

この記事の結論
1 可動式ブースとは「天井及び壁により囲われたブースで、防火対象物の床や壁に固定されておらず、人が出入りして利用するもの」です。床や壁に固定した時点でこの定義から外れ、以下の特例の前提が崩れます。
2 ブースを置くと、原則としてブース内にもスプリンクラーヘッド・感知器・スピーカー・排煙口・散水ヘッドが必要になります。天井と壁で囲われた空間ができ、既設の設備の効果がブース内に届かなくなるためです。
3 一定の要件を満たせば、消防法施行令第32条および東京都火災予防条例第47条の「基準の特例」により、これらを設置しないことができます。要件は総務省消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて」(令和5年3月30日消防予第211号、令和6年8月23日消防予第404号改正)と、東京消防庁の同名の取扱い(令和6年10月28日運用開始)に定められています。
4 東京消防庁管内では、工事等計画届出書・使用開始届出書で特例の審査ができる場合、特例等適用申請書は不要とされています。「必ず特例申請書を出す」と考えるのは誤りです。
5 特例が認められない場合は、ブース内に設備を設ける工事になります。着工届(工事着手の10日前・甲種消防設備士)と設置届(工事完了後4日以内)が必要です。
6 あわせて消防計画の見直しが必要です。避難経路、自衛消防組織の在館者確認、火気使用禁止の表示管理、消火装置・警報器の維持管理を書き足し、変更届を提出します。
結論:可動式ブースの設置に伴う消防手続きは、「基準の特例が使えるか」で二手に分かれます。特例が使える場合は、東京都火災予防条例第56条の防火対象物工事等計画届出書(工事着手の7日前まで)と、必要に応じて同条例第56条の2の防火対象物使用開始届出書(使用開始の7日前まで)で審査を受け、東京消防庁管内ではこれらで審査できるときは特例等適用申請書を省略できます。特例が使えない場合は、ブース内にスプリンクラーヘッドや感知器を設ける工事となり、工事整備対象設備等着工届出書(消防法第17条の14・工事着手の10日前まで・甲種消防設備士)と消防用設備等設置届出書(同法第17条の3の2・工事完了後4日以内)が必要になります。
「テレワークブースを10台入れるだけなのに、消防署から特例申請が要ると言われた」「ブースを買ったあとに、スプリンクラーヘッドの増設で数百万円かかると分かった」——オフィスの働き方改革にともなって、この相談が急増しています。可動式ブース(ワークブース、集中ブース、web会議ブース、テレフォンブース、リフレッシュブースなど、呼び方はさまざまです)は、置き家具のような感覚で導入されがちですが、消防法令上は「天井と壁で囲われた新しい空間」を建物の中に作る行為です。設備の要否も、届出も、消防計画も動きます。
本記事は、東京都内(東京消防庁管内)でオフィス・店舗・共同住宅の共用部などに可動式ブースの設置を検討している総務・不動産管理・内装施工・ブース販売の各担当者に向けて、可動式ブースに関する消防手続きを、消防法・同施行令・同施行規則・東京都火災予防条例・同施行規則・総務省消防庁の通知・東京消防庁の取扱いおよび予防事務審査・検査基準に沿って、条文と通知の原文にあたって整理した実務ガイドです。
可動式ブースとは、天井及び壁により囲われたブースで、防火対象物の床や壁に固定(工具等で簡単に取り外すことができるものを除く。)されておらず、人が出入りして利用するものをいいます。これは総務省消防庁の通知(令和5年3月30日付け消防予第211号)と、東京消防庁の「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて」別記1⑴が、まったく同じ文言で定めている定義です。
可動式ブースの定義(消防予第211号/東京消防庁 別記1⑴)
天井及び壁により囲われたブースで、防火対象物の床や壁に固定(工具等で簡単に取り外すことができるものを除く。)されておらず、人が出入りして利用するもの
この定義には、実務上きわめて重要な3つの限定が含まれています。
| 定義の要素 | 実務上の意味 |
|---|---|
| 天井及び壁により囲われている | 上部が開放されたパーティションや、天井のないブースは該当しません。逆に言えば、天井があるからこそ既設の設備の効果が遮られ、特例の議論が必要になります |
| 床や壁に固定されていない | アンカー等で躯体に固定すると可動式ブースではなくなり、この特例の対象外になります。ただし「工具等で簡単に取り外すことができるもの」は固定に当たらないとされています |
| 人が出入りして利用する | 物置・収納庫は該当しません。人が中に滞在することが、避難と早期覚知を要件に組み込む理由です |
スプリンクラー設備も自動火災報知設備も、「その階のどこで火災が起きても、散水が届き、感知ができる」ことを前提に設計されています。ところが、天井と壁で囲われた空間が新たにできると、その内部には既設のスプリンクラーヘッドの散水が届かず、既設の感知器も煙や熱を感知できません。放送設備のスピーカーの音も届きにくくなります。つまり、ブースの中だけが「消防用設備等の効果が及ばない死角」になるのです。
そのため、消防機関は原則としてブース内にもスプリンクラーヘッド・感知器・スピーカー等の設置を求めます。しかし、6平方メートル以下の小さな空間に、既存の配管や配線を引き直してヘッドや感知器を増設するのは、費用も工期も現実的ではありません。そこで、火災時の安全性が別の方法で確保されているものについて、基準の特例により設置を要しないこととする取扱いが整理されました。それが本記事のテーマです。
可動式ブースの手続は、「法令」と「通知・取扱い」の2階建てで理解する必要があります。免除そのものの根拠は法令にあり、免除の要件は通知が具体化しています。
| 区分 | 規定 | 定めている内容 |
|---|---|---|
| 法律 | 消防法第17条第1項 | 政令で定める防火対象物の関係者は、消防用設備等を政令で定める技術上の基準に従って設置し、維持しなければならない |
| 政令 | 消防法施行令第12条・第21条・第24条・第28条・第28条の2 | スプリンクラー設備、自動火災報知設備、非常警報設備(放送設備)、排煙設備、連結散水設備の設置基準 |
| 政令(特例) | 消防法施行令第32条 | 消防長又は消防署長が、位置・構造・設備の状況から判断して、基準によらなくとも火災の発生・延焼のおそれが著しく少なく、被害を最小限度に止められると認めるときは、基準を適用しない |
| 条例(特例) | 東京都火災予防条例第47条 | 条例第5章(消防用設備等の技術上の基準の付加)についての基準の特例。東京都が上乗せしている基準の免除は、令第32条ではなくこちらが根拠 |
| 条例 | 東京都火災予防条例第64条第1項第2号 | 令第32条・条例第47条の適用を受けようとする者は消防署長に申請しなければならない(ただし軽微なものを除く) |
| 通知 | 消防予第211号(令和5年3月30日) /消防予第404号(令和6年8月23日)改正 |
可動式ブースについて令第32条を適用してよい要件を全国共通の考え方として整理。消防組織法第37条に基づく助言 |
| 取扱い | 東京消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて」(令和6年10月28日運用開始) | 211号通知を東京消防庁管内の運用に落とし込んだもの。消火実験基準(別紙)と事務処理(届出の扱い)を含む |
ここは他の解説記事で最も誤りが多い箇所です。総務省消防庁の211号通知は令第32条だけを挙げていますが、東京消防庁の取扱いはすべての項目で「政令第32条及び条例第47条の規定を適用し」と書いています。東京都は火災予防条例第5章で国の基準に上乗せをしているため、その上乗せ部分を外すには条例側の特例規定(第47条)も必要になるからです。東京都内の案件で「根拠は消防法施行令第32条です」とだけ書くと、条例の上乗せ部分の説明が抜けます。
東京都火災予防条例 第47条(基準の特例)
この章の規定は、消防用設備等について消防署長が、防火対象物の位置、構造若しくは設備の状況から判断して、この章の規定による消防用設備等の技術上の基準によらなくとも、火災の発生若しくは延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限に止めることができると認めるとき、又は予想しない特殊の消防用設備等その他の設備を用いることにより、この章の規定による消防用設備等の技術上の基準による場合と同等以上の効力があると認めるときにおいては、適用しない。
211号通知は、令和6年8月23日付け消防予第404号により改正されました。変わったのは次の3点です。
| 改正点 | 内容 |
|---|---|
| 消火実験の基準が明文化された | 従来は「消火実験等により確認されていること」とだけ書かれていた要件に、「別紙に定める基準による消火実験等」という限定が入りました |
| 別紙「消火実験基準」が新設された | 前提条件(内装・家具・照明・空調・扉の状態)、実験条件(着火箇所、助燃剤)、判定基準(着火から20分以内に有炎現象なし+その後5分継続)が明記されました |
| 「過半」の限定が追加された | 4⑷として「防火対象物の部分の過半を可動式ブースが占めるような活用をしている場合は想定していない」旨が加わりました |
3点目は、事業計画そのものに関わる重要な限定です。詳しくは第4章で扱います。
通知と東京消防庁の取扱いが対象としているのは、次の5つだけです。それ以外の消防用設備等や避難施設は、この特例では免除されません。ここを取り違えると、届出後に想定外の指摘を受けます。
| 設備 | 特例の対象 | 根拠(東京消防庁 別記) |
|---|---|---|
| スプリンクラーヘッド | 対象 | 別記2 |
| 自動火災報知設備の感知器 | 対象 | 別記2 |
| 放送設備のスピーカー | 対象(スピーカーから8mを超える位置にあるブースに限る) | 別記3 |
| 排煙口 | 対象 | 別記4 |
| 連結散水設備の散水ヘッド | 対象 | 別記4 |
| 誘導灯・誘導標識 | 対象外 | 通知に規定なし |
| 消火器具 | 対象外 | 通知に規定なし |
| 避難通路・避難施設の管理 | 対象外 | 通知に規定なし |
誘導灯と消火器は、特例の話ではなく「配置の話」として必ず検討してください。ブースが誘導灯の視認を妨げていないか、消火器具までの歩行距離が20メートル以下(消防法施行規則第6条第6項)に収まっているか、この2点はブースのレイアウト図で確認できます。避難通路の有効幅員も同様です。

ここが本記事の中心です。スプリンクラーヘッド・感知器の免除には、性格の異なる2つのルートがあります。東京消防庁の別記2でいえば、⑴+⑶の組合せ(以下「ルートA」)か、⑵+⑷の組合せ(以下「ルートB」)のいずれかを満たす必要があります。どちらでもよいのではなく、ブースの使い方によってどちらを選べるかが決まります。
| 共通要件 | 内容 |
|---|---|
| 床面積 | 可動式ブースの床面積は6平方メートル以下であること(別記2⑶ア) |
| 火気設備等 | 火気設備及び火気器具(消防法施行令第5条第1項の対象火気設備等、同令第5条の2第1項の対象火気器具等)の使用を行わないこと |
| 宿泊 | 宿泊を目的とするものでないこと |
| 内装または実証 | 別記2⑶イの(ア)=不燃材料+住宅用下方放出型自動消火装置ルート、または(イ)=消火実験ルートのいずれかを満たすこと |
ルートAは、「ブースの外から中の火災が見える」ことを安全の柱にする考え方です。
ルートAの要件
⑴ 次のいずれにも該当しないこと
ア 火気設備等の使用を行うもの
イ 宿泊を目的とするもの
ウ イ以外のもので、仮眠を伴うおそれがあるもの
⑶ 次の要件を満たすこと
ア 床面積が6平方メートル以下
イ 次の(ア)または(イ)のいずれか
(ア) a 天井及び壁が不燃材料で仕上げられている/b 住宅用下方放出型自動消火装置(平成6年3月9日付け消防予第53号の基準に適合するもの)が設置されている/c その装置がパッケージ型自動消火設備Ⅱ型の点検基準の例により点検され適切に維持管理されている/d 易燃性の可燃物(合成皮革表面かつポリウレタン製クッション、座面正面幅おおむね800mm以上で背面のあるソファ等)が存しない、かつ床から2.5メートルを超える高さに放出口を設けていない
(イ) a 別紙の消火実験基準により確実に消火できることが確認されている/b ブースから1メートル離れた場所を経由して避難する者が受ける熱量が3kW/平方メートル未満、かつ一酸化炭素濃度の最大値が1,000ppm以下であることが確認されている/c a・bについて建物火災に係る工学分野の専門性を有する大学その他の第三者機関による検証結果が存する
ウ ブース外部から内部で発生した火災を目視できること(内部および外部直近に煙を感知する連動型住宅用火災警報器を有効に設置し相互に連動させる等の措置がある場合を除く)
ルートAで見落とされやすいのは⑴ウです。「仮眠を伴うおそれがあるもの」が除外されています。休憩・リフレッシュ用として導入し、実際に社員が仮眠に使う可能性があるブースは、ルートAでは説明できません。一方で、ルートAは喫煙を明示的には排除していません。211号通知の前文が「様々な使用形態(休憩、喫煙等)」に言及していることも、この整理と整合します。ただし喫煙を行う場合でも、火気設備等(コンロ等)の使用は認められません。
ルートBは、「連動型住宅用火災警報器で早期に覚知させる」ことを安全の柱にする考え方です。中で仮眠をとる人がいても目を覚ませる、という発想です。
ルートBの要件
⑵ 次のいずれにも該当しないこと
ア 火気設備等の使用を行うもの
イ ア以外のもので、喫煙その他の火気の使用を行うもの
ウ 宿泊を目的とするもの
⑷ 次の要件を満たすこと
ア ⑶ア(6平方メートル以下)及びイ(内装または実証)を満たすこと
イ ブースの内部及び外部直近に煙を感知する連動型住宅用火災警報器を有効に設置し、火災を感知した際に相互に連動させる等の方法により、内部の火災と外部直近の火災を相互に早期覚知できるよう措置されていること(仮眠中の使用者に対し、警報音による場合と同等以上の性能を有すると認められる場合に限る)
ウ イの措置等により、内部・外部直近の火災を当該防火対象物における従業員等の常駐場所で覚知できるよう措置されていること
エ 出入口扉に施錠装置が設けられていないこと(非常の際に外部から容易に解錠できる場合を除く)
オ ブース内の見やすい箇所に喫煙その他の火気の使用を禁止する旨の表示が設けられていること
ここが分岐点です。ルートAは「仮眠のおそれがあるもの」を除外し、ルートBは「喫煙その他の火気の使用を行うもの」を除外しています。すなわち、喫煙ブースはルートA、仮眠のおそれがある休憩ブースはルートBという整理になります。「喫煙もでき、仮眠もできるブース」を両ルートで説明することはできません。ブースの用途をどう定義して運用するかが、そのまま特例の可否を左右します。導入目的と館内ルール(喫煙可否・仮眠可否)を先に決めてください。

放送設備の設置が義務付けられている防火対象物では、スピーカーから8メートルを超える場所にブースを設ける場合に、ブース内のスピーカー設置が問題になります(東京消防庁 別記3)。逆に言えば、既設スピーカーから8メートル以内にブースを置けば、この論点は生じません。レイアウト段階で調整できる、費用対効果の高い工夫です。
8メートルを超える場合は、次のいずれかを満たす必要があります。
| 選択肢 | 要件 |
|---|---|
| 音圧で説明する | ブースの外に設置されたスピーカーによる放送について、ブース内における音圧が65dB以上となることが確認できること(別記3⑵ア) |
| 補助的な機器で説明する | 第1シグナルが鳴動した時点で、ブース内の者に火災警報がなされた旨を警報音(65dB以上)及び発光により直ちに報知できる機器等を設置すること。1分間以上継続できることが実験等で確認されたものに限る。表示(外の火災を知らせるものであること、とるべき行動)、電源(特定小規模施設用自動火災報知設備の告示の例、停電時10分間以上作動する電池)、点検が必要(別記3⑵イ) |
なお、この放送設備の特例からはカラオケボックスその他これに類する遊興の用に供することを目的とするものが除かれています。
令和6年8月23日の改正で加わった限定です。
消防予第211号 4⑷(令和6年8月23日消防予第404号により追加)
本通知における可動式ブースに係る取扱いについては、消防用設備等の設置が義務付けられている防火対象物の一部に可動式ブースが設置される場合を想定しているものであり、防火対象物の部分の過半を可動式ブースが占めるような活用をしている場合は想定していないこと。
これは、レンタル個室ビジネスやブース型シェアオフィスにとって決定的な意味を持ちます。フロアの過半をブースが占める計画は、この通知を根拠にした特例の対象として想定されていません。事業計画を立てる段階で、ブースの占有割合と、特例が使えない場合の設備工事費を織り込んでおく必要があります。なお、東京消防庁の別記にはこの4⑷に対応する条項が置かれていませんので、東京消防庁管内でこの限定がどう運用されるかは、企画段階で所轄消防署の予防課に確認してください。
東京消防庁は、次の2つについては各消防署ではなく、本部庁舎の予防部予防課消防設備係が事前確認を実施するとしています。
| 本部の事前確認が必要なもの | 該当する場面 |
|---|---|
| 別紙の「消火実験基準」による消火実験等の実施 | ⑶イ(イ)の消火実験で説明する場合(不燃材料+住宅用下方放出型自動消火装置によらない場合。ルートA・ルートB共通) |
| 別記3⑵イ(ア)に定める機器等の設置 | スピーカーの代わりに警報音・発光の機器等で説明する場合 |
この2つに当たる案件は、所轄消防署だけで話が完結しません。スケジュールに本部確認の期間を見込んでください。
東京都火災予防条例第64条第1項第2号は、令第32条又は条例第47条の適用を受けようとする者は、消防署長に申請しなければならないと定めています(ただし書で「軽微なもの」を除く)。この申請書が「特例(等)適用申請書」で、様式は火災予防条例施行規則第25条第1項の別記第25号様式、審査結果の通知は同条第3項の別記第26号様式です。
ところが、可動式ブースについて東京消防庁は、次の取扱いを明示しています。
東京消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて」別記6(事務処理)⑴
本通知に基づき、消防用設備等の技術上の基準の特例を適用する場合であっても、条例第56条の防火対象物工事等計画届出書及び条例第56条の2の防火対象物使用開始届出書(以下、工事計画届出書等という。)により、基準の特例の適用に係る審査を行うことができる場合は、特例等適用申請書を不要とする。
つまり、東京消防庁管内では「工事等計画届出書・使用開始届出書に必要な図書を添えれば、特例申請書を別に出さなくてよい場合がある」ということです。「可動式ブースには必ず特例申請が必要」と説明している記事が多く見られますが、少なくとも東京消防庁管内では正確ではありません。逆に、これらの届出の対象にならないケース(後述)では、特例等適用申請書のほうが必要になります。どちらの経路になるかは、建物の規模・用途と工事の内容で決まりますので、事前相談で確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 東京都火災予防条例第56条第1項(第2号「指定防火対象物等の修繕、模様替え、間取り又は天井高さの変更その他これらに類する工事」) |
| 届出者 | その行為をしようとする者(工事業者等に対して依頼した側。工事業者ではありません) |
| 期限 | 当該行為に着手する日の7日前まで |
| 提出先 | 所轄消防署長(窓口は予防課) |
| 様式 | 火災予防条例施行規則第12条第1項・別記第3号様式 |
| 対象 | 指定防火対象物等に限られます |
| 適用除外 | 建築基準法第6条第1項・第6条の2第1項の確認を受けた場合、同法第18条第2項・第4項の通知をした場合は不要(条例第56条第1項ただし書) |
| 罰則 | なし(条例第67条の2に列挙されていません) |
「指定防火対象物等」とは何か。条例第56条第1項第1号が定義しており、令別表第一各項((19)項・(20)項を除く)の防火対象物のうち、消防法施行令第10条第1項各号(消火器具の設置対象)、または同令第21条第1項第1号(令別表第一(13)項ロを除く)・第3号・第7号(自動火災報知設備の設置対象の一部)に掲げる防火対象物またはその部分をいいます。事務所ビル(令別表第一(15)項)の場合、延べ面積300平方メートル以上であれば令第10条第1項第3号に該当します。300平方メートル未満でも、地階・無窓階・3階以上の階で床面積50平方メートル以上のものがあれば、条例第56条第1項第1号のかっこ書き(「令第10条第1項第5号に掲げる部分を有する防火対象物を含む」)により指定防火対象物等に含まれます。この2つのいずれかにより、都内のオフィスの多くが該当します。逆に、小規模な平屋・2階の小面積テナントでは該当しないことがあり、その場合は工事等計画届出書の対象外です。該当性の判断は所轄消防署に確認してください。
「すでに使用中のオフィスにブースを置くだけ」であれば、使用開始届出書は原則として不要です。条例第56条の2第1項は「防火対象物又はその部分を使用しようとする者」に届出義務を課しており、すでに使用中の区画に什器を追加する行為そのものは、通常「使用開始」に当たらないからです。
もっとも、同項には「前条第一項各号(新築を除く。)に掲げる行為をしたのち使用しようとする者を含む」という括弧書きがあります。ブースの設置が条例第56条第1項第2号の「間取りの変更その他これらに類する工事」に当たると判断された場合は、その工事のあと使用を開始する者として、使用開始届出書も必要になります。また、新規にテナント入居してブースを設置する場合は、そもそも使用開始届出書が必要です。
| 場面 | 工事等計画届出書 | 使用開始届出書 |
|---|---|---|
| 新規テナント入居+内装工事+ブース設置 | 必要(指定防火対象物等かつ建築確認がない場合) | 必要 |
| 使用中のオフィスに間仕切り変更を伴わずブースを置く | 該当性を要確認(工事に当たるかの判断) | 原則不要 |
| 使用中のオフィスをレイアウト変更し、ブースを設置 | 必要となる可能性が高い | 第56条第1項各号の行為をしたのち使用するものとして必要 |
使用開始届出書には罰則があります。届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は検査を拒み・妨げ・忌避して防火対象物を使用した者は、10万円以下の罰金(条例第67条の2第4号)、法人にも同額の罰金刑が科されます(条例第68条・両罰規定)。工事等計画届出書に罰則がないのと対照的です。使用開始届出書の詳細は「防火対象物使用開始届出書とは|期限7日前・添付書類・罰則を解説」で解説しています。
東京消防庁の別記6⑵は、「工事計画届出書等に添付する図書は、火災予防条例施行規則第12条第2項に定めるもののほか、特例要件が確認できる図書とすること」とし、次を例示しています。
| 区分 | 図書 |
|---|---|
| 規則第12条第2項(共通) | 防火対象物の概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表及び建具表、防火基準への適合を審査するために必要な事項を記載した図書ほか |
| 別記6⑵ア | 可動式ブースの仕様書等で、床面積・内装仕上げ・住宅用下方放出型自動消火装置の設置位置・易燃性の可燃物の有無が確認できる資料 |
| 別記6⑵イ | 住宅用下方放出型自動消火装置の機器図及び性能評定書の写し |
| 別記6⑵ウ | 連動型住宅用火災警報器の機器図 |
実務上のポイントは、これらの資料をブースメーカーから早い段階で取り寄せることです。性能評定書の写しや第三者機関の検証結果は、発注後でないと出てこないこともあります。「消防対応済み」とうたう製品でも、どのルートで、どの要件を満たすかまで確認してください。ブースの平面配置図(既設スプリンクラーヘッド・感知器・スピーカー・誘導灯・避難通路との位置関係を記入したもの)も、実務上ほぼ必ず求められます。
6平方メートルを超えるブース、火気設備等を使うブース、宿泊を目的とするブース、消火装置も警報器も持たないブース、フロアの過半を占めるブース——こうしたケースでは、ブース内にスプリンクラーヘッドや感知器を設ける工事が必要になります。ここからは、消防法本体の手続に入ります。
消防法 第17条の14
甲種消防設備士は、第十七条の五の規定に基づく政令で定める工事をしようとするときは、その工事に着手しようとする日の十日前までに、総務省令で定めるところにより、工事整備対象設備等の種類、工事の場所その他必要な事項を消防長又は消防署長に届け出なければならない。
スプリンクラー設備は消防法施行令第36条の2第1項第2号、自動火災報知設備は同項第9号に掲げられていますので、どちらも甲種消防設備士でなければ設置工事ができません。したがって着工届の対象になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出義務者 | 甲種消防設備士(工事を行う本人。建物の所有者でもテナントでもありません) |
| 期限 | 工事に着手しようとする日の10日前まで |
| 提出先 | 消防長又は消防署長 |
| 罰則 | 届出を怠った者は30万円以下の罰金又は拘留(消防法第44条第8号) |
着工届は行政書士が代理して提出することができません。消防法が届出義務者を甲種消防設備士と定めているためです。ブース設置のスケジュールを組むときは、「設備工事が発生する=着工届の10日前ルールが効く」と覚えてください。ここが工程上いちばん詰まります。
工事が完了したら、完了した日から4日以内に消防長又は消防署長へ届け出て、検査を受けます(消防法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3第1項・別記様式第1号の2の3)。検査に適合すると検査済証(同規則別記様式第1号の2の3の2)が交付されます。届出義務者は関係者(所有者・管理者・占有者)で、着工届と異なり行政書士が作成・提出代理を行えます。
注意:オフィスビルは「消防長等の指定」があるかどうかで扱いが変わります。消防法第17条の3の2の対象は消防法施行令第35条第1項が定めており、事務所(令別表第一(15)項)は第3号——「延べ面積が300平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの」——に位置づけられています。指定がない建物では、消防法の設置届の対象になりません。その場合は東京都火災予防条例第58条の3の設置届(指定防火対象物等の関係者・工事完了後4日以内・使用開始前に消防署長の検査)が適用されます。こちらには罰則があり、届出をせず等の場合は10万円以下の罰金(条例第67条の2第7号)です。設置届の実務は「消防用設備等設置届出書の作成代行は行政書士法違反?届出者・4日以内の期限・罰則を解説」で詳しく整理しています。
ブースが誘導灯を隠してしまい、誘導灯を移設・増設することがあります。ここで着工届を出そうとすると、消防署で受理されません。誘導灯は消防法施行令第36条の2に掲げられておらず、消防設備士でなくても工事ができるため、消防法第17条の14の着工届の対象外だからです。
東京都では、この空白を条例が埋めています。東京都火災予防条例第58条の2第1項は、指定防火対象物等において、法第17条の14の届出対象を除く一定の設備——漏電火災警報器、非常警報設備、すべり台、避難はしご、すべり棒、避難橋、避難用タラップ、消防用水、誘導灯、排煙設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備——を設置しようとする者に、工事に着手する日の10日前までの届出(消防用設備等設置計画届出書・火災予防条例施行規則第14条の2・別記第8号様式の3)を義務づけています。この規定はほとんど解説されていませんが、誘導灯の移設を伴うブース設置では実際に使う条文です。
可動式ブースを設置したら、消防計画の見直しが必要です。消防法施行規則第3条第1項は、防火管理者が消防計画を作成して所轄消防長又は消防署長に届け出るべきことを定め、その末尾で「防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする」と規定しています。届出は別記様式第1号の2です。
可動式ブースの設置で見直しが必要になる項目を、条文の記載事項(規則第3条第1項第1号)に対応させて整理します。
| 見直す内容 | 対応する記載事項 |
|---|---|
| 避難経路図の更新(ブースの位置、通路幅、誘導灯の見え方) | 第1号ニ(避難施設の維持管理及びその案内) |
| 自衛消防組織の任務に「ブース内の在館者確認」を追加 | 第1号イ(自衛消防の組織)、リ(避難誘導) |
| 喫煙・火気使用禁止の表示の維持(ルートBでは要件そのもの) | 第1号ヲ(防火管理に関し必要な事項) |
| 住宅用下方放出型自動消火装置の点検(パッケージ型自動消火設備Ⅱ型の点検基準の例による) | 第1号ロ(火災予防上の自主検査)、ヲ |
| 連動型住宅用火災警報器の作動確認と電池交換 | 第1号ロ(火災予防上の自主検査) |
| ブース内への可燃物・易燃性物品の持込み制限 | 第1号ホ(防火上の構造の維持管理)、ヲ |
| 従業員への教育・訓練(ブース利用者の避難、警報時の行動) | 第1号ト(教育)、チ(訓練) |
特例の要件は「設置時に満たせば終わり」ではありません。住宅用下方放出型自動消火装置の点検・維持管理、連動型住宅用火災警報器の有効な設置、施錠装置を設けないこと、火気使用禁止表示の掲出——これらはすべて継続して満たし続けることが特例の前提です。立入検査(消防法第4条)で表示がはがれていた、警報器の電池が切れていた、といった状態は、特例の前提を崩します。だからこそ、消防計画に維持管理の担当者と頻度を書き込んでおくことに意味があります。
消防計画の変更が必要になる場面の全体像は「消防計画の変更届が必要な7つのケース|根拠条文・期限・罰則を解説」、作成手順と記載事項は「消防計画の作成手順と記載事項|届出義務者・様式第1号の2・訓練回数を条文で解説」をご覧ください。
消防計画の変更届を出さなかったこと自体に直罰はありません。罰則は命令を経由します。
| 違反 | 根拠 | 罰則 |
|---|---|---|
| 防火管理業務が法令・消防計画に従って行われていない場合の措置命令に違反 | 消防法第8条第4項→第41条第1項第2号 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 防火管理者選任命令に違反 | 消防法第8条第3項→第42条第1項第1号 | 6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 設置届(法第17条の3の2)・着工届(法第17条の14)の届出を怠った | 消防法第44条第8号 | 30万円以下の罰金又は拘留(両罰規定は及びません。第45条第3号は第44条のうち第1号・第3号・第11号・第12号・第22号のみを対象としています) |
| 使用開始届出書の未届出等 | 東京都火災予防条例第67条の2第4号 | 10万円以下の罰金(第68条により法人にも罰金刑) |
| 条例第58条の3の設置届の未届出等 | 東京都火災予防条例第67条の2第7号 | 10万円以下の罰金(第68条により法人にも罰金刑) |
| 工事等計画届出書(条例第56条)・設置計画届出書(条例第58条の2)の未届出 | — | 罰則なし(ただし審査を受けられず、後続の検査で是正指導を受けます) |

期限が複数あり、しかも起点が「工事着手」「使用開始」「工事完了」とばらばらです。いちばん早いのは着工届と設置計画届の10日前ですので、そこから逆算してください。
| 時期 | やること | 根拠・期限 |
|---|---|---|
| 企画・機種選定時 | ブースの床面積、内装材、消火装置・警報器の有無、性能評定書・第三者検証結果の有無を確認。用途(喫煙可否・仮眠可否)を決めてルートA/Bを選択 | — |
| 着工の1〜2か月前 | 所轄消防署(予防課)へ事前相談。平面図と仕様書を持参し、特例の可否と届出の要否を確認。消火実験・別記3⑵イ(ア)の機器等が絡む場合は本部の事前確認 | 東京消防庁の運用 |
| 設備工事の10日前まで | 工事整備対象設備等着工届出書(特例が使えず設備工事をする場合) | 消防法第17条の14 |
| 誘導灯等の工事の10日前まで | 消防用設備等設置計画届出書 | 条例第58条の2 |
| 工事着手の7日前まで | 防火対象物工事等計画届出書(+特例要件が確認できる図書) | 条例第56条 |
| 使用開始の7日前まで | 防火対象物使用開始届出書(新規入居、または第56条第1項各号の行為をしたのち使用する場合) | 条例第56条の2 |
| 工事完了後4日以内 | 消防用設備等設置届出書+検査 | 消防法第17条の3の2/条例第58条の3 |
| 設置後すみやかに | 消防計画変更届出書(別記様式第1号の2) | 消防法施行規則第3条第1項 |
特例等適用申請書を出す場合は、審査に時間がかかります。工事等計画届出書で審査できるケースかどうかを含め、着工の1〜2か月前の事前相談で見通しを立ててください。テナント入居全体の届出の流れは「テナント入居・内装工事の消防法チェックポイント|届出一覧」にまとめています。
可動式ブースは固定されていませんが、天井と壁で囲われた空間を作る点で、通常の什器とは扱いが異なります。総務省消防庁と東京消防庁がわざわざ通知・取扱いを整備しているのは、原則としてブース内にも消防用設備等が必要になるからです。何もしなければ「不備」として指摘され、立入検査での是正指導や、消防用設備等点検結果報告での指摘につながります。
6平方メートル以下は必要条件であって、十分条件ではありません。床面積要件に加えて、⑴または⑵の除外事由に当たらないこと、内装が不燃材料で自動消火装置がある(または消火実験で実証されている)こと、外部から目視できる(または連動型警報器がある)ことが必要です。「小さいから大丈夫」は最も危険な思い込みです。
どちらも不正確です。東京都火災予防条例第64条第1項第2号は原則として申請を求めていますが、東京消防庁は工事計画届出書等で特例の審査ができる場合は特例等適用申請書を不要とするとしています(別記6⑴)。「工事計画届出書等で審査できる場合」に当たるかどうかが分岐点ですので、事前相談で確認してください。
転倒防止の観点では正しい発想ですが、消防法令上は逆に働きます。床や壁に固定した時点で「可動式ブース」の定義(固定されていないもの)から外れ、211号通知および東京消防庁の取扱いが適用できなくなります。固定したいのであれば、「工具等で簡単に取り外すことができるもの」の範囲に収まるか、メーカーと所轄消防署の双方に確認してください。あわせて、固定は建築基準法上の評価(建築物・内装制限等)にも影響し得ます。
同じルートは使えません。両方とも特例の対象にはなり得ますが、通るルートが違います。ルートA(別記2⑴+⑶)は「仮眠を伴うおそれがあるもの」を除外し、ルートB(同⑵+⑷)は「喫煙その他の火気の使用を行うもの」を除外しています。喫煙ブースはルートA、仮眠のおそれがある休憩ブースはルートBで説明することになります。「喫煙も仮眠もできるブース」は、どちらのルートにも乗りません。導入時に用途を定め、館内ルールと表示で担保してください。
誘導灯は通知の対象外です。ブースが誘導灯を隠す配置は認められません。移設が必要な場合、誘導灯は消防法施行令第36条の2に掲げられていないため着工届は出せず、東京都では条例第58条の2の消防用設備等設置計画届出書(着手の10日前まで)になります。
原則として収容人員は変わりません。事務所(令別表第一(15)項)の収容人員は、消防法施行規則第1条の3第1項の表により「従業者の数」と「主として従業者以外の者の使用に供する部分の床面積を3平方メートルで除して得た数」の合算で算定します。ブースを置いても従業者数は変わりませんし、床面積そのものも変わりません。ただし、来客用の商談ブースを設けて、その周辺を来客用スペースとして区分するような場合は、「主として従業者以外の者の使用に供する部分」の取り方に影響し得ます。収容人員の考え方は「収容人員の計算方法|消防法施行規則第1条の3の用途別算定表」で解説しています。
ブースの配置によっては、無関係とは言い切れません。無窓階の判定に用いる開口部は、消防法施行規則第5条の5第2項により「格子その他の内部から容易に避難することを妨げる構造を有しないものであり、かつ、外部から開放し、又は容易に破壊することにより進入できるもの」で、かつ「開口のため常時良好な状態に維持されているもの」でなければなりません。窓の前にブースを恒常的に据えると、この要件との関係が問題になり得ます。窓際にブースを並べる計画では、無窓階判定に影響しないか所轄消防署に確認してください。判定の仕組みは「無窓階とは?判定基準・消防設備・東京消防庁の運用を解説」で解説しています。
令和6年8月23日の改正で、211号通知4⑷に「防火対象物の部分の過半を可動式ブースが占めるような活用をしている場合は想定していない」旨が明記されました。1台ごとの要件充足とは別の、計画全体に対する限定です。ブース主体のシェアオフィス・レンタル個室を計画する場合は、この点を企画段階で所轄消防署に確認してください。
可動式ブースの取扱いは、東京消防庁が令和6年10月28日から運用を開始した比較的新しい基準です。ブース設置が条例第56条第1項第2号の「工事」に当たるかどうかの判断、特例等適用申請書を求めるかどうか、添付図書の詳細は、所轄消防署によって運用に幅があります。また、東京消防庁の管轄区域外(都内で独自に消防本部を置く市町村の区域や東京都外)では、各消防本部が211号通知をどのように運用しているかを個別に確認する必要があります。本記事の内容は、必ず所轄消防署への事前相談とあわせてご利用ください。

可動式ブースの案件では、「ブースメーカーが消防申請までやってくれる」「内装業者に任せてある」という進め方をよく耳にします。しかし消防関係の届出は、書類ごとに届出義務者(=その書類の名義人)が法令で決まっており、しかも「だれが名義人か」と「だれが報酬を得て作成できるか」は別の問題です。ここを整理しないまま進めると、届出が受理されないだけでなく、代行した側が行政書士法違反に問われるおそれがあります。
だれが届け出るのかは、条文の主語を読めば分かります。可動式ブースの案件で登場する書類を、条文の主語のまま並べます。
| 書類 | 届出義務者(条文の主語) | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 特例(等)適用申請書 | その規定の適用を受けようとする者 | 東京都火災予防条例第64条第1項 |
| 防火対象物工事等計画届出書 | 第56条第1項各号の行為をしようとする者(=工事を依頼した側。工事業者ではありません) | 同条例第56条第1項 |
| 防火対象物使用開始届出書 | 防火対象物又はその部分を使用しようとする者 | 同条例第56条の2第1項 |
| 消防用設備等設置計画届出書 (誘導灯の移設等) |
当該設備を設置しようとする者 | 同条例第58条の2第1項 |
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 甲種消防設備士(工事をする本人。関係者でも工事会社でもありません) | 消防法第17条の14 |
| 消防用設備等設置届出書 | 関係者(所有者・管理者・占有者) | 消防法第17条の3の2/東京都火災予防条例第58条の3第1項 |
| 消防計画作成(変更)届出書 | 防火管理者 | 消防法施行規則第3条第1項 |
| 防火管理者選任(解任)届出書 | 防火対象物の管理について権原を有する者(管理権原者) | 消防法第8条第2項 |
この表で特に間違えやすいのは、次の3点です。
① 工事等計画届出書の届出者は「工事業者」ではありません。条例第56条第1項の主語は「行為をしようとする者」で、東京消防庁も工事業者等に対して依頼した側が届け出るものとしています。ビルオーナーかテナントかは、だれが工事を発注したかで決まります。
② 着工届だけは、資格者本人が届出義務者です。消防法第17条の14の主語は「甲種消防設備士」であり、建物の所有者でもテナントでも工事会社でもありません。
③ 消防計画の届出者は防火管理者、防火管理者を選任して届け出るのは管理権原者です。主語が違うので、社内でだれが署名するのかを取り違えないでください。
届出義務者は、あくまでその書類の名義人です。名義人が自分で書けない書類を他人に手伝ってもらうこと自体は当然にあり得ます。しかし、他人の依頼を受け、報酬を得て、業として官公署提出書類を作成する行為は、行政書士法により行政書士・行政書士法人に限られています。
行政書士法 第1条の3第1項
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(…)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
行政書士法 第19条第1項(業務の制限)
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
消防署も「官公署」です。したがって、特例等適用申請書・工事等計画届出書・使用開始届出書・設置届出書・設置計画届出書・消防計画作成(変更)届出書は、いずれも行政書士法第1条の3第1項の「官公署に提出する書類」に当たります。作成した書類を官公署に提出する手続の代理も、行政書士の業務です(同法第1条の4第1項第1号)。
「いかなる名目によるかを問わず」という文言は、令和7年法律第65号による改正で加わり、令和8年1月1日から施行されています。「書類作成料」という名目でなくても、工事代金・ブース本体価格・コンサルティング料に組み込まれていれば、報酬を得たものと評価され得るということです。「サービスでやります」「無料で代行します」も、取引全体の対価に含まれていれば安全ではありません。
| 場面 | なぜ問題になるのか |
|---|---|
| ① ブースメーカー・販売代理店が「消防申請サポート込み」として、特例等適用申請書や工事等計画届出書を作成する | 申請書・届出書の名義人は適用を受けようとする者/工事を依頼した者であり、メーカーではありません。他人名義の官公署提出書類を、販売代金に含まれる対価を得て業として作成すれば第19条第1項違反のおそれがあります |
| ② 内装工事業者が、工事一式の中で使用開始届出書を作成して提出まで行う | 使用開始届出書の名義人は使用しようとする者(テナント等)です。工事代金に含めて作成すれば、名目のいかんを問わず報酬を得た作成に当たり得ます |
| ③ 消防設備会社が、点検や工事のついでに関係者名義の設置届出書の鑑(届出書本体)を作成する | 設置届出書の名義人は関係者です。消防設備士の資格は工事・点検を行う資格であって、他人の届出書を作成する資格ではありません |
いずれも「ブースの導入をワンストップで」という善意の提案から生じます。発注する側も、見積書に「消防申請代行」「届出書類作成」といった項目があれば、だれが名義人でだれが作成するのかを確認してください。
第19条第1項ただし書の「他の法律に別段の定めがある場合」に当たるかどうかが分かれ目です。可動式ブースの案件では、次のように整理できます。
| 書類 | 消防設備士等が報酬を得て作成できるか | 理由 |
|---|---|---|
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 作成・提出できる | 消防法第17条の14が甲種消防設備士自身を届出義務者と定めており、他人の書類を代わって作る行為ではありません |
| 消防用設備等試験結果報告書、点検票・点検結果総括表 | 作成できる | 自らが実施した工事・点検の結果を自らの名義で記録する書類だからです |
| 消防用設備等設置届出書の鑑(届出書本体) | 作成できません | 名義人は関係者です。試験結果報告書を添付書類として作成できることと、届出書本体を作成できることは別です |
| 特例等適用申請書、工事等計画届出書、使用開始届出書、設置計画届出書 | 作成できません | いずれも申請者・届出者本人の名義の書類で、消防法令が資格者に作成させる仕組みにはなっていません |
特例申請では、役割分担がそのまま品質につながります。可動式ブースの仕様書、住宅用下方放出型自動消火装置の機器図・性能評定書、連動型住宅用火災警報器の機器図、消火実験の検証結果——これらの技術資料はメーカー・消防設備士・設計者が用意するものです。一方、申請書・届出書の本体と、「なぜ令第32条・条例第47条を適用してよいのか」という適用理由の組立ては、申請者本人が行うか行政書士に依頼する領域です。この線引きを最初に共有しておくと、適法であるうえに、審査もスムーズに進みます。
本人が作成し、署名・押印まで済ませた書類を、業者が窓口へ持参するだけであれば、本人の使者としての行為であり、直ちに問題にはなりません。しかし、書類の内容を作り込み、所轄消防署との事前相談や補正のやり取りまで代わって行えば、実質的に作成および手続の代理を業として行っていると評価され得ます。報酬を得て提出手続まで代わって行えるのは、原則として行政書士です(行政書士法第1条の4第1項第1号)。「持って行くだけ」と「やり取りまで引き受ける」の間に線があると考えてください。
| 違反 | 根拠 | 効果 |
|---|---|---|
| 行政書士でない者が、報酬を得て業として官公署提出書類を作成した | 行政書士法第19条第1項→第21条の2 | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 法人の代表者・従業者等がその法人の業務に関して違反した | 同法第23条の3(両罰規定) | 行為者を罰するほか、法人にも100万円以下の罰金 |
| 建設業者の役員等が拘禁刑に処せられた | 建設業法第8条第7号(法人は第12号) | 刑の執行を終わった日等から5年間は建設業許可の欠格要件 |
建設業許可への影響は、正確に理解しておく必要があります。建設業法第8条第8号が罰金刑を欠格要件とするのは、建設業法・一定の労働関係法令・暴力団対策法違反等に限られており、行政書士法違反の罰金刑はここに含まれません。欠格要件に直結するのは、同条第7号の「拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者」に当たる場合です。罰金で済めば許可に影響しないという意味ではなく、拘禁刑となれば会社の許可そのものが失われ得るということです。内装業・電気工事業を営みながら「サービスで消防申請も」と引き受けることの重さは、ここにあります。
可動式ブースの手続は、行政書士・消防設備士・建築士・ブースメーカーの4者が関わります。だれが何を出すのかを最初に決めておくと、工程が止まりません。
| 書類 | 届出義務者 | 行政書士の関与 |
|---|---|---|
| 特例(等)適用申請書 | 適用を受けようとする者 | 作成・提出代理が可能 |
| 防火対象物工事等計画届出書 | 工事等を依頼した者 | 作成・提出代理が可能 |
| 防火対象物使用開始届出書 | 使用しようとする者 | 作成・提出代理が可能 |
| 消防用設備等設置届出書 | 関係者(所有者・管理者・占有者) | 作成・提出代理が可能 |
| 消防用設備等設置計画届出書 | 設置しようとする者 | 作成・提出代理が可能 |
| 消防計画作成(変更)届出書 | 防火管理者 | 作成の支援が可能 |
| 防火管理者選任(解任)届出書 | 管理権原者 | 作成・提出代理が可能 |
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 甲種消防設備士 | 代理できません |
行政書士法との関係をより詳しく知りたい方は「消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について」で、資格者が作成できる書類の範囲を条文と告示に基づいて整理しています。設置届出書の届出者と作成範囲については「消防用設備等設置届出書の作成代行は行政書士法違反?届出者・4日以内の期限・罰則を解説」もあわせてご覧ください。
当事務所の報酬額は報酬額表に掲載しています(すべて税抜)。金額に幅を持たせているのは、ブースの台数・機種、建物の規模と用途、特例の説明ルート、消防署との事前協議の回数によって作業量が変わるためです。正式なお見積りは、平面図とブースの仕様書を拝見したうえでご提示します。オフィス移転やレイアウト変更が続く事業者・不動産管理会社向けに顧問契約もご用意しています。
可動式ブースの消防手続きで最も多い失敗は、機種を決めて発注したあとに、特例が使えないと分かることです。床面積、内装材、自動消火装置の有無、性能評定書の有無——この4点だけでも、発注前に確認すれば結論の見通しが立ちます。
建物の所在地・用途・延べ面積、ブースの機種と台数、設置予定のフロア図面、喫煙や仮眠の可否をお知らせいただければ、特例が使えるかどうかの検討、必要な消防届出の洗い出し、提出期限を逆算したスケジュール表の作成、所轄消防署への事前相談、各届出書の作成・提出代理、消防計画の変更まで、行政書士として一貫してご支援します。
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行政書士 萩本昌史事務所|東京の消防手続支援ステーション
可動式ブースとは、天井及び壁により囲われたブースで、防火対象物の床や壁に固定(工具等で簡単に取り外すことができるものを除く。)されておらず、人が出入りして利用するものをいいます(令和5年3月30日付け消防予第211号、東京消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて」別記1⑴)。天井があるかどうかが決定的な違いです。天井のないパーティションで区切っただけの空間は、既設のスプリンクラーヘッドや感知器の効果が及ぶため、この取扱いの対象になりません。逆に、天井があるブースは内部が死角になるため、原則としてブース内にも消防用設備等が必要になります。
必要になる場合が多いです。東京消防庁管内では、指定防火対象物等において可動式ブースを設置し、基準の特例の適用を受ける場合、東京都火災予防条例第56条の防火対象物工事等計画届出書(工事着手の7日前まで)や同条例第56条の2の防火対象物使用開始届出書(使用開始の7日前まで)により特例の審査を受けます(東京消防庁 別記6⑴)。これらで審査できない場合は特例等適用申請書(火災予防条例施行規則第25条第1項・別記第25号様式)が必要です。設置が「工事」に当たるかどうかの判断は所轄消防署の運用によりますので、事前相談で確認してください。
消防法施行令第32条および東京都火災予防条例第47条の基準の特例により免除されます。要件は2つのルートがあります。ルートAは、①火気設備等の使用・宿泊目的・仮眠を伴うおそれのいずれにも該当せず、②床面積6平方メートル以下で、③天井・壁が不燃材料かつ住宅用下方放出型自動消火装置が設置され点検されている(または別紙の消火実験基準で確実な消火・熱量3kW/平方メートル未満・一酸化炭素1,000ppm以下が第三者機関の検証を伴って確認されている)、④外部から内部の火災を目視できる(内部及び外部直近に煙を感知する連動型住宅用火災警報器を有効に設置し、相互に連動させる等の措置がある場合を除く)、というものです。ルートBは、①火気設備等の使用・喫煙その他の火気の使用・宿泊目的のいずれにも該当せず、②床面積6平方メートル以下・内装または実証の要件を満たし、③内部と外部直近に連動型住宅用火災警報器を有効に設置して相互連動させ、④従業員等の常駐場所で覚知でき、⑤出入口扉に施錠装置がなく、⑥火気使用禁止の表示があること、というものです。
この特例の対象外になります。床面積6平方メートル以下は、ルートA・ルートBのどちらでも共通の必須要件です(東京消防庁 別記2⑶ア)。6平方メートルを超えるブースを設置する場合は、ブース内にスプリンクラーヘッド・感知器等を設ける工事が必要となり、工事整備対象設備等着工届出書(工事着手の10日前まで・甲種消防設備士)と消防用設備等設置届出書(工事完了後4日以内)が必要になります。なお6平方メートルという数値は、通知が定める一般的な取扱いの基準であって、これと別に個別の特例(令第32条)の適用を求める余地が完全に閉ざされるわけではありません。個別の判断は所轄消防署にご相談ください。
ルートA(東京消防庁 別記2⑴+⑶)であれば使えます。ルートAの除外事由は「火気設備等の使用を行うもの」「宿泊を目的とするもの」「仮眠を伴うおそれがあるもの」の3つで、喫煙は除外されていません。211号通知の前文も「様々な使用形態(休憩、喫煙等)」に言及しています。一方、ルートB(同⑵+⑷)は「喫煙その他の火気の使用を行うもの」を明示的に除外しているため使えません。ルートBは、内部・外部直近の連動型住宅用火災警報器で早期覚知させることを条件に仮眠を許容する枠組みだからです。喫煙可かつ仮眠可のブースは、どちらのルートにも乗りません。
ルートB(別記2⑵+⑷)で説明することになります。ルートAは「仮眠を伴うおそれがあるもの」を除外しているためです。ルートBでは、ブースの内部及び外部直近に煙を感知する連動型住宅用火災警報器を有効に設置して相互に連動させ、従業員等の常駐場所でも覚知できるようにし、出入口扉に施錠装置を設けず(非常時に外部から容易に解錠できる場合を除く)、ブース内の見やすい箇所に火気使用禁止の表示を設ける必要があります。なお、いずれのルートでも「宿泊を目的とするもの」は対象外です。仮眠と宿泊の区別が問題になる使い方(仮眠室的な運用、深夜利用など)は、必ず所轄消防署に確認してください。
東京消防庁管内では、必ずしも必要ではありません。東京都火災予防条例第64条第1項第2号は令第32条・条例第47条の適用を受けようとする者に申請を義務づけていますが(軽微なものを除く)、東京消防庁は可動式ブースについて「条例第56条の防火対象物工事等計画届出書及び条例第56条の2の防火対象物使用開始届出書により、基準の特例の適用に係る審査を行うことができる場合は、特例等適用申請書を不要とする」としています(別記6⑴)。これらの届出の対象にならないケースでは、特例等適用申請書(火災予防条例施行規則第25条第1項・別記第25号様式)が必要になります。審査結果は別記第26号様式の通知書で通知されます。
火災予防条例施行規則第12条第2項の図書(防火対象物の概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表及び建具表等)に加えて、特例要件が確認できる図書が必要です。東京消防庁 別記6⑵は次を例示しています。ア 可動式ブースの仕様書等で、床面積・内装仕上げ・住宅用下方放出型自動消火装置の設置位置・易燃性の可燃物の有無が確認できる資料/イ 住宅用下方放出型自動消火装置の機器図及び性能評定書の写し/ウ 連動型住宅用火災警報器の機器図。実務では、既設のスプリンクラーヘッド・感知器・スピーカー・誘導灯・避難通路との位置関係を記入したブース配置図もほぼ必ず求められます。
ブース内にスプリンクラーヘッドや感知器を設ける工事になります。①工事整備対象設備等着工届出書——甲種消防設備士が、工事に着手しようとする日の10日前までに消防長又は消防署長へ(消防法第17条の14)。②消防用設備等設置届出書——関係者が、工事が完了した日から4日以内に届け出て検査を受けます(同法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3・別記様式第1号の2の3)。なお、事務所(令別表第一(15)項)は消防法施行令第35条第1項第3号により「延べ面積300平方メートル以上のもののうち消防長又は消防署長が指定するもの」が消防法の設置届の対象ですので、指定がない場合は東京都火災予防条例第58条の3の設置届(工事完了後4日以内・使用開始前に消防署長の検査・違反は10万円以下の罰金)によることになります。
必要です。消防法施行規則第3条第1項は、消防計画を作成して所轄消防長又は消防署長に届け出るべきことを定め、末尾で「防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする」としています。届出は別記様式第1号の2です。可動式ブースの設置では、①避難経路図の更新、②自衛消防組織の任務への「ブース内の在館者確認」の追加、③喫煙・火気使用禁止の表示の維持管理、④住宅用下方放出型自動消火装置の点検(パッケージ型自動消火設備Ⅱ型の点検基準の例による)、⑤連動型住宅用火災警報器の作動確認と電池交換、⑥ブース内への可燃物の持込み制限、⑦従業員教育と訓練——を書き込みます。特例の要件は設置後も継続して満たし続ける必要があるため、維持管理の担当者と頻度を消防計画に明記しておくことが実務上重要です。
固定すると「可動式ブース」の定義から外れます。定義は「防火対象物の床や壁に固定(工具等で簡単に取り外すことができるものを除く。)されておらず」となっており、固定されたものはこの取扱いの対象外です。その結果、211号通知および東京消防庁の取扱いによる特例が使えなくなり、原則どおりブース内に消防用設備等が必要になり得ます。地震対策で転倒防止を図りたい場合は、「工具等で簡単に取り外すことができるもの」の範囲に収まる方法かどうかを、メーカーと所轄消防署の双方に確認してください。また、固定は建築基準法上の評価にも影響し得ますので、内装工事を伴う場合は設計者にもご相談ください。
この通知を根拠にした特例の対象としては想定されていません。令和6年8月23日付け消防予第404号による改正で、211号通知に4⑷として「本通知における可動式ブースに係る取扱いについては、消防用設備等の設置が義務付けられている防火対象物の一部に可動式ブースが設置される場合を想定しているものであり、防火対象物の部分の過半を可動式ブースが占めるような活用をしている場合は想定していない」旨が追加されました。ブース主体のシェアオフィスやレンタル個室の計画では、企画段階で所轄消防署に相談し、設備工事が必要になる前提で事業計画を組むことをおすすめします。あわせて、用途が令別表第一のどの項に当たるか(事務所(15)項か、遊興の用に供する用途か等)の判定も先に確認してください。用途判定は「消防法の用途判定とは?令別表第一の項の決め方・従属用途・みなし従属を解説」で解説しています。
できます。特例等適用申請書、防火対象物工事等計画届出書、防火対象物使用開始届出書、消防用設備等設置届出書、消防用設備等設置計画届出書はいずれも消防署長等あてに提出する書類ですので、その作成は行政書士の業務であり(行政書士法第1条の3第1項)、官公署への提出手続の代理も業務範囲に含まれます(同法第1条の4第1項第1号)。他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て業として作成できるのは、原則として行政書士・行政書士法人に限られ(同法第19条第1項)、違反には1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が定められています(同法第21条の2)。ただし、工事整備対象設備等着工届出書は消防法第17条の14により甲種消防設備士が届出義務者と定められているため、行政書士が代わって届け出ることはできません。また、ブースの機種選定や設備の設計そのものは、メーカー・消防設備士・設計者の役割です。
書類ごとに法令が届出義務者を定めています。特例(等)適用申請書は「適用を受けようとする者」(東京都火災予防条例第64条第1項)、防火対象物工事等計画届出書は「第56条第1項各号の行為をしようとする者」=工事を依頼した側(同条例第56条第1項。工事業者ではありません)、防火対象物使用開始届出書は「使用しようとする者」(同条例第56条の2第1項)、消防用設備等設置計画届出書は「設置しようとする者」(同条例第58条の2第1項)、工事整備対象設備等着工届出書は甲種消防設備士本人(消防法第17条の14)、消防用設備等設置届出書は関係者(所有者・管理者・占有者。消防法第17条の3の2、東京都火災予防条例第58条の3第1項)、消防計画作成(変更)届出書は防火管理者(消防法施行規則第3条第1項)、防火管理者選任(解任)届出書は管理権原者(消防法第8条第2項)です。着工届だけは資格者本人が義務者である点、工事等計画届出書は発注した側が義務者である点が、特に間違えやすいところです。
行政書士法違反になるおそれがあります。特例等適用申請書・工事等計画届出書・使用開始届出書・設置届出書などは、いずれも消防署(官公署)に提出する書類で、その名義人は申請者・届出者本人です。他人の依頼を受け報酬を得て業としてこれらを作成できるのは、原則として行政書士・行政書士法人に限られ(行政書士法第1条の3第1項、第19条第1項)、違反には1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(同法第21条の2)、さらに第23条の3の両罰規定により法人にも100万円以下の罰金が科されます。第19条第1項は令和7年法律第65号による改正で「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」と明記され、令和8年1月1日から施行されています。「無料サービス」「工事一式に込み」でも、取引全体の対価に含まれていれば報酬を得たと評価され得ます。例外として資格者自身が作成できるのは、甲種消防設備士が届出義務者である着工届と、自らが実施した工事・点検の記録(試験結果報告書、点検票等)です。設置届出書の鑑(届出書本体)は関係者の名義の書類なので含まれません。なお、建設業者の役員等が拘禁刑に処せられた場合は、建設業法第8条第7号(法人は同条第12号)により5年間は建設業許可の欠格要件に当たります。ブースの仕様書や機器図といった技術資料はメーカー・消防設備士が、申請書・届出書の本体と適用理由の組立ては本人または行政書士が担当する、という分担が適法かつ確実です。
※本記事は2026年8月29日時点で確認した法令および公表資料をもとにした一般的な解説です。法令・条例の改正、総務省消防庁の通知、東京消防庁の取扱い・予防事務審査検査基準の改正、所轄消防署の運用、個別の建物やブースの仕様により結論が変わる場合があります。具体的な案件は、対象建物を管轄する消防署および行政書士へご確認ください。
萩本 昌史(はぎもと まさし)
特定行政書士/消防設備士/防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者
行政書士萩本昌史事務所 代表
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