作盤の設置により防災センターの設置義務・防災センター要員の義務が生じないか

とくにテナント入替は、建物の物理的条件が何も変わらないのに義務者が変わるという点で見落とされがちです。テナント入居時の消防手続全般はテナント入居・内装工事の消防法チェックポイント|届出一覧にまとめています。


自衛消防組織に「特例」は用意されていない

消防用設備等には基準の特例(令第32条)がありますが、自衛消防組織の設置義務には、消防法令上の緩和規定がありません。令第4条の2の4に該当すれば置くほかありません。緩和の余地があるのは、東京都独自の自衛消防活動中核要員の人数・配置(火災予防条例施行規則第11条の5第3項)と装備(同規則第11条の6ただし書)についてで、いずれも消防署長が自衛消防活動上支障ないと認める場合に限られます。


届出・事前相談の実務

誰が、何を、いつまでに、どこへ

書類 届出義務者 期限 提出先 根拠
自衛消防組織設置(変更)届出書 管理権原者 設置・変更後、遅滞なく 所轄消防長または消防署長 法第8条の2の5第2項、規則第4条の2の15
防災管理者選任(解任)届出書 管理権原者 遅滞なく 所轄消防長または消防署長 法第36条第1項で読み替え準用する法第8条第2項
消防計画作成(変更)届出書(防災管理に係るもの) 防災管理者 日数の定めなし(作成・変更の都度、遅滞なく) 所轄消防長または消防署長 規則第51条の8、別記様式第1号の2
消防計画作成(変更)届出書(防火管理に係るもの) 防火管理者 日数の定めなし(作成・変更の都度、遅滞なく) 所轄消防長または消防署長 規則第3条第1項、別記様式第1号の2

自衛消防組織設置(変更)届出書に書くこと

届出事項は規則第4条の2の15第1項が定めています。


  • 管理権原者の氏名及び住所
  • 防火対象物の所在地、名称、用途、延べ面積((16)項は延べ面積と用途部分の床面積の合計)、階数(地階を除く)
  • 権原が分かれている場合は、当該権原の範囲
  • 自衛消防組織の内部組織の編成及び自衛消防要員の配置
  • 統括管理者の氏名及び住所
  • 自衛消防組織に備え付けられている資機材

様式は規則別記様式第1号の2の2の3の3、添付書類として統括管理者の資格を証する書面が必要です(同条第2項・第3項)。自衛消防業務講習の修了証の写しがこれに当たります。


「当該事項を変更したときも、同様とする」(法第8条の2の5第2項後段)とされているため、統括管理者の交代、内部組織の改編、要員配置の変更、権原の範囲の変更があれば、そのつど変更届が必要です。人事異動の季節には特に注意してください。防火管理者側の交代については人事異動で防火管理者が不在になった場合の対処方法・手続きについてで解説しています。


事前相談で確認しておくこと

大規模建物では、届出書を書き始める前に整理すべき事実が多くあります。所轄消防署への事前相談の際は、次を用意しておくと話が早く進みます。


  • 既存建物か、新築・大規模改修か。既存建物であれば、現在の消防計画に自衛消防組織の記載があるか
  • 用途と階数と面積。(16)項なら用途部分ごとの床面積の内訳。無窓階の有無
  • 管理権原の分かれ方。区分所有か賃貸か、権原者の一覧と範囲
  • 統括管理者候補の資格。自衛消防業務講習の修了年月日と再講習の履歴
  • 自衛消防技術認定証の保有者数と勤務時間帯ごとの在館状況(東京の中核要員の確保)
  • 防災センターの有無と総合操作盤の設置状況、防災センター要員の資格
  • 消防用設備等の現況と直近の点検結果報告の状況
  • 夜間・休日の従業者数。要員が確保できない時間帯があれば別編成が必要

最後の項目は特に重要です。東京消防庁の組織編成基準は、従業員が交替する場合や大幅に減少する場合について、夜間体制等の自衛消防隊は別編成とし、当該編成を消防計画に定める必要があるとしています。日中の組織図だけを提出して、夜間の体制を問われるのはよくある場面です。


書類の作成を誰に頼めるか

組織編成表や活動要領の中身を検討するのは、管理権原者と防火管理者・防災管理者の仕事です。一方、消防署に提出する届出書そのものは官公署に提出する書類ですから、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て業としてこれを作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人に限られます(行政書士法第1条の3第1項、第19条第1項)。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法第21条の2)。


この点は消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止についてで詳しく整理しています。


よくある誤解と注意点

誤解1 自衛消防組織を置かないと罰金がある

正確ではありません。消防法の罰則(第41条から第46条の5まで)に、第8条の2の5に関する規定は置かれていません。設置義務違反にも、第2項の届出義務違反にも、直接の罰則はありません。


ただし「罰則がないから放置してよい」という話ではありません。仕組みはこうなっています。


段階 内容 根拠
1 立入検査で自衛消防組織が置かれていないことが判明 法第4条
2 消防長・消防署長が管理権原者に対し、自衛消防組織を置くべきことを命令 法第8条の2の5第3項
3 命令をした旨の公示(標識の設置) 法第5条第3項・第4項の準用(法第8条の2の5第4項)
4 措置が履行されない等の場合、防火対象物の使用禁止・停止・制限命令 法第5条の2第1項第1号・第2号
5 使用禁止命令に違反すると、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(両罰規定により法人にも1億円以下の罰金) 法第39条の2の2、法第45条第1号

さらに、過去3年以内に第8条の2の5第3項の命令を受けたことがあると、防火対象物点検の特例認定を受けられません(法第8条の2の3第1項第2号イ)。すでに認定を受けている場合は取り消されます(同条第6項第2号)。特例認定については防火対象物点検とは|対象建物・設備点検との違い・特例認定を解説をご覧ください。立入検査の流れは消防署の立入検査とは|根拠条文・指摘事項・改修報告・罰則を解説で解説しています。


誤解2 届出を忘れると30万円以下の罰金

それは別の届出の話です。30万円以下の罰金または拘留が科されるのは、法第8条第2項(防火管理者の選任・解任届)を怠った場合で、根拠は法第44条第8号です。法第36条第1項で読み替え準用されるため、防災管理者の選任届にも同じ罰則が及びます。


一方、自衛消防組織設置届(法第8条の2の5第2項)は、法第44条第8号の列挙に入っていません。同じ建物で同じ時期に出す書類でありながら、罰則の有無が違います。防火管理者選任届の実務は防火管理者選任届出書の書き方|必要書類・提出先・期限にまとめています。


誤解3 自衛消防隊をつくれば自衛消防組織の義務は果たせる

果たせません。自衛消防隊(条例第55条の4第1項の自衛消防の組織)には統括管理者の資格要件も届出義務もありません。自衛消防組織の義務を満たすには、少なくとも次の3点が必要です。


  • 統括管理者が令第4条の2の8第3項の資格を有していること
  • 消防計画に規則第4条の2の10の事項が定められていること
  • 自衛消防組織設置(変更)届出書を提出していること

誤解4 自衛消防組織は火災のためのものだから、地震は防災管理の話

違います。消防法第36条第7項が、自衛消防組織は火災その他の災害の被害の軽減のために必要な業務を行うものとすると定めています。地震も毒性物質の発散等も(令第45条)、自衛消防組織の任務です。さらに令第49条により、火災に対応する業務は防火管理に係る消防計画に、火災以外の災害に対応する業務は防災管理に係る消防計画に定めることになります。2つの消防計画で自衛消防組織の記載が矛盾していないかを確認してください。


誤解5 統括管理者は防火管理者が兼ねればよい

兼任すること自体は問題ありません。東京消防庁の組織編成基準も、統括防災管理者・統括防火管理者・防火管理者等を充てることとしています。しかし、甲種防火管理講習を修了しているだけでは統括管理者の資格になりません。別途、自衛消防業務講習を修了する必要があります(令第4条の2の8第3項第1号)。


誤解6 自衛消防技術認定証があれば統括管理者になれる

なれません。自衛消防技術認定証(東京都火災予防条例第62条の4)は東京消防庁が実施する自衛消防技術試験の合格者に交付されるもので、東京都の自衛消防活動中核要員・防災センター要員の要件です。統括管理者の資格は国の政令(令第4条の2の8第3項)が定める自衛消防業務講習の修了等であり、別の資格です。混同すると、届出時に添付する「統括管理者の資格を証する書面」が用意できません。


資格 取得方法 使いみち 根拠
自衛消防業務講習修了証 自衛消防業務新規講習(おおむね12時間) 統括管理者・告示班長 令第4条の2の8第3項第1号、規則第4条の2の14
自衛消防技術認定証 東京消防庁の自衛消防技術試験に合格 自衛消防活動中核要員・防災センター要員 東京都火災予防条例第62条の4、第55条の5、第55条の2の3
防災センター要員講習修了証 防災センター技術講習または実務講習 防災センター要員 東京都火災予防条例第55条の2の3
防災管理講習修了証 防災管理新規講習(おおむね5時間)等 防災管理者 令第47条第1項、規則第51条の7

誤解7 自衛消防組織は東京だけの制度

逆です。自衛消防組織は消防法に基づく全国共通の制度で、東京都に限られません。東京都独自なのは、自衛消防活動中核要員(条例第55条の5)と防災センター要員(条例第55条の2の3)、自衛消防技術試験(条例第62条の4)です。他の自治体でも自衛消防隊に相当する規定を火災予防条例に置いていることが多いため、東京都外の建物では所在地の火災予防条例を確認してください。


誤解8 訓練は自衛消防組織のためにやるもの

訓練の義務は別の条文から来ています。特定用途の防火対象物の消火訓練・避難訓練が年2回以上必要なのは規則第3条第10項、実施時にあらかじめ消防機関へ通報しなければならないのは同条第11項です。自衛消防組織については、規則第4条の2の10第1項第2号が「要員に対する教育及び訓練に関すること」を消防計画に定めるよう求めています。訓練の回数については自衛消防訓練は年2回必要?総合訓練・部分訓練の回数を消防法と東京都火災予防条例から解説で詳しく解説しています。


費用とご依頼について

自衛消防組織まわりで当事務所にご依頼いただける主な業務は、防災管理・防火管理に係る消防計画の作成および変更、防災管理者・防火管理者の選任(解任)届出書の作成、自衛消防組織設置(変更)届出書の作成、自衛消防訓練実施結果報告書の作成、これらの官公署への提出手続の代理です。


各業務の報酬額は報酬額表に一覧で掲載しています。金額に幅があるのは、建物の規模・用途、権原者の数、図面や組織編成表の作成の要否、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。正式なお見積りは、建物の情報を確認させていただいたうえでご提示いたします。


初回のご相談は無料です(2回目以降のご相談は1時間につき5,500円。ご依頼いただいた場合は無料)。報酬額表に掲載のない業務も、個別にお見積りいたします。


自衛消防組織の要否から、届出書の作成までまとめてご相談ください
大規模建物の消防手続でいちばん多いのは、「防災管理は届け出ているが、自衛消防組織設置届が出ていなかった」「統括管理者が交代したのに変更届を出していなかった」というものです。どちらも立入検査で必ず確認される項目です。
建物の所在地・用途・階数・延べ面積(複合用途なら用途部分ごとの床面積)・管理権原の分かれ方・統括管理者候補の資格・自衛消防技術認定証の保有者数をお知らせいただければ、自衛消防組織の要否、防災管理者の選任義務の有無、東京都の自衛消防活動中核要員の必要人数、消防計画に追加すべき記載、提出すべき届出書の一覧まで、順序立てて整理してご案内します。
初回のご相談は無料です。
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行政書士萩本昌史事務所|東京の消防手続支援ステーション


よくある質問

Q1. 自衛消防組織と自衛消防隊は何が違うのですか?

根拠法令が違います。自衛消防組織は消防法第8条の2の5に基づく法定の組織で、対象は消防法施行令第4条の2の4に該当する大規模・高層の防火対象物に限られ、統括管理者の資格要件と設置届出義務があります。自衛消防隊は東京都火災予防条例第55条の4第1項の「自衛消防の組織」を指す東京消防庁の実務上の呼称で、令別表第一に掲げるすべての防火対象物が対象ですが、条文上は努力義務で、資格要件も届出義務もありません。


Q2. どのくらいの規模の建物なら自衛消防組織が必要ですか?

令第4条の2の4に定めがあります。(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項から(12)項、(13)項イ、(15)項、(17)項の防火対象物であれば、地階を除く階数11以上で延べ面積10,000平方メートル以上、階数5以上10以下で20,000平方メートル以上、階数4以下で50,000平方メートル以上のいずれかに該当する場合です。(16)項複合用途は当該用途部分の床面積の合計で判定し、(16の2)項地下街は延べ面積1,000平方メートル以上です。


Q3. 共同住宅や倉庫は対象になりますか?

単独用途であれば対象外です。令第4条の2の4第1号の用途リストに、(5)項ロ(寄宿舎・下宿・共同住宅)、(13)項ロ(飛行機の格納庫等)、(14)項(倉庫)は含まれていません。ただし(16)項複合用途の一部としてこれらの部分がある場合、算入されないだけで建物自体が対象外になるとは限りません。ほかの用途部分の床面積の合計で判定してください。


Q4. 自衛消防組織を置く義務があると、ほかにどんな義務が生じますか?

防災管理の義務が同時に生じます。消防法施行令第46条が、防災管理を要する建築物その他の工作物を「第4条の2の4の防火対象物とする」と定めているため、対象が完全に一致します。防災管理者の選任と届出、防災管理に係る消防計画の作成と届出、防災管理点検の実施が必要になります。管理権原が分かれていれば統括防災管理者の選任も必要です。


Q5. 統括管理者になるにはどうすればよいですか?

都道府県知事、消防長または総務大臣の登録を受けた法人が行う自衛消防業務新規講習(おおむね12時間)を修了するのが一般的です(令第4条の2の8第3項第1号)。このほか、市町村の消防職員で1年以上管理的または監督的な職にあった者、市町村の消防団員で3年以上管理的または監督的な職にあった者も資格があります(規則第4条の2の13第1号・第2号)。甲種防火管理講習や防災管理講習の修了だけでは統括管理者にはなれません。


Q6. 自衛消防業務講習に再講習はありますか?

あります。自衛消防業務再講習はおおむね4時間で(規則第4条の2の14第3項)、自衛消防業務新規講習または追加講習の課程を修了した日以後における最初の4月1日から5年以内に受け、以後も同様とされています(平成20年消防庁告示第15号ほか)。受講先は登録講習機関の案内をご確認ください。


Q7. 自衛消防要員は何人必要ですか?

消防法施行規則第4条の2の11が、初期消火活動、情報の収集及び伝達並びに消防用設備等その他の設備の監視、避難誘導、救出及び救護の4つの業務について、それぞれおおむね2人以上と定めています。東京消防庁の自衛消防隊の組織編成基準は、これを各業務について複数の要員を確保すべき旨の規定と説明し、防火対象物自衛消防隊全体で業務ごとに人数が確保されていれば差し支えないとしています。専任で8人を置く必要があるという趣旨ではありません。


Q8. 自衛消防組織設置届出書はいつまでに出すのですか?

「遅滞なく」です(消防法第8条の2の5第2項)。何日以内という日数の定めはありません。様式は消防法施行規則別記様式第1号の2の2の3の3で、統括管理者の資格を証する書面を添付します(規則第4条の2の15第2項・第3項)。届出事項に変更があったときも同様に届け出ます。


Q9. 自衛消防組織設置届を出さないと罰則がありますか?

消防法に直接の罰則はありません。設置義務違反(第8条の2の5第1項)も届出義務違反(同条第2項)も、第41条から第46条の5までの罰則の列挙に含まれていません。ただし消防長・消防署長は設置命令(同条第3項)を発することができ、命令をした旨は公示されます。さらに命令によっても是正されない場合には、防火対象物の使用禁止・停止・制限命令(第5条の2第1項)に進み、これに違反すれば3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は両罰規定により1億円以下の罰金)となります。命令を受けると防火対象物点検の特例認定も受けられなくなります。


Q10. 自衛消防活動中核要員は何人必要ですか?

東京都火災予防条例施行規則第11条の5第1項の表により、用途区分ごとの基準面積を超える部分について1万平方メートルごとに1人を加算し、これに5人を加えた数(1未満の端数は切り上げ)以上です。基準面積以下であれば5人です。配置は、本部(防災センターまたはこれに準ずる場所)に5名以上、担当区域は1区域あたり5名以上とされています(同条第2項)。平成31年の規則改正前は最少7人・加算単位6人でしたので、古い資料の数字をそのまま使わないでください。


Q11. テナントが入れ替わったら何か手続が必要ですか?

共同して自衛消防組織を置いている建物では、管理権原者の顔ぶれが変われば、権原の範囲、内部組織の編成、要員配置が変わります。届出事項に変更が生じますので、自衛消防組織設置(変更)届出書の提出が必要です(法第8条の2の5第2項後段)。あわせて、防火管理・防災管理に係る消防計画の記載、統括防火管理者・統括防災管理者の協議事項も見直してください。


Q12. 東京都以外の建物でも同じ考え方でよいですか?

自衛消防組織(消防法第8条の2の5)は全国共通ですので同じです。一方、自衛消防活動中核要員・防災センター要員・自衛消防技術試験は東京都火災予防条例に基づく東京都独自の制度です。他の自治体では、火災予防条例の規定内容も自衛消防に関する呼称も異なりますので、所在地を管轄する消防本部・消防署にご確認ください。


Q13. 自衛消防組織設置届出書の作成を管理会社に頼んでもよいですか?

組織編成表や活動要領の検討を社内・管理会社と一緒に行うことは何の問題もありません。しかし、消防署に提出する届出書は官公署に提出する書類ですので、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て業としてこれを作成できるのは、原則として行政書士または行政書士法人に限られます(行政書士法第1条の3第1項、第19条第1項)。違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同法第21条の2)。管理権原者ご自身が作成されるか、行政書士にご依頼ください。


参照した法令・公的資料

・消防法(昭和23年法律第186号)第4条、第5条、第5条の2、第8条、第8条の2、第8条の2の3、第8条の2の5、第14条の4、第36条、第39条の2の2、第41条、第44条、第45条、第46条の5
・消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2、第4条の2の4、第4条の2の5、第4条の2の6、第4条の2の7、第4条の2の8、第45条、第46条、第47条、第48条、第49条、別表第一
・危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第30条の3、第38条、第38条の2
・消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条、第4条の2の10、第4条の2の11、第4条の2の12、第4条の2の13、第4条の2の14、第4条の2の15、第51条の7、第51条の8、別記様式第1号の2の2の3の2、別記様式第1号の2の2の3の3
・東京都火災予防条例(昭和37年条例第65号)第55条の2の2、第55条の2の3、第55条の3、第55条の4、第55条の5、第62条の4、第66条、第67条、第67条の2
・東京都火災予防条例施行規則 第11条の5、第11条の6
・行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の3、第19条第1項、第21条の2
・総務省消防庁「消防法施行令の一部を改正する政令等の公布について」(平成20年9月24日付け消防予第237号)
・総務省消防庁「消防法施行規則の一部を改正する省令の公布に伴う関係告示の公布について」(平成20年9月24日付け消防予第238号)
・総務省消防庁「自衛消防組織の業務に関する講習の内容及び防災管理講習の指導要領について」(平成20年9月24日付け消防予第244号)
・平成20年消防庁告示第13号(告示班長に対する教育)、第14号(統括管理者に準ずる者・追加講習)、第15号(自衛消防業務再講習)、第16号(自衛消防組織の業務に関する講習の実施細目)
・東京消防庁「自衛消防隊の組織編成基準」
・東京消防庁「平成21年6月1日施行 自衛消防組織の設置」
・東京消防庁「自衛消防活動中核要員について」
・東京消防庁「自衛消防技術試験」


この記事を書いた人
萩本昌史(はぎもと まさし)/特定行政書士
保有資格:特定行政書士、消防設備士、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者
行政書士萩本昌史事務所/東京の消防手続支援ステーション
〒157-0061 東京都世田谷区北烏山7-25-8-401
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東京都内の消防署への各種届出、消防計画の作成、防火対象物点検・防災管理点検を取り扱っています。


本記事は2026年8月31日時点で確認した法令・公的資料をもとにした一般的な解説です。法令改正、火災予防条例、管轄消防署の運用、個別の建物・事業内容により結論が変わる場合があります。具体的な案件は、対象建物を管轄する消防署および行政書士にご確認ください。

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